「大手町落語会」(2020/2/9)
第59回「大手町落語会」
日時:2020年2月9日(日)13時
会場:日経ホール
< 番組 >
前座・三遊亭ぐんま『初天神』
桂宮治『たらちね』
三遊亭萬橘『猫と金魚』
桃月庵白酒『付き馬』
~仲入り~
柳家甚語楼『妾馬』
柳家権太楼『言い訳座頭』
TVでは朝から晩まで新型コロナウイルスの話題で持ち切りだが、世間ではどうなんだろう。電車でもこの日の会場でもマスクなんかしている人は少数だ。今日、病院に行ったが職員でマスク姿の人はあまり見なかった。感染者は急速に拡大しているが、死亡した人は中国の湖北省を除けば今のところ2名(2月6日現在)で、致死率は高くないと見られる。通常のインフルエンザ対策で十分であるようにも思える。
それより客船に隔離されている人たちが気の毒だ。あの方たちを見ていると映画『カサンドラ・クロス』を思い浮かべてしまう。
宮治『たらちね』
同じ芸協の二ツ目から真打に昇進した小痴楽や話題の松之亟を僻むようなマクラは頂けない。小痴楽が中卒だと笑っていたが何が可笑しいんだろう。こういう芸風は生理的に受け付けない。
萬橘『猫と金魚』
オリジナルに手を入れてサゲも変えて演じたが、調子が乗り切らないで終わってしまった感がある。萬橘の芸はこうしたキャパのホールでは響かないのかも知れない。
白酒『付き馬』
今回でこのネタは3回目かと思うが、相変わらず手際よくまとめていた。ただ、最近の白酒を見ていると今ひとつ気分が乗っていないような気がする。本人があまり面白そうじゃないのだ。観ていて万事ソツなく演じているなという印象を持つのは私だけかな。
甚語楼『妾馬』
この日一番の出来だった。言動が粗野で周囲に迷惑ばかり掛けている八五郎だが、妹や母親思いだ。殿の御前では周囲の人間に「妹を宜しく」と頭を下げてまわる。妹には「母親を呼び寄せて赤ん坊を見せてやってくれ」と頼む。口うるさい三太夫とはしばしば口論になるが、殿様に「何でもはいはいと言うだけでなく、周りにこういううるさい人も必要なんだ」とフォローする度量も見せる。
映画の寅さんを思わせる様な八五郎の描き方が強く印象に残った。
権太楼『言い訳座頭』
季節外れのネタと断って、大晦日の掛け取りの噺。但し、ここに出て来る甚兵衛の家は返す金はあるのだが、それでは正月が越せない。そこで口が達者な長屋の按摩・富の市に頼んで借金の言い訳をして貰う。これが相手によって脅したり、泣き落としをしたりと巧みに煙にまくのだ。5代目小さんの十八番で柳家のお家芸ともいうべきネタだが、権太楼は各商店主と富の市との丁々発止の掛け合いを巧みに演じていた。
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コメント
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甚五楼は細部を丁寧に描写するうまい人ですね、ここ数年で一番びっくりさせられました。
さて、談四楼がいまだ協会に身を置いていたとき、志ん朝の「妾馬」を楽屋で聴いてその至芸に畏れ入ったということを書いています。志ん朝にお詳しいほめく様のご評価はいかがでしょうか?
投稿: 福 | 2020/02/11 07:03
福さん
志ん朝の高座に共通するのは「江戸の、あるいは江戸っ子の、粋」で、これだけは他の演者はかないません。
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投稿: home-9 | 2020/02/11 08:37