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2021/07/30

医療従事者の声を聞こう

新型コロナ感染者の急拡大が続くなかで、コロナ患者を受け入れている医療機関の医師たちはどう感じているか。

【東京医科歯科大学付属病院病院長補佐の植木穣医師】
「日曜、月曜日は感染者数が少ない傾向にありましたが、25日と26日は曜日として最多でした。連休中で検査数が少ないにもかかわらず、大きな数字が出てしまったので、連休が明けて、検査数が増えれば数字がさらに上がることが想像できました。ただ、火曜日(27日)に3000人近くまで上る増加速度には驚きました。4連休で人流が減らなかった影響は、来週(8月2日)以降に跳ね返ってくるかと思います」
中等症から重症の患者を受け入れる同病院では、27日夜の時点で、重症8床のうち4床、中等症25床のうち21床が埋まっている状態だという。
「7月中旬から常に中等症患者が20人以上います。日によっては、4人が入院して4人が退院していくという、入れ替わりの激しい状況が続いています。重症病床は残り4床ですが、日によっては4人以上の重症化リスクのある患者の受け入れ依頼があり、受け入れを断念せざるを得ない状況にすでに直面しています。もう現場はひっ迫してきています」
「現状では通常診療に影響は出ていない」と言うが、第3波のときのように重症者が増えて集中治療室を増床しなければならない状況になるのであれば、「通常診療の一部を制限して対応を強化する必要に迫られる可能性がある」と危惧している。

【埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科の岡秀昭医師】
「当病院では、先週までに入院した12人のうち10人がデルタ株でした。現在、21人が入院しており、先週末から調べればデルタ株しか出ません。置き換わったと判断し、調べる手間を省くことにしたほどです。アルファ株は置き換わるのに1カ月かかりましたが、デルタ株は2週間ほどでした」
「重症者の病床がここ数日で埋まってしまいました。『重症』の前段階である『中等症2』の患者が40、50代に増えています。『中等症2』は酸素吸入が必要で、数日のうちに『重症』になってしまうような予断を許さない状態です。政治家は『重症者は増えていない』から大丈夫だろうと解釈をされているようですが、感染者の母数は増えているのだから、これから重症者も増えていくことが容易に想像できます」
「40、50代のワクチン接種はまだ中途半端。それに、この年代にも高血圧や糖尿病などの基礎疾患を持つ人は少なくありません。第3波のときには、80代、90代の方が重症化してトリアージの話が出ましたが、40、50代の患者へ延命治療の意思確認をするのは愚問ですよ。これからは、重症化してもろなし、入院すらできずに在宅待機のまま亡くなるケースが40代、50代に出てくる可能性もあると思います」
「埼玉県に限らず、首都圏への緊急事態宣言は後手になってしまった。これまでにも波を経験し、疫学の専門家が予測を出して警告しているのもかかわらず、感染状況が悪化してから対策を強化するのでは遅い。選手は悪くありませんが、東京五輪のお祭りムードにより、感染状況の危機感が消し去られてしまうのは困ります」
(以上、AERA dot.)

上記の様に、第5波では40、50代の患者が増えていて、この年代は働き盛りの人なので、入院させてからトリアージ(患者の重症度に基づいて、医療・治療の優先度を決定して選別を行うこと)を行うことが困難になる。そうすると医療機関としては、患者の受け入れそのものを躊躇せざるを得なくなる。
また、コロナ患者を優先するために、他の診療に影響が出る。その結果、他の病気に罹った人で助かる命が救えないことも起きる。
政府も自治体も、こうした切実な声に耳を傾けるべきだ。

