「GoToトラベル」の闇
月刊誌「選択」5月号に、「GoToトラベル」の補助金の闇について記事が掲載されている。
2020年4月に閣議決定した「GoToキャンペーン」には1兆6800億円の補正予算がつけられ、そのうち1兆3000億円が「GoToトラベル」に使われた。2021年の1月には「GoToトラベル」にさらに約1兆円投入する補正予算が可決しているので、併せて約2兆3000億円が旅行業界に配られることになる。これだけ膨大な税金を投入するわけだから、その使い道は公正なものでなくてはならない。
ところで「宿泊施設への直接予約において圧倒的なシェアをほこる企業」「いちはやく情報を入手し、GoToビジネスを開始した企業」は?
それは『ピアトゥー』という馴染みのない会社だった。
2018年創業で、2019年までの売り上げが数千万円程度(推定)と見られる。記者が同社の所在地を訪れたところ、マンションの1室のドア横にガムテープで社名が貼ってあったとのこと。インターホーンを押すと中から男性が出てきて、部屋には4社程度が事務所を置き、『ピアトゥー』の人間は不在で、あまり事務所にいることはないようだ。
では、なぜこの企業が「GoToトラベル」の宿泊施設への直接予約において圧倒的なシェアを持つことができたのだろうか。
「GoToトラベル」は当初は旅行会社を通すツアーを対象にしていたが、宿泊に直接予約することも可能となった。その場合、架空の宿泊者をでっち上げて補助金を詐取するのを防がねばならない。このため利用者と宿泊施の予約情報を管理する第三者機関(GoTo事務局の承認のもと)を作ることになった。
GoToキャンペーンは昨年の7月22日スタートだったが、7月23日には『ピアトゥー』社が承認され、25日には同社の宿泊施設検索サイト『ステイナビ』を通じて「GoToトラベル」が簡単に利用できるサービスを提供し始めた。
その動きに合わせるように、宿泊施設の最大の業界団体である「全旅連」から全国の加盟施設に『ステイナビ』の利用案内が送られた。
その後、承認された第三者機関は400を超えた模様だが、結果としては『ピアトゥー』が圧倒的なシェアを獲得してしまった。
「GoToトラベル」が国民の税金を使わない私的な事業なら自由だし、『ピアトゥー』が無料であれば何の問題もない。しかし『ピアトゥー』を利用した「GoToトラベル」では手数料が取られる。同社に入った金の行方が気になるところだ。
こうした不明朗な点について「選択」から『ピアトゥー』社に質問状を送ったが、「基本的には取材はお断りしてます」と回答があり、電話も繋がらないという。
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