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2020/03/05

「桂文我・桂梅團治 二人会」(2020/3/4)

第23回「桂文我・桂梅團治 二人会」
日時:2020年3月4日(水)18時30分
会場:国立演芸場
<  番組  >
開口一番・月亭秀都『鉄砲勇助(弥次郎)』
桂文我『大黒の読切』
桂梅團治『ねずみ』
~仲入り~
『対談』桂文我・桂梅團治
桂梅團治『兵庫船』
桂文我『紺田屋』

今週は3本の落語会を予定していたが、新型コロナウイルスによる自粛の影響で2本が中止、延期となり、この会だけになってしまった。
さすがに客の入りは少なめで、客と客の間の距離が空いていたので感染防止には有効だったかも。
だが高座は熱演続きだった。
梅團治が仕事が無くなってしまい収入が断たれ、しばらく食いつないでいくにのどうしようと思ってると言っていたが、噺家など芸人も日銭の暮らしなので大変なようだ。

文我『大黒の読切』
この間の政府の対応にかなり腹を立てていて、その思いのたけを10分ほど語っていた。人生幸朗みたいだった。最近では噺家がこうした事を言いたがらない風潮についても嘆いていた。
ネタは文我が、昔の速記本を掘り起こして再構成したもの。確かに速記とはだいぶ異なっていて改作と言えよう。
落語と異なって講談や浪曲の連続ものには『切れ場』というのがある。
文我の高座では、冒頭に「森の石松・金毘羅代参」の序を講談で披露してから(中身は廣澤虎造の啖呵だったが)、二人の男の会話に入る。
男が、秀吉が三面の大黒を破壊しておいて東山に盧舎那仏を建立した訳を訊くと、相手が日本は神仏習合で神から仏になるのだと。生まれたら氏神様にお参りし、死んだら寺に葬る。陽は東の神から上がり西の仏に沈む。皆そうだ。
男は、それなら寺の梵妻を大黒と呼ぶのは、仏から神にしていて逆ではないかとツッコムと、続きは席を改めてと切れ場で逃げるというもの。
確かに珍品。

梅團治『ねずみ』
元は浪曲の廣澤菊春(面白い浪曲師だった)から教わった3代目桂三木助が落語に仕立ててもので、名作として東京の高座でお馴染み。
これを梅團治が故郷の岡山に場所を移し上方落語に直したもの。
ストーリは東京のものと同じで、ねずみ屋の主人の身の上と、倅の健気さに打たれた左甚五郎がねずみを彫るまでを丁寧に演じた。
こうして聴いて観ると、上方のネタとしても全く不自然さはない。

『対談』で、二人とも大阪から東京へは車で来ていることを初めて知った。弟子やお囃子の人、荷物を積んでくるので車の方が経済的なんだろう。文我の自宅が資料室みたいだとか、いつもご夫婦で一緒に活動しているとか、そんなエピソードも。

梅團治『兵庫船』
金毘羅詣りの帰路、兵庫から大阪の天保山までの船旅というお馴染みの噺。梅團治の飄々としてどこか温か味のある芸が活きていた。

文我『紺田屋』
三条室町に紺田屋忠兵衛という縮緬問屋があり、そこにお花という18歳の今小町と評判の娘がいた。このお花、ふとしたことから床に伏せってしまい医者もお手上げの始末。お花は忠兵衛に、自分が死んだら一番好きな着物着せて綺麗に化粧もして頭陀袋に50両を入れて葬ってほしいと頼む。そして四条新町しん粉屋新兵衛のしん粉餅が食べたいと言ので、忠兵衛がお花の口に入れて食べさせていると、お花の喉に餅が詰まり息を引き取ってしまう。忠兵衛夫婦は泣く泣く娘の遺言通り死に化粧をして着物を着せ、50両を首から提げさせて棺桶に納め、四条寺町大雲寺に葬った。
その夜中、手代の久七が50両もの通用金を埋めると罪になると言うので、寺に忍び込みお金を掘り起こす。50両が入った袋を引き上げると、その弾みでお花の喉に詰まった餅が下に通って、お花が生き返る。今さら店に戻れず、そしてお花が伏せっていたのも久七への恋患いだったとうち明け、二人してその50両を持って東国へ逃げる。
娘に先立たれた忠兵衛夫婦は、商売も手に付かず奉公人にも去られ、店をたたんで四国西国の霊地を巡り、最後に木賃宿に泊りながら江戸に出て、浅草の観音さんに詣でます。そこに「紺田屋」という名の暖簾を掛けた商家が。その主人こそ手代だった久七で、忠兵衛夫婦を座敷に上げてお花との再会を果たす。
人生山あり谷あり、苦しい事も多いが、生きていればきっといい事があるという人生賛歌の物語。
今は厳しい状況だが、希望は捨てずに行こうと、文我に励まされた気分になった。

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