2021/07/28

コロナ感染拡大に危機感がない政府と東京都

東京都の新型コロナ感染者が28日には3177人と3000人の大台を突破した。神奈川など隣接県の感染も増加の一途を辿っている。
27日に菅首相は、なんの根拠も示さず「人流は減っている」などと呑気な発言をしていた。東京都に至っては、都の吉村憲彦福祉保健局長が報道各社に対し「いたずらに不安をあおることはしていただきたくない」と要望した。こんな姿勢では、都民に自粛を呼びかけても通じない。
五輪大会関連の陽性者は今月1日以降、160人となっているにも拘わらず、小池都知事は「オリンピックも、非常に各競技で、日本人の選手もすばらしい成績を収めて、お家で応援していただいているかと思います」とした上で、組織委員会が発表する感染者数について「足し上げて毎日報道されるのはどういう意味があるのかなあ、とちょっと思っています」と語った。
感染拡大を気にするより、報道を心配しているのだ。
このままいけば、オーバーシュート(感染爆発)に行きかねないというのに、政府も東京都も全く危機意識がない。

「大相撲」に未来はあるか

7月に行われた大相撲名古屋場所、TV観戦して感じたのは観客の入りの悪さだ。コロナ禍という事情があるにしても、空席が目立つ。収容人数を半分に制限してもチケットが売れてないのだ。それも溜り席、マス席、椅子席とまんべんなく空いている。
今年の3月場所に、久々に国技館で観戦したが、この時もガラガラだった。マス席では、後から5列は殆んど人が入っていなかった。椅子席もパラパラ。明らかに不人気なのだ。
この調子では、コロナが終息して定員に戻しても観客は増えていかないだろう。
原因の一つは、ここのところ横綱不在が慢性化していたことがあるだろう。3月場所も、事前の予想では白鵬と鶴竜の両横綱が出場しそうだと言うことでチケットを買っていたのだが、見事に肩透かしにあった。

気になるのは肝心の相撲協会に危機感がないことだ。
以前から白鵬は東京五輪まで現役を続けることを公言していた。過去のインタビューで、五輪の開会式で土俵入りしたいと語っていた(実現はしなかったが)。この1年の本場所を欠場し、7月場所から復帰したのもその計算からだと思われる。看板力士とはいえ、協会はこうした我が儘を許してきたのだ。
どんなスポーツでも言えることだが、とりわけ大相撲には美しさが求められる。処が白鵬は、横綱土俵入りでの不格好な腕の動きから、 塵手水(ちりちょうず)では柏手(かしわで)がマトモに打てないし、取り組みでは反則技を繰り出し、勝てばガッツポーズとやりたい放題だ。どこを取っても美しさのカケラもない。
横審から再三にわたり注意を受けているのも拘わらず、協会は本人に改めさせようとしない。これでは容認しているとしか思えない。
こんな状態を続けていれば、ファンはどんどん離れていくし、人気は落ちる一方だ。
相撲協会がよほど褌を締め直していかないと、大相撲に未来はない。

2021/07/26

第508回「花形演芸会」(2021/7/25)

第508回「花形演芸会」
日時:2021年7月25日(日)13時
会場:国立演芸場
<   番組   >
前座・桃月庵あられ『子ほめ』
春風亭一花『黄金の大黒』 
三遊亭小笑『粗忽の釘』 
古今亭志ん五『お菊の皿』  
   ―仲入り―
桃月庵白酒『青菜』 
母心『漫才』
笑福亭べ瓶『らくだ』
 
花形演芸会の出場資格は「入門してから20年目」となっている。落語家でいえば二ツ目~真打昇進数年後といった層にあたる。普段、寄席に出演する機会が少なく、この会を通じて知り得た人も多い。
トリのべ瓶は、以前に一度聴いて注目していた。仲入りの志ん五は、緩い喋りが魅力。
客席は満員だった。

あられ『子ほめ』
達者な前座だ。

一花『黄金の大黒』 
師匠仕込みなのか江戸弁が立つ。喋りは流暢だし有望な女流だ。ちょいと色っぽいと思ったらこの人、人妻なんだね。

小笑『粗忽の釘』 
今年真打昇進。独特の癖のある喋りは、ネタのリズムに合っていた。

志ん五『お菊の皿』  
やたらハイテンションで飛ばす若手が多い中で、ゆったりとした芸風が魅力。
番町の地名の由来は、江戸時代の旗本のうち、将軍を直接警護するものを大番組と呼び、大番組の住所があったことから番町と呼ばれた。オリジナルによれば、この物語の殿様は、火付盗賊改・青山播磨守主膳とされている。志ん五の高座は全体的には良かったが、殿様に凄みが欠けていたのは、顔が優しいせいか。

