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2020/01/13

「究極のバレ噺Ⅱ」(2020/1/12)

「究極のバレ噺Ⅱ」
日時:2020年1月12日(日)13時
会場:お江戸日本橋亭
<  番組  >
桂こう治『浮世床』
古今亭志ん吉『紙入れ』
桂福團治『熊五郎奇譚+ペケペン落語』
~仲入り~
桂九雀『いもりの黒焼』
東京ボーイズ『お色気メロディー』
瀧川鯉昇『ふたなり』

「バレ噺」、「艶笑噺」ともいい、要は色っぽい、放送はもとより普段の寄席でも高座にかかることが少ないネタを集めたもの。
昨年の第1回が満員だったため、主催者が2回目を企画したら、今回も満員となった。
あんたもスキねぇー!
それはともかく、桂福團治と桂九雀が初見なので、それを目当て。

志ん吉『紙入れ』
このネタは普段の寄席でもお馴染みだが、どちらかと言うと中堅からベテランが演じることが多く、二ツ目が演じるのは珍しい。
志ん吉は器用なので何を演じても上手いので、このネタも間男する女房の色っぽさを強調して演じてみせた。

福團治『熊五郎奇譚+ペケペン落語』
略歴
1960年 - 3代目桂春團治に入門。一春(かずはる)と名乗る。
1966年 - 5代目桂小春と改名。その後、演芸ブームと共に「ペケペン落語」で売り出す。
1973年10月 - 4代目福團治を襲名(2代目桂枝雀・5代目笑福亭枝鶴・福團治のトリプル襲名)。
1975年 - ATG製作の映画『鬼の詩』に主演。
以降、手話落語に取り組む。
芸歴60年で、上方落語家では最古参。
修行時代の厳しい師匠のしつけから、若手の頃に「ペケペン落語」で売り出し。映画『鬼の詩』の主演が話題になって仕事が一気に増えたが一時期声が出なくなり、手話落語を始めた。
今は封印している「ペケペン落語」(小噺の間に人形浄瑠璃の三味線の合いの手を真似てペケペンと入れる)をいくつか披露してネタに。
仲間が集まって自分の女房の秘所を貝に例えていたが、一人の男だけは未だ女房の秘所を見た事がないから分からないと言う。仲間から「今すぐ見てきて報告しろと」せかされた男は自宅に戻り女房の頼む。嫌がる女房は、それなら盥に水を張りその上に自分が裾を捲ってしゃがむから、水鏡で観察しなさいと言う。この会話の一部始終を立ち聞きした熊五郎が松の木の枝に上がって、真下の盥を観察して喜んでいた。一方、女房は亭主に「あんた見えた?」と訊くと、「まるで熊五郎の顔やったな」でサゲ。
これぞバレ噺で、福團治の粋な高座を楽しんだ。

九雀『いもりの黒焼』
登場するだけで場内が明るくなる。
ある男、どうやったら女にもてるようになるか隠居に相談すると、いもりの黒焼きのオスとメスの2種類を買ってきて、オスは自分に、メスを相手の女にかけると、その女が惚れるようになると言う。
男は早速いもりの黒焼きを買、にgって、オスのものは自分に振りかけ、メスは評判の米屋の娘に振りかけえようとしたら、誤って近くの米俵にかけてしまった。いきなり米俵が男に向かって転がってきて、逃げ回る男をどこまでも追いかけてくる。隠居の家に助けを求めるが、米俵は家の中まで入ってくる。どうした?と訊く隠居に、男は「飯米に追われてまんのやがな」でサゲ。
「飯米に追われる」は、貧乏でその日の米代にも追われるという意味。
とにかく楽しい高座だった。
最初の隠居がもてる男の条件として、「一見栄、二男、三金、四芸、五精、六おぼこ、七ゼリフ、八力、九胆、十評判」を挙げているので、ご参考までに。

東京ボーイズ『お色気メロディー』
お馴染みの替え歌で際どい歌詞のオンパレード。なかでも童謡や唱歌を繋ぎ合わせるとアブナイ歌詞になるというのはお見事。
昔の宴会というと、こういう「猥歌」が盛んに唄われたものだが、近ごろは何かと五月蠅くなって聞く機会が無くなったね。

鯉昇『ふたなり』
これも艶笑噺だが、たまに寄席にもかかる。
人間が死ぬと「男は死体(したい)」「女は遺体(痛い)」とマクラを振ってネタに。
ある村で若い者二人が村の顔役の所に、女郎屋に居続けて年貢の10両を使いこんでしまったのでこのまま夜逃げするしかないと相談にくる。顔役は、それなら自分が隣村の知り合いに10両を借りてくるから待つ様に言って家を出て途中の栴檀の森に差しかかると、暗闇から若い娘に声がかかる。事情を聞くと、男と道ならぬ仲になり子どもを身ごもってしまった。二人で駆け落ちしたが男が気が変わって逃げてしまい、こうなったら死ぬしかないと遺書も書いていた。顔役は娘に死んではいけないと諭すが、娘が10両の金を懐にしているのを知ると急に態度が変わり、やはり死んだ方が良いと言い出す。娘が死に方が分からないと言うと、それなら松の木にこうぶら下がってと首括りの説明をするうちに、本当に首を吊って息絶えてしまう。その凄惨な姿を見た娘の気が変わり、10両の金を元に人生をやり直す決意を固め、首吊りの懐に不要になった遺書を入れて立ち去ってしまう。
いつまでも戻ってこない顔役を心配した若い者二人が栴檀の森に捜しにいくと、なんと首を吊って死んでいるのを発見する。直ちに役人を呼んで検分を開始すると、何やら懐から遺書が出てくる。役人が読みあげてみると、
「『一度はままよ二度三度、重ねてみれば情けなや。ついにお腹に子を宿し…』な、何じゃこれは?」「こりゃこの親爺はふたなりか?」
「いいえ。宵に出たなりでございます。」でサゲ。
艶笑噺というよりは、人間の業が描かれた名作だと思う。
鯉昇の高座は、顔役と娘の心理変化を巧みに表現して好演。

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コメント

宴会で猥歌を歌っては女性社員の反応を横目で見ていた、今なら首なんでしょうね、全員。

佐平次さん
セクハラやパワハラ禁止、今だったら自信がないですね。

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