「らくご古金亭ふたたび」(2019/12/15)
第14回「らくご古金亭ふたたび」
日時:2019年12月15日(日)13時
会場:お江戸日本橋亭
< 番組 >
前座・金原亭駒介『無精床』
金原亭馬久『代脈』
五街道雲助『二番煎じ』
~仲入り~
隅田川馬石『駒長』
金原亭馬生『富久』
「らくご古金亭ふたたび」始まって以来の大入りとか。高座の袖にまで客が入っていた。
馬久『代脈』
リズムが悪い、間が悪い、だから面白ない。
雲助『二番煎じ』
通常の演じ方と大きく変わっていた。
先ず、火の回りを2班に分けない。これに就いては以前から疑問に感じていたのだが、この噺で2班に分ける必然性がないと思うのだ。分けた他の班の出番がこの噺にはない。それどころか、1班の組の人たちが番小屋で鍋を囲んで酒盛りすれば、後から戻ってくる組の人間に気付かれてしまう筈だ。一組だけなら見回りの役人にさえバレなければ、気兼ねなく酒盛りが出来るというもの。
雲助では、宗助一人番小屋に残し5人で火の回りに出かける。5人の内一人は上方出身という設定で、この人がちょいとずれた言動をするのだ。
「火の用心」の掛け声を5人が一人ずつ発声するというも独自の演りかた。上方の人は「デンデロデンデロ」と口三味線で浪花節の「火の用心」。他には謡曲あり都々逸あり。
最後に吉原で火の回りの経験があるとう辰つぁんが指名されるが、馴染みだった女と再会する話ばかり。せかされてようやく良い声で「火の用心、さっしゃりやしょう!」を、追い風と向かい風に分けて発声。
番小屋に戻ってからは例の酒盛りが始まる。次第に興に乗ってくると、月番が辰に、さっきの女の話の続きを催促する。辰は二の腕をまくり「花命」の入れ墨を見せて女房にしたんだとノロケ始める。ここで皆が囃し立てる所に見回りの役人が入ってくる、所望した煎じ薬(酒)の匂いを嗅ぎニヤリと笑う。お代わりを申し付けながら猪鍋をつつき、次はいつ番が回ってくるのか訊くと月番が「ひあさってです」と答えると、侍が「よいか、明後日にしろ」。どうやらこの侍の見回りは隔日のようだ。サゲは通常通り。
この型は初めてで、恐らくは雲助独自の演出かと思われる。随所に細かな工夫が行き届き、見事な高座だった。
馬石『駒長』
会の弟子枠があって、年に1回まわってくるので仕方なく、なんて言いながら。
このネタは寄席では滅多に掛からない、その理由はトリネタにはならず、さりとて間に挟めるネタではないとか。なるほと、そういう事情があるのか。
ちょいと『包丁』に似た様な展開だが、怠け者で乱暴な長兵衛から親切な損料屋によって救われるお駒、こちらの方がほのぼのとしている。
馬石の柔らかな語りはニンだ。
馬生『富久』
先日、文菊で聴いたばかりだが、聴き比べると馬生の上手さが光る。売れない幇間の悲哀や必死さがこちらへ伝わってくる。だから久蔵の一喜一憂に共感し、最後は本当に良かったとこっちも胸を撫でおろすのだ。
年の瀬に相応しい高座で締めた。
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二班に分けるのは、巡回頻度を高めるためかと思っていました。
投稿: 佐平次 | 2019/12/18 11:00
佐平次さん
>二班に分けるのは、巡回頻度を高めるためかと思っていました。
そういう説明ですが、さんざ酒盛りして酔っぱらった状態では次の火の回りがまともに出来ないし、頻度を高める意味がなくなると思います。
投稿: home-9 | 2019/12/18 18:25