寄席の唄(中)
「縁かいな」
夏の涼みは両国の
出舟入船屋形船
あがる流星ほし降り
玉屋が取り持つ縁かいな
二人暑さを川風に
流す浮名の納涼船(すずみぶね)
あわす調子の爪弾きは
水も漏らさぬ縁かいな
ちらりと姿を三囲(みめぐり)の
仇し契りを枕橋
恋の闇路を言問いの
お茶屋が取り持つ縁かいな
思うお方と思わずも
手に手重ねし嬉しさに
顔も小倉の夕紅葉
かるたが取り持つ縁かいな
積るうらみは夜の雪
心赤穂の武士(もののふ)が
堪えかねたる主の仇
せめ込む前後の門かいな
小野の小町に深草が
通いつめたる九十九夜
いつしかつれない落とし穴
これぞ骨折りぞんかいな
大阪上りの徳永里朝がこれを「議論かいな」「苦界かいな」と唄い変えて人気を博した。後半は小倉百人一首や赤穂浪士の討ち入り、小野の小町の伝説を織り込んでいる。
「きんらい節」
浦里がア 忍び泣きすりゃ縁も共に
貰い泣きする明烏アす
キビスガンガン イカイドンス
キンギョクレンスノ スクレンボウ
スチャマンマン カンマンカイノ
ヲビラボウノ キンライライ
あほらしいじゃ をまへんか
かみさんきててや をまへんか
毎晩きててや をまへんか
おおきーに はばかりさん
すりばちいをウ
伏せてながむりゃ三国一の
味噌を摺るがの不二の山
キビスガンガン イカイドンス
キンギョクレンスノ スクレンボウ
スチャマンマン カンマンカイノ
ヲビラボウノ キンライライ
あほらしいじゃ をまへんか
かみさんきててや をまへんか
毎晩きててや をまへんか
おおきーに はばかりさん
千両箱 不二の山ほど有ってもいらぬ
冥土の土産になりはせぬ
キビスガンガン イカイドンス
金側竜頭の時計下げて スチャマンマン
金満家の札びら切って イライライ
キビスガンガン イカイドンス
キンギョクレンスノ スクレンボウ
スチャマンマン カンマンカイノ
ヲビラボウノ キンライライ
あほらしいじゃ をまへんか
かみさんきててや をまへんか
毎晩きててや をまへんか
おおきーに はばかりさん
盃を取りあげ顔打ちながめ
そうもお前は呑みたいーか
一盃 二盃 三盃 四盃
スコボコノンデ ヨイタンボノ
スッテンテレツク スッチャンチャンノ
ヲベラボウノ ユカイカイ
キビスガンガン イカイドンス
キンギョクレンスノ スクレンボウ
スチャマンマン カンマンカイノ
ヲビラボウノ キンライライ
落語家の騎江亭芝楽作とされている。リフレンの部分は意味不明のようだが、金権や選挙干渉が立憲政治にとって詰らぬ事だという解釈があるようだ。
「琉球(りきゅう)節」
琉球と鹿児島と 地続きならば
通うて酒盛りして見たい
シタリヤヨメヨメ シンニヨタヨタ
シテガンガンヨ セッセ
児(ちご)が前髪 切らしゃるならば
妾(わ)しも止めましょ 振袖を
シタリヤヨメヨメ シンニヨタヨタ
シテガンガンヨ セッセ
琉球へおじゃるなら
草鞋はいておじゃれ
琉球は石原こいし原
シタリヤヨメヨメ シンニヨタヨタ
シテガンガン
花は霧島 煙草は薩摩
ういて上がるが桜島
シタリヤヨメヨメ シンニヨタヨタ
シテガンガン
逢いはしなんだか玄界灘で
二本柱の帆前船
シタリヤヨメヨメ シンニヨタヨタ
シテガンガン
落語ファンならお馴染みのネタ『棒鱈』で、江戸っ子の隣の部屋にいた薩摩の侍が第3節を手拍子で唄う。「児(ちご)が前髪 切らしゃるならば 妾(わ)しも止めましょ 振袖を」の部分は、あなたが元服するなら私はお嫁になりますの意味。
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