白酒『青菜』 
マクラで、オリンピックの開会式や菅首相をネタに毒舌。植木屋がご馳走になった鯉のあらいを、旨くもなんともない酢味噌の味しかしないと言うあたりは、この人らしい。植木屋の女房が押し入れに入るのを見て、亭主が「久々に動くのを見たな」と呟くのが可笑しい。白酒の体形のせいか、前半の涼しさは感じなかったが、後半の暑苦しさは十分に味わえた。

母心『漫才』
お馴染みの歌舞伎の見得を切る所が受けていた。

べ瓶『らくだ』
この人の高座を観ながら思いついたのだが、このネタは東京なら8代目三笑亭可楽、大阪なら近年では6代目笑福亭松喬の名を上げたいが、いずれも顔がちょいと強面。『らくだ』に出てくる人物は、いずれも社会の底辺に属し、一癖も二癖もある人物ばかりだ。このネタの演者は適不適があり、例えば古今亭志ん朝は若い頃演じたが、以後は高座に掛けなかったのは適性がないと思ったからだと推測する。立川志らくで一度聴いたことがあるが無残なものだった。
そういう点でいえば、べ瓶は適性がある。らくだの兄貴分が凄む所は迫力がある。前半はややダレ気味だったが、後半は良く出来ていた。特に屑屋が亡くなった前妻の思い出を涙ながらに語る場面は、グッときた。本当は最後の葬列まで演じて欲しかったが、時間の制約でやむを得なかったのだろう。

2021/07/24

その通りとなった「呪われた五輪」

たびたび失言をくり返し批判を浴びている麻生太郎だが、時には鋭いことも言う。昨年3月の参院財政金融委員会で発言した「呪われたオリンピック」もその一つ。
麻生によれば、五輪は「40年ごとに問題が起きた」という。1940年冬の札幌五輪と同年夏の東京五輪が日中戦争のために返上。1980年のモスクワ五輪では西側諸国が旧ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議しボイコットし、変則的な大会になった。その40年後の2020年の東京大会はコロナ禍で1年延期というわけだ。
2020東京大会は、最初からケチがついていた。
・2015年ー新国立競技場のデザインが予算オーバーで白紙撤回
・2015年ー五輪のエンブレムが盗用疑惑で白紙撤回
・2019年ー竹田JOC会長の五輪招致の際の買収疑惑
・2021年ー組織委員会の森会長が女性蔑視発言で辞任
・2021年ー開会式と閉会式の演出を統括する佐々木宏が女性タレントを侮辱する発言で辞任
・2021年ー開会式の音楽担当の小山田圭吾が過去のイジメを理由に
辞任
・2021年ー開閉式のショーディレクターの小林賢太郎がホロコーストを題材にしたコントを理由に解任
7月23日に開会式が行われたが、この先どんな問題が発生するかは未だ分からない。

菅首相や安倍前首相は何かというと、前回の1964年東京大会での感動を持ち出す。「あの熱狂を再び」というわけだ。確かにマラソンのアベベ、女子体操のチャスラフスカ、そして女子バレーボールの日本チームの優勝は印象に残っている。職場のオッサンたちが晩酌を片手に、TVに映るチャスラフスカの艶技に鼻の下をのばしながら見入っていて奥方に叱られた、そんな話題が賑わっていたっけ。
今と違うのは、当時はオリンピックを無邪気に楽しんでいたこと。高度成長期にあって、日本が東洋で最初の開催国になったという誇らしさもあった気がする。
しかし、現在はオリンピックの様々な負の側面や裏側が明らかになり、以前のように国民あげて歓迎する空気は一新された。それは何もコロナ禍の大会に限ったことではない。巨額の金が動き、公金がIOC幹部やその周辺に流れている仕組みを多くの人が気付き始めている。
高圧的なIOC、安心と安全をただただ念仏の様に繰り返す政府、内部統制の取れない組織委員会、存在感の薄いJOCや東京都。
不祥事の噴出はその結果に過ぎない。
「呪われたオリンピック」はその通りとなった。

