ケネディ暗殺の背景を描く、コミック『赤狩り9』映画『ダラスの熱い日』
山本おさむ『赤狩り9』が発売された。9巻はベトナム戦争からケネディ暗殺まで。
第2次世界大戦後にアメリカは、東南アジアや中南米に親米政権を作り、政治経済を握ったうえで資本を進出させ利益を上げてきた。その動きに待ったをかけたのがベトナム戦争であり、キューバ革命だった。
元々が頑強な反共主義者だったケネディ大統領だったので使命感に燃えてベトナム戦争を始めたが、思うように進まず米軍の兵士の犠牲が増える一方となった。
一方、キューバではカストロ政権転覆のために亡命キューバ人を組織し、米軍が支援したピッグス湾事件を起こすが、ケネディが米軍を直接介入するのを拒否したため失敗に終わる。
更に、キューバにソ連製のミサイルを配備したキューバ危機では、ケネディ大統領は、軍の幹部やCIAのキューバへの空爆と侵攻の提案を拒否し、ソ連との話し合いによりソ連のミサイルを撤退させた。
こうした一連のケネディの政策に、軍、CIA、軍産複合体、石油資本、亡命キューバ組織らが不満を募らせた。彼らは相互協力し合い、さらにFBIの協力も得てケネディの暗殺に至った。
公式には、ケネディ暗殺の犯人はオズワルド単独とされているが、今日ではこの説は信用されていない。
『赤狩り9』ではケネディ家のジョンとロバート兄弟とマリリン・モンローとのドロドロの情事と、その悲劇的結末が描かれている。この兄弟はこと女性関係については「ゲス」である。当ブログで以前に「男の下半身は別人格」という記事を書いたが、その典型だ。
映画『ダラスの熱い日』1973年(アメリカ映画)
【監督】デイヴィッド・ミラー
【脚本】ダルトン・トランボ
【主演】バート・ランカスター、ロバート・ライアン、ギルバート・グリーン
映画『ダラスの熱い日』に紹介されているが、事件の当日に現場でエイブラハム・サブルーダーという人が8㎜フィルムで銃撃の瞬間を撮影していた。このフィルムによれば、1発目の銃弾はケネディの首から喉を貫通して、ケネディが喉を押さえている。明らかに後方から撃たれたものだ。その直後に2発目がケネディの右側頭部を後方に吹っ飛ばしている。前方から撃たれたもので、これが致命傷になった。この映像を見る限りでは単独犯はあり得ない。
犯人として逮捕されたオズワルドは一貫して犯行を否認したが、警察に護送される途中でジャック・ルビーに射殺され、捜査は闇に葬られてしまう。
『ダラスの熱い日』はケネディ暗殺事件を犯人の側から描いたもので、印象に強く残ったのはかつてアメリカを実質的に支配してきた人々が、平和共存や黒人運動の高まりの中で、次第に追い詰められる心境になっていたことだ。その危機感が事件の背景になったのだろう。
映画の最後には、次の様なメッセージが示されている。
「大統領とオズワルドの死後3年間に重要証人18人が死んだ。6人は撃たれ、3人は交通事故。2人自殺。1人はノドを切られ1人は首にカラテチョップ。3人は心不全。2人は自然死。ロンドン・サンデー・タイムズの専属の某保険計理人の統計では、暗殺を目撃したこれら全ての人々が67年2月までに死亡する確率は10京分の1と計算した。」
赤狩りは現在も続いている。
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