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« 「文化大革命」を描いた中国映画 | トップページ | 「陽春四景」(2021/4/7) »

2021/04/06

「レジ袋」の次は「スプーン」かよ

政府は3月9日、事業者にプラスチック製品の削減を義務づけるプラスチック資源循環促進法案を閣議決定した。今国会に提出し、2022年4月の施行を目指す。環境省は成立後、省令でコンビニエンスストアのプラ製スプーンや飲食店のストローの有料化などを検討している。
販売段階では、コンビニなどの小売店やレストラン、カフェなどの飲食店に対し、プラ製品の使用削減を義務づける。事業者が取り組むべき対策は成立後、省令で定める。環境省は、使い捨てのプラ製スプーンやフォーク、ストローなどを対象に〈1〉有料で提供〈2〉受け取らなかった客にポイントを還元〈3〉代替素材への転換――などの対策を示し、いずれかの対応をとるよう義務づける方向で検討している。
対策を講じない事業者には、国が指導や命令ができ、命令に違反した場合は50万円以下の罰金が科せられる。
プラスチックを巡っては、昨年7月から容器包装リサイクル法に基づいて小売店のレジ袋が有料化されている。小泉環境相は新法案について「コンビニでスプーンなどが有料化されれば、自分でスプーンを持ち歩く人が増えていく。こうしたことでライフスタイルを変化させていきたい」と述べた。
(「讀賣新聞オンライン 2021/3/9」記事より)

政府は、レジ袋の有料化が終わったら今度はスプーンなどの有料化を狙っているらしい。
一連のプラスチックごみを減らすという政策は、海洋汚染を防ぐという目的に端を発している。つまり、汚染の原因はプラスチック→プラスチックを減らせ、という所が出発点になっている。
先ず、この構図を疑ってみる必要がある。
海洋には日々膨大な量の物質が投棄(廃棄、流出)されている。原発から出た放射性物質を含む液体などもその一つだ。投棄されたものの内、重い物(比重が海水より大きい物)は水面下に沈殿し、水に溶けやすい物は海水に混入してしまうので人の眼につかない。この中でポリマーと呼ばれる物質の多くは水に溶けず、軽い(比重が海水より小さい)ので海面に浮かび、眼につきやすい。ポリマーは合成樹脂(プラスチック),合成繊維,合成ゴム等に分類される。従って、
①海水表面に浮遊している物質が何かを分類、分析して特定する
②水面下に沈殿する物質と水溶性物質を含めた全ての投棄物の有害性を検討する
事から先ず出発すべきなのだ。
そうした作業をすっ飛ばして、海洋汚染=プラスチックという議論はあまりにお粗末だし、主要な要因を見落としてしまう恐れがある。

次の問題は、レジ袋有料化の効果の検証が行われていないことだ。私は当ブログで以前に、プラスチックの廃棄量にも海洋汚染の改善にも寄与しない可能性が高いことを指摘してきたが、そうした検証が行われた形跡はない。
前にも書いたことだが、コスト低減対策で理屈上は効果が明らかなのにも拘わらず、実施してみたら却ってコストが上がってしまったという苦い経験を何度もしている。「勘定合って銭足らず」である。だから何かをなした時は、必ず検証することが大事だ。
これは政府の政策全般に言えることだが、いわゆる「P(プラン)ーD(実行)ーC(チェック)ーA(アクション)」のサイクルに回すことにより、初めて政策の成否が判断できる。
特に、有料化のように消費者に負担をかけるような場合は、結果の検証を公開すべきだ。
ボンボン大臣が、スプーンを持ち歩けば良いなんてほざいているようだが、使い終わったスプーンをどうやって持ち帰るつもりだろうか。店で洗うのか?
環境大臣として、もっと頭を使うことが他にあるだろうに。

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