2021/07/23

寄席のお囃子「太田その」

7月23日付東京新聞に、太田そのさんについて書かれている。太田そのと聞いてピンと来る人はかなりの寄席通と思われる。彼女は寄席のお囃子(三味線)なので、高座で顔を見ることはない。高座下手(しもて)の簾内(みすうち)で演奏するので、客席では音を聴くだけだ。出演者が高座に上がるときに演奏する「出囃子」や、曲芸や奇術、紙切りに演奏する「地囃し」が、お囃子の仕事だ。落語家それぞれの出囃子を弾き分け、紙切りで観客からアニメのキャラクターが注文されれば、その主題歌を即興で弾くこともある。寄席囃子の曲は数百曲に及ぶといわれ、三味線の演奏技術に加えて邦楽の知識が求められる。唄を入れることもあるので、喉も必要だ。また流行している曲にも挑戦せねばならず、太田そのの場合は、「鬼滅の刃」「ボヘミアン・ラプソディー」や、米津玄師の「死神」もレパートリーに加えている。
寄席は365日の昼夜公演なので、配置されるお囃子は数多いが、なかでも太田そのは一番腕が立つという(柳家権太楼によれば)。落語家の出囃子では、演者が座布団に座り頭を下げたタイミングで、きれいに音が鳴りやむことが肝要。だから寄席には不可欠な存在なのだ。
新聞記事では、太田そのの経歴が紹介されいて、6歳から日本舞踊を始め、高校時代から三味線を習い、東京芸大の邦楽科を専攻する一方早稲田の落研に所属していたとある。どうしてもお囃子になりたくて、柳家小三治に入門。「仕事の喜びは落語がきけること。『はめもの』(落語の中で、三味線を効果音や効果音楽として使う)で、師匠にご満足いただいた時は本当に良かった、と思います」と語る彼女。
お囃子の中には、独演会の色物などで稀に高座に上がる人もいるが、太田そのは恐らく出たことはないと思う。今回の記事の写真で初めてその姿を見ることができた。
Sono

【訂正】
tkoさんよりコメントで、太田そのは、小三治の独演会で「柳家そのじ」として高座に上がることがあるそうです。本文の該当部分を訂正します。

2021/07/20

白鵬のマナー違反に対して、そろそろ手を打つべきだ

大相撲名古屋場所は、白鵬ー照ノ富士による9年ぶりの全勝対決を白鵬が制し、最後の最後に盛り上がりをみせた。
7月19日に行われた横綱審議会では、照ノ富士の横綱昇進が全会一致で承認され、来場所からは久々に東西両横綱の番付が見られる。
その一方で、横審では白鵬の土俵上での振る舞いについては、苦言が呈された。
矢野弘典委員長は、照ノ富士戦での肘打ちのようなかち上げや張り手、ガッツポーズなどを例に挙げ、「見苦しく、どう見ても美しくない。勝つためには手段を選ばないという思いを抱いた人が多かったのではないか。長い歴史と伝統に培われてきた大相撲が廃れていく」と厳しい言葉で批判。「協会で指導してほしい」と要望した。
山内昌之委員は、「13、15日目はもうあり得ない。ほとんど最低のレベルの相撲じゃないですか。横綱としては特に。私は名古屋場所、千秋楽を正面で見ていたのですが、終わった後のガッツポーズとか雄たけびとか鬼の表情とか。あれはなんだい。全然問題外でしょ。なにも語ることはないですよ。横審の全員が厳しい意見でしたよ。理事長からも厳しく、14、15の相撲について呼び出して注意するそうです」と語った。
横審の意見を受けて、理事長から白鵬に厳重注意するだろうが、従来通りで本人は意に介さないだろう。何故なら、白鵬からすればルールを破っているわけじゃないと思っているからだ。見苦しいだの美しくないだのという主観的な言い方では通用しないのだ。
根本的な解決法として、次の提案をしたい。
①規則で張り手は認めているが、拳で相手を張ることは禁じられており反則負けとなる。これを準用して、肘打ちと、相手の顔面目がけてのかち上げを禁じ手として、反則負けとする。
②土俵上でガッツポーズや雄たけびをあげた際には、その場で(観客の前で)審判が注意する。
以上は、全ての力士に対し共通で適用する。
白鵬独自の問題としては、サポーターを巻いた手でかち上げをするのは、止めさせた方がいい。
白鵬のマナーについては、大相撲を国技(神事)と見るか、スポーツとしての格闘技と見るかによって、評価が分かれる。相撲協会があくまで伝統にこだわるなら、力士たちに根本的な考え方を教育することだ。

