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2020/02/13

文楽公演『新版歌祭文』『傾城反魂香』(2020/2/11)

朝から晩までコロナウイルスの話題ばかりでいい加減にあきる。それよりアメリカの今シーズンのインフルエンザ感染者数は2200万人、死者数は1万2000人に上っている。こっちの感染の方がよっぽど恐ろしいんじゃないのかな。こちらの対策は大丈夫なんだろうか。
2月の国立小劇場での文楽公演が3部制で、その第2部に出向く。相変わらず客の入りはいい。
演目は『新版歌祭文』『傾城反魂香』で、いずれも代表的な一幕のみの上演。特に前者は落語とも縁が深く、先代の文楽や春団治の出囃子「野崎」はこの浄瑠璃からとられている。また上方落語の『野崎詣り』は浄瑠璃の切りと同様に、野崎観音の参詣の模様をネタにしている。

『新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)』
野崎村の段
<中>豊竹睦太夫 野澤勝平
<前>竹本織大夫 鶴澤清治
<切>豊竹咲太夫 野澤燕三 野澤燕二郎
<人形役割>
久作:吉田玉助
娘おみつ:吉田蓑二郎
お勝:桐竹紋臣
娘お染:吉田清五郎
丁稚久松:吉田玉助

竹本津駒太夫改め
六代目竹本錣太夫襲名披露狂言
『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)』
土佐将監閑居の段
<口>豊竹希太夫 竹澤團吾
<奥>竹本錣太夫 竹澤宗助 鶴澤寛太郎
<人形役割>
土佐将監:吉田玉也
将監奥方:吉田文昇
門弟修理之助:吉田玉勢
浮世又平:桐竹勘十郎
女房おとく:豊松清十郎

『新版歌祭文』
由あって野崎村の久作の義理の息子として育てられた久松だが、奉公先の油屋の娘お染と深い仲になる。一方、久作の計らいで久松と久作の女房の連れ子であるおみつとを夫婦にしようとしていた。祝言を控えて浮き立つおみつ、そこへ久松を追ってお染が現れる。最初は悋気に苛まれるおみつだったが、二人の会話を聞くうちに二人が心中を図っていることを知り、身を引くことを決めて尼になる。やがてお染は母のお勝と共に野崎詣りの風習に従って船で、久松は土手を駕籠で大阪に向かい、それを久作とおみつが見送る。
見所は喜びに浮き立っていたおみつが二人のために祝言を断念するまでの心の乱れ、動き。それを見守る久作の一徹でいながら心の優しさ、娘の心情を思う親心だ。
おみつとお染の心の動きを繊細に伝える人形の動作は見事というしかない。
それと終幕での三味線の連れ弾きが舞台をいっそう引き立てていた。

『傾城反魂香』
外題にある「反魂香」は、前漢の武帝は亡くした李夫人を偲び道士に霊薬をつくらせてその香を焚いてみると、はたして彼女の魂が反ってきたかのように李夫人の姿が煙の内に見えたという故実に基づく。
この浄瑠璃も有名な絵師の奇跡やお家騒動をからませ、遊女に身を落とした絵師の許嫁が霊魂をなって現れるというストーリーが本筋の様だが、サイドストーリーの「又平」が活躍する「土佐将監閑居の段」が繰り返し上演されている。
絵師として身を立てようとする又平だが、一向に芽が出ない。おまけに吃音のため女房のおとくが代わりに将監に願い事を申し立てるが叶わず。夫婦は絶望の果てに死を決意し、最後にと手水鉢に画を書くと、それが筆の勢いで裏を通って両面に描かれていた。
将監からお褒めの言葉を頂き、念願の使者の役割も仰せつかり、同時に吃音が治るという奇跡も起きる。
喜び勇む又平は、早口言葉を操りながら勇み行く・
本公演は六代目竹本錣太夫襲名披露狂言で、文楽の襲名口上を初めて見た。
その錣太夫の語りと三味線、人形遣いが三位一体となった躍動感のある舞台は素晴らしかった。

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コメント

当方、15年以上前に雑誌の企画で文楽を見に行くイベントに参加してから文楽がすっかり御無沙汰です。その後のトークショーに桐竹勘十郎が出演し、楽しかったことを思い出しました。このブログを読み、また文楽公演に行きたくなりました。それには落語を減らさないと・・と思っています。

ぱたぱたさん
文楽の東京公演はいつもお客がよく入っていてファンも少しづつ増えているようです。私もビギナーの一人として楽しんでおります。

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