国立演芸場3月上席(2021/3/3)
国立演芸場3月上席・3日目
前座・林家ひこうき『つる』
< 番組 >
春風亭ぴっかり☆『たらちね』
春風亭柳朝『唖の釣り』
翁家勝丸『曲芸』
林家三平『四段目』
― 仲入り ―
桂文雀『風の神送り』
のだゆき『音楽パフォーマンス』
春風亭小朝『抜け雀』
久々の寄席、国立演芸場は昼席だけで公演時間も2時間半と短く手頃なのがいい。コロナ対策も他の会場に比べ厳重で、これなら感染の心配はないだろう。小朝がトリの割には客の入りが悪い。
前座の高座をみて、この人も10数年経てばいずれ真打になるんだろうなと。師匠が弟子をとる時に芸人としての本人の適正を判断した方が良いのでは。さもなくば、真打昇進の基準を設けるとか、立川談春みたいに前座の段階でふるい落とすとか、考えた方がいい。冷たいようだが、その方が本人のためでもある。
ぴっかり☆『たらちね』
過不足なく上手いもんだ。私は女性は噺家に向かないというのが持論だが、この人と立川こはるは別格だ。
柳朝『唖の釣り』
時間が急いていたのか、喋り急ぎの感があった。もう少し「間」が取れていたらもっと面白く聴かせたのでは。
勝丸『曲芸』
大神楽で度々ボールを落としていたが、あれはプロとしてどうなんだろう。
三平『四段目』
大して面白くもない「笑点」の裏話を長々とマクラに振って本題へ。このネタの勘所は、定吉が演じる判官切腹の場を芝居仕立てに演じることにある。時間の関係か全体を端折ったのはやむを得ないとしても、四段目のセリフも所作も歌舞伎とはほど遠い。高座にかけられるレベルではない。下手なのは致し方ないが、もっと真面目に取り組んで貰いたい。
文雀『風の神送り』
昔は町内で悪い風が流行ると、風の神をこさえて「送れ送れ、風の神送れ」と囃子ながら川に流すという風習があったそうだ。町内から寄付を募る所から始め、夜釣りで網打ちをしていた人が風の神を網にかけ、「弱み(夜網)につけ込んだ」のサゲまで演じた。時季に適したネタだ。
この人のいかにも芸人らしい風情がいい。
のだゆき『音楽パフォーマンス』
鍵盤ハーモニカでアコーディオンの音でシャンソンを演奏してのが良かった。
小朝『抜け雀』
独演会以外で、寄席でトリの小朝を聴いたのは4代目桂三木助の襲名披露以来だから、もう遠い昔のことだ。
お馴染みのネタだが、随所に小朝らしいクスグリや工夫が見られた。絵師の父親が雀の絵にカゴと止まり木を加えた時に、宿の主に絵師へ「お前はこの画の雀と同じで、カゴも止まり木も要る」と伝言するよう依頼する。通常は絵師が宿に戻ってくる時は立派な恰好をしてくるが、小朝の高座では昔のままのボロ服で戻ってきて父親からの伝言を聞かされ、自分はその通りだと涙する。親子の対立がこれを機に和解に向かうという劇的効果を加えたものと想像する。
少々ダレ気味の番組を、最後に締めた。
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コメント
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「四段目」昨秋、NHKで兄の正蔵が演っていました。
旦那が芝居好きの貞吉にかまをかけ、
「今、猪の前後の脚を大物の二人の役者がやっているそうだ」とあり得ないことを言うと、「そんな大物二人がやるわけがない、何しろあたしは観てきたんですから」と言わせるとこが一つのポイントですが、そのへんも三平、未だしでしたか。
投稿: 福 | 2021/03/05 06:41
福さん
その部分は定番通りでしたが、芝居仕立てになってから所作もセリフもNG。歌舞伎をみに行ってると言ってましたが、何をみてきたんでしょう。
投稿: home-9 | 2021/03/05 08:41