2021/07/18

小山田圭吾の言動はイジメを遥かに超えている

東京オリンピックの開会式で作曲を担当しているミュージシャンの小山田圭吾が、過去に雑誌のインタビューで学生時代にいじめを行っていたことを告白していた問題が大きな波紋をよんでおり、海外の大手メディアでも報じられている。
小山田は7月16日にツイッターに謝罪文を投稿し、大会組織委も報道各社にコメントを出した。小山田の発言について、「不適切だ」とする一方、「本人は発言について反省しており、現在は高い倫理観をもって創作活動に献身するクリエーターの一人であると考えている。1週間後の開会式に向けて、引き続き最後まで準備に尽力していただきたいと考えている」とし、辞任や解任はしない意向を示した。
この一連の出来事は海外の大手メディアでも報じられている。
しかし、これを本人のツイッターでの謝罪や、組織委のコメントだけで片づけていいだろうか。
小山田圭吾が行ったイジメについて、日刊スポーツが詳報している。読むに堪えない内容だが以下に紹介する。

東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会が発表した五輪開閉会式の制作メンバーに、作曲家として名を連ねた小山田圭吾氏(52)の過去発言が炎上している件で、日刊スポーツは、いじめを告白している雑誌の2冊目も入手した。
邦楽誌「ロッキング・オン・ジャパン」(ロッキング・オン)の1994年(平6)1月号で、学生時代に、いじめに加担していたことを認めた上で「全裸にしてグルグルにひもを巻いてオナニーさしてさ。ウンコを喰わしたりさ。喰わした上にバックドロップしたりさ」「だけど僕が直接やるわけじゃないんだよ、僕はアイデアを提供するだけ(笑)」(原文まま)などと悪びれることなく語っていた。
サブカル誌「クイック・ジャパン」(太田出版)95年8月号のインタビューでも、いじめを告白し、非難の声が相次いでいることが既に判明。22ページにわたり、いじめを語っていた。小山田氏が、障がい者というAさんに対し「みんなで脱がしてさ。(局部を)出すことなんて(Aさんにとって)別に何でもないことだからさ」「障害がある人とかって図書室にたまる」「きっと逃げ場所なんだけど」と認識しながら「みんなで見に行こう」と行動していたこと、体育倉庫で「マットレス巻きにして殺しちゃった事件とかあったじゃないですか、そんなことやってたし、跳び箱の中に入れたり」と詳細な記憶として明かしている。
掲載当時、小山田氏は26歳。分別のつく成人が、ダウン症の生徒が通う特別支援学校を笑い話にしたり、本人いわく「朝鮮人」という男子へのいじめを告白している。インタビューはAさんとの高校卒業式での会話で締めくくられている。進路を聞き「ボランティアをやりたい」と答えたAさんに対し、小山田氏は「おまえ、ボランティアされる側だろ」と。
東京2020大会のコンセプトの1つは「多様性と調和」だ。起用は正しいのか。国立での開会式まで1週間という土壇場で、SNSでは「ふさわしくない」「開閉会式は絶対に見ない」「音楽を聴かない」などの批判が飛び交っている。
(日刊スポーツ 2021年7月16日)

