「バカな大将、敵より怖い」
5月7日に行われた菅首相の記者会見の中継をみて、「バカな大将、敵より怖い」という言葉を思い浮かべた。これは、北洋銀行の社長・会長を務めた
武井正直氏の講演集のタイトルだそうだが、表現がピッタリだと思ったのだ。
新型コロナ感染防止のための総理会見は何度も聞かされたが、言ってることは毎回同じで、相変わらずワクチンは十分確保したというもの。
記者からの質問に対しても、国会答弁と同様でピント外れの答弁ばかり。ここまで来ると、もしかしてこの人は質問の意味さえ理解していないのではと、疑ってしまう。あるいは答えが全くみつからないのか。
<記者(幹事社・東京新聞)>
大型連休の人流抑制や自粛の効果を見極められないうちに緊急事態宣言の延長を判断したが、期間や対策は適切だったか。そもそも短期集中という設定は正しかったのか。国民にさらなる自粛や事業の制約を求める以上、解除の具体的な基準を明示すべきではないか。各社の再質問があった場合、応じていただけるようお願いする。
<首相>
多くの人出が予想されるゴールデンウイークという特別な期間に短期集中的な対策として、飲食の対策に加え人流を抑える対策を取った結果、人流の減少という所期の目的は達成できた。解除の基準はステージ4を脱却することが目安となるが、専門家や自治体の意見を聞きながら総合的に判断していく。
<コメント>
最初の質問内容は、今回の緊急事態宣言が短期だったが、それが正しかったどうかというもの。処が、首相の回答は「人流の減少という所期の目的は達成できた」というもの。そりゃ違うだろう。人流の減少は手段であって、目的は感染を減らすことにあった筈だ。その目的が達成できなかったから、宣言を延長せざるを得なかったのだ。こんな事さえ分からないとしたら、バカとしか言いようがない。
<記者(幹事社・共同通信)>
どのような感染状況になっても国際オリンピック委員会(IOC)が中止を判断しない限り、政府は東京五輪・パラリンピックを開催する立場か。
<首相>
対策を徹底することで国民の命や健康を守り、安全・安心の大会を実現することは可能と考えており、しっかり準備していきたい。
<コメント>
質問の内容は、東京五輪をIOCが中止と判断しないかぎり、感染状況がどうなろうと政府は開催するのかというもの。しかし首相の回答はピンボケで、政府の主体的な姿勢は全く見られない。
国会答弁でも同じだが、こと五輪開催を問われると、バカの一つ覚えのように「安全・安心の大会」を繰り返す。
五輪開催の是非についていくつかの報道機関が世論調査の結果を発表しているが、いずれも反対が賛成を上回っている。こういう状況のまま開催するなら選手にとっても気の毒だ。
大事なことは、国民の大半を「安全・安心な状態」にすることが政府の使命なのだ。
<オーイ、高橋洋一サンヨ>
内閣官房参与の高橋洋一がツイッターで日本のコロナ感染状況について、「この程度の『さざ波』」とか「これで五輪中止とかいうと笑笑」といった嘲笑する内容を発信していた。首相は個人的見解で片づけていたが、こんな人物は直ちに解職すべきだ。
そうしたケジメさえ付けられないなら、もう救いようがないね。
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