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2019/12/07

「大手町落語会」(2019/12/7)

第58回「大手町落語会」
日時:2019年12月7日(土)13時
会場:日経ホール
<  番組  >
前座・柳亭市坊『寄合酒』
柳亭市楽『お血脈』
瀧川鯉昇『鰻屋』
柳家さん喬『福禄寿』
~仲入り~
柳家三三『磯の鮑』
柳家権太楼『文七元結』

市楽『お血脈』
来春に真打昇進とか、大丈夫か?

鯉昇『鰻屋』
こうした会では常に落語協会の噺家の、それも柳家の比重が高い。この日の鯉昇もそうだったが、少数派の芸協の人がしばしば芸協を自虐的に語る。確かに受賞歴を比較すれば両者の差は歴然としている。しかし、個々の技量にそれほどの差があるとも思えない。むしろ普段の寄席で感じるのは、芸協のベテランの中には明らかに手抜きするのがいる。それもトリの高座でさえ平気で手抜きするんだから呆れてしまう。この悪弊を断ち切ればもっと差は縮まるのでは。
鯉昇はいつもの脱力マクラからネタに入ると一気に熱演。額に赤十字マークの付いた病気の鰻や、秋葉原から仕入れた電気鰻を登場させ、最後は鰻が逃げるのを指先の動きで示し爆笑。

さん喬『福禄寿』
圓朝作だが、全体に暗い雰囲気が漂う噺のせいかあまり演じ手がいない。福徳屋の妻と二人の息子の物語で、実子で長男の福太郎が放蕩息子であるのに対し、養子で次男の禄太郎は働き者で親孝行。この二人の対比をどう演じるか、それに対する母親の心理状態を描き出す所がポイント。ここをさん喬が上手い。
古くは圓生は得意としていたが陰気臭いのが欠点で、福太郎が自分の技量の限界を悟り一念発起する事で未来の明るさを強調して終わるさん喬の高座の方を好む。

三三『磯の鮑』
三三の十八番。与太郎の造形が良く、会話の間もテンポも挟むクスグリも真に結構。こうした肩の凝らないネタを挟んだのは正解。

権太楼『文七元結』
フルバージョンだが、各場面の寸法を少しずつ短くして演じた。
通常と異なる点は、長兵衛が借りた50両の返済を半年後として、それも全額ではなく少しずつ返済するというもの。佐野槌の女主人は、長兵衛が真面目に働き返済の意志さえはっきりすれば娘お久は返すと約束する。これだと長兵衛がきっぱりと博打と手を切り回心するだろうかと疑問に感じるのだが。やはりオリジナルの返済方法が自然ではなかろうか。
吾妻橋の場面で長兵衛が長く泣きすぎるのも気になった。ここは50両を文七に渡す時に、お久の身の上を嘆く所だけ涙を見せる方が効果的かと思う。
達磨横丁の長兵衛宅での最後の場面では、権太楼らしい笑いの多い演じ方でお開き。ただ、長兵衛夫婦とお久が再会する山場で電話が鳴ってしまったのは惜しまれる。

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コメント

『文七元結』落語には江戸町案内と江戸人物案内の要素があると思うのですが、この大ネタはまさに、です。
お久が堅気の市井と色町という世界の境界に身を置く憐れさ・・・
師走に相応しい噺でご堪能されたことと存じ上げます。

福さん
『文七元結』は一分の隙も無いほど完成度の高い作品なので、あまり手を入れない方が良いと思います。人物像としてはやはり長兵衛をどう描くかが難しいでしょう。

権太楼、ときどき泣きすぎますね。

佐平次さん
長兵衛は佐野槌でお久の心根を思って泣きますが、それ以後は生まれ変わった様な固い決意で家路を急ぎます。だから、この先で泣くのは文七に50両を渡し、お久の無事を祈るよう頼む所だけにすべきでしょう。

私もこの会に行っておりました。仲入りのさん喬の福禄寿で私の後方の席からいびきが聞こえており、何だかなと思いました。おっしゃるとおり、山場で携帯が鳴ったのはせっかくの噺に水をさしてました。

ぱたぱたさん
携帯の着信って何故か山場に鳴ることが多いですね。雲助の会で同じ人が2度鳴らして、3席のところを2席で終わらせたことがありますが、演者の気持ちも分かります。

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