もはやイジメを通り越して、完全な犯罪行為である。しかも、反省するどころか、出版物の中で得々と自慢している感覚が許せない。人間としてクズだ。
小山田圭吾の音楽家としての技量については判断する材料を持ち合わせていないが、こうした人物を敢えてオリンピックの開会式の作曲に起用し、なんの根拠も示さず「現在は高い倫理観をもって」と本人を擁護している組織委の判断は承服しかねる。

2021/07/16

日本を「密告社会」にするつもりか

西村康稔経済再生担当相は7月2日の記者会見で、飲食店が新型コロナウイルスの感染対策を適切に講じているかを、大手グルメサイトを通じて利用者から情報収集するシステムを導入することを明らかにした。情報は都道府県と共有し、都道府県が実施している第三者認証制度の質の担保に役立てる。7月中にもスタートさせたい意向だ。
具体的には、大手グルメサイトの「食べログ」「ぐるなび」「ホットペッパー」の協力を得て導入。各サイトから国が設けるページにリンクを張り、①手指消毒するよう声をかけられたか②座席は1メートル以上離れていたか③食事中以外のマスク着用を勧められたか④換気は十分だったか、などの設問に答えてもらう。
収拾した情報は国や都道府県だけで共有し、グルメサイトは保持しない。国はシステムに関する問い合わせを受け付けるコールセンターも開設する、というもの。

こうした措置は、住民同士を監視させ、集めた情報を国に集約するという「密告制度」に道を開くものだ。
グルメサイトの書き込みについては、以前から店のサービスと引き換えに高い評価をつける「ステマ」や、反対に悪意をもって不当に低い評価を与えて店に損害を及ぼす、などの問題が指摘されてきた。
今回は評価が国や自治体に上がるだけに、公平性がどこまで担保されるのか大いに疑問だ。
「密告制度」は政府にとって麻薬の様なものであり、一度手を出すとやめられない。それは旧ソ連や旧東独、「赤狩り」時代のアメリカ、今の中国の実態を見れば分かることだ。
西村大臣に対して、直ちに措置の撤回を求める。

2021/07/15

日本の戦後を問う『反応工程』(2021/7/14)

『反応工程 Reaction Process』
日時:2021年7月14日(水)14時
会場:新国立劇場 小劇場 THE PIT
脚本:宮本研
演出:千葉哲也
<   キャスト   >
高橋ひろし/牟田(係長)
平尾仁/猿渡(職長)
有福正志/荒尾(責任工)
天野はな/正枝(見張り勤務、荒尾の妹)
河原翔太/木戸(動員学徒)
久保田響介/田宮(動員学徒)
田尻咲良/節子(田宮の妹)
清水優/林(動員学徒)
内藤栄一/太宰(勤労課員)
奈良原大泰/影山(学徒動員)
八頭司悠友/矢部(見習い工)
若杉宏二/柳川(徴用工)
神農直隆/清原(監督教官)
神保良介/憲兵

【あらすじ】(注意:ネタバレあり)
舞台は、太平洋戦争の敗色濃い1945年8月5日、九州中部にある三井系の軍需指定工場の休憩室。戦前は染料を製造工場も、今ではロケット砲の推進薬を作り出す"反応工程"の現場となっている。 徴兵されて人手不足になったため、田宮、林、影山らの動員学徒も配属され、工員らと共に汗を流している。勝利を信じる田宮だったが、勤労課の職員である太宰に戦争の本質を説かれ、禁書となっている本を渡される。
8月7日、前日に広島に大きな爆弾が落ちて大勢の人が死んだという噂が届く。この頃は北久州でも空襲が激しくなり、皆内心では戦争の勝利に不安を感じるが口には出せない。そんな中、影山に召集命令が下り、周囲からはオメデトウと祝福されるが影山は何だか浮かない顔。影山は徴兵拒否で逃亡する。一方、憲兵による私物検査で、田宮が禁書を持っていることが分かり、誰から貰ったのか厳しい追及を受けるが田宮が黙秘したため憲兵から激しい暴力を受ける。田宮は、監督教官の清原に学生が本を読むことがなぜ悪いのか問いただすが、清原の答えは曖昧なものだった。事情を知った太宰が自分が渡したと憲兵に名乗り出る。
戦況がさらに悪化した8月10日、工場は爆撃を受け、林や田宮と恋仲だった正枝が死亡する。逃亡していた影山は招集に応じることにして戻ってくるが、既に母親が息子の逃亡を恥じて縊死したことを知る。
1946年3月、終戦後の工場では、戦後を生きた人々が再会する。戦争中はさんざん戦意高揚を煽った人物が戦後のどさくさに紛れて金儲けをしていたり、熟練工の荒尾に係長が退職の打診をしたりと、様々な動きがある。工場を訪れた田宮はお互いの無事を喜び、進学を諦めて農業をしていることを告げる。

