「米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー~」
「米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー~」(2017年制作)
監督:佐古忠彦
ナレーション:山根基世, 大杉漣
かつて翁長沖縄県知事と会談した菅官房長官(いずれも当時)が「戦後生まれだから沖縄の歴史はわからない」と言い放った。こういう人物が今は首相になっているのだから呆れる他ない。沖縄戦から戦後の沖縄の歴史を知らずして国会議員を名乗るなかれ。
アジア太平洋戦争の末期における沖縄戦は島民の四人に一人が犠牲になるという壮絶な戦いだった。重要なのはこの戦いが、日本軍が唱えていた「本土決戦」の前哨戦であったことだ。犠牲は米軍にも及び、第二次世界大戦においてアメリカ軍の司令官が戦死した唯一の戦闘だった。米軍兵士の3分の1が精神に異常をきたしたと言われる。
沖縄戦を経て日米両政府ともに「本土決戦」だけは避けようという空気が醸成され、終戦への道に進むことになる。
しかし日本政府は沖縄に対して冷たかった。1951年に締結した(発効は1952年)「サンフランシスコ講和条約」によって日本は独立するが沖縄は除外されて、本土に返還されるのは20年後の1972年だ。その間、沖縄は米国の統治下に置かれた。
自由と民主主義の国である筈のアメリカだが、その統治は苛烈だった。農地は次々と取り上げられ米軍基地となっていった。抵抗すれば容赦なく弾圧される。
その米軍統治下の沖縄で唯一人、弾圧を恐れず米軍にNOと叫んだ日本人がいた。「不屈」の精神で立ち向かった沖縄のヒーローこそ瀬長亀次郎。民衆の前に立ち、演説会を開けば毎回何万人も集め、人々を熱狂させた。
米軍は瀬長の力を恐れ彼を投獄するが、それによりむしろ瀬長への支持が拡がる。
瀬長が那覇市長に当選すると、米軍は那覇市への水道水の供給を断つなど嫌がらせする。市民生活の混乱に乗じて瀬長市長を不信任にするが、市議選では瀬長支持派が多数を占める。すると今度は米軍は新たな法律作り、投獄の経験のある者は立候補を認めなくする。全ては瀬長の影響力を削ぐためだった。
しかしこうした米国の策謀は功を奏せず、本土返還後は瀬長は国会議員に選出され、沖縄の核付き返還という実態を政府に激しく追及する。
本作品は生涯を沖縄の人々の為に捧げた瀬長亀次郎の生涯を、関係者の証言を集めてドキュメンタリーとして紹介したものだ。
自主上映の映画だったが、今ではamazon primeで無料で観ることができるので、関心のあるか方はご覧ください。
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