本作品は、宮本研が32歳の時の1958年に書いたものだ。作者自身の体験、すなわち戦中の苦しい時代から戦後の混乱期、労働運動の高揚とレッドパージ、朝鮮戦争を経て日本の独立とサンフランシスコ体制が確立するまでの時期と重なる。
上演時間では戦時中の場面が多いが、作者が言わんとしていることは、最後の戦後の場面に集約されていると思う。
戦後の日本は戦争責任を問うこともなく、自らを加害者として反省することなく、過去を顧みないまま戦後を歩み始めた。
それが、例えば労組の大会で皇居遥拝して君が代を歌うという主張がなされるといった場面や、戦意高揚を煽った人物が戦後はひたすら金儲けの精を出すといった場面や、戦時中のスローガンの上に労組のビラを貼る場面などに象徴的に表れている。
戦争が遠い過去のなりつつある今、多くの方に観てもらいたい演劇だ。
フルオーディションで選ばれた出演者は熱演だったが、演技力にバラツキがあるように思えた。
書かれた時代にせいか、怒鳴り合う場面が多かったのは致し方なかったか。
公演は、7月25日まで。

2021/07/14

公務員のテレワーク実施率はどうなのよ

東京五輪・パラリンピックを「安全・安心な大会」にするためにと、武田良太総務相は2021年6月11日、大会開催期間中の49日間を、テレワークの集中的な実施を民間企業などに求める「テレワーク・デイズ」にすると発表した。政府がテレワークの集中的な実施を求めるのは、オリンピック開会式の4日前となる7月19日から、パラリンピックの閉会式が行われる9月5日までの49日間だ。49日、喪に服せか。
武田総務相はこう発言している。
「大会開催期間中は、選手、関係者などの移動も発生することから、人と人との接触機会の抑制や交通混雑の緩和を通じて、安全・安心な大会を実現するため、より多くの団体にテレワークを実施していただくことが不可欠であります。先ほど、閣僚懇談会を開き、私から各大臣に対し、所管業界への周知徹底や、自らの省庁におけるテレワークの積極的な実施について協力をお願いしました。総務省からも各方面に参加を働きかけております」
しかし、度重なる緊急事態宣言により、民間企業では可能な部署ではテレワークはかなり進んでいる。企業によっては、あるいは部署によっては、テレワークが困難な場合があり、政府から「テレワーク・デイズ」を求められてもオイソレとは応じられないのが実情だ。
処で、公務員のリモートワークはどのくらい進んでいるんだろうか?国家公務員と、東京都であれば都の職員の、リモートワーク実施率を公表して欲しい。加えて、出勤者の理由と対策も。
「隗より始めよ」で、政府と自治体は先ず自らの足元から手本を示すべきだ。

2021/07/13

そんなバッハ!

中国人民の皆さん!、エッ、違うって? ここはどこだっけ、ああ日本か、区別がつかないんだよね。
まあいいや、同じ黄色人種だもん。オリンピック、ガンバリマショー!

「アカ」とは何だったのか?山本おさむ『赤狩り』⑩最終巻

山本おさむ『赤狩り』10(最終巻)
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1940年代からアメリカを席巻してきた「赤狩り」がようやく終息をむかえ、本書の主人公である脚本家のダルトン・トランボの名誉回復が行われた。
政治の世界ではジョン・ケネディ暗殺に続き、キング牧師、ロバート・ケネディが暗殺される。ジョンソン大統領がベトナムに多数の米兵を送り込むが戦況はさらに悪化、ついにニクソン大統領によりベトナム戦争が終結される。「赤狩り」が朝鮮戦争に始まり、ベトナム戦争の終結とともに終わるのが象徴的である。
本書ではケネディ暗殺こそが最大の赤狩りだったと結論づけている。それはキューバへの侵攻を止めてソ連との平和共存を図り、ベトナム戦争を終わらせようとしたケネディに対する軍需産業の軍産複合体、それに加担したCIAやFBIによるからの攻撃であったというのが作者の解釈だ。
「赤狩り」というと一般的のは反共産主義を指すが、「アカ」とは「社会に害をもたらす行動・態度・思想・意図」であり、「それらを総じて共産主義と見做し、社会から追放する」ことが「赤狩り」だと作者はいう。
今日、ロシアでの政敵の投獄、中国での香港や新疆ウイグルへの弾圧、ミャンマー軍による市民の虐殺、そして60年前に起きアメリカの「赤狩り」(本書では触れていないが日本でも「赤狩り」はあった)と、社会体制に関係なく「社会に害をもたらす行動・態度・思想・意図を社会から追放する」行動が行われている。
そうして見ていけば、「赤狩り」は今日的な問題である。
本書では、トランボが原作者である『ジョニーは戦場に行った』を映画化するまでの苦心や反戦色が濃いことを理由に米国での上映が妨害されたこと、トランボが脚本を書いた『ダラスの熱い日』が米国内のメジャーでの上映が断れたことが書かれている。いずれも当時のベトナム戦争やケネディ暗殺への異論の封殺が背景にある。
アカデミー協会は『黒い牡牛』に続き『ローマの休日』がトランボの作品であることを正式に認め、オスカーを贈った。アカデミー協会はこれをもって謝意を示す形にしたが、他の映画関係の協会からは正式な謝意を行われなかった。それは映画の資金を出しているのがウォール街のグローバリスト達であり、彼らが「赤狩り」を反省するわけがないからだ。

2021/07/11

「東京五輪」選手やボランティアへの抗議・嫌がらせは、やめよう

強行される東京五輪への抗議活動が活発になっているのは当然のことだ。
しかし、出場選手や大会ボランティアに対して抗議や嫌がらせする事態も起き、先日は聖火リレー参加者に液体をかける事件もあった。これらは行き過ぎというより、全く無意味だ。彼らは大会開催についてなんら決定権を持たないからだ。悪いのはアの人とスの人と、IOCと組織委員会だ。
抗議する側としては「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」という心境かも知れないが、とんだ「お門(おかど)違い」というものだ。
話は変わるが、大会ボランティアに対して組織委員会が、ユニホーム姿で競技会場に来るよう指示が出されている。会場に更衣室がないというのが理由だそうだ。ボランティアの人の更衣室ぐらい準備してやればいいのに。更衣室の他に、「街に祝祭的な彩りを与えて欲しい」という狙いがあるという。これじゃまるで「チンドン屋」代わりだね。
どうも組織委員会というのは上部にはヘイコラする癖に、目下の人間にはまるで奉公人扱いだ。

2021/07/10

「盛り土」の不正への法的規制

静岡県熱海市の大規模土石流をめぐり、原因が記録的な大雨による自然災害でだけでなく、人災の側面も浮かび上がった。山の上部で崩落した盛り土が、被害を大きくしたのでは、という疑いが濃くなっている。
県によると、県外の不動産管理会社が2007年に残土処分のため盛り土の届けを市に出し、工事が始まった。3年後に木くずや産業廃棄物が混ざっていたことが発覚、撤去の指導を受けていた。更に届け出では、盛り土の高さを15メートルとしていたが、崩落直前には約50メートルに達していた。
しかし、県の指導が行き渡っていたのか、業者がそれを受け容れ対処していたのかがはっきりしない。
産廃業者の中には、産業廃棄物を法律に沿って処理せずに、山林などの不法に投棄する者もいる。そうした産廃を周囲の土とともに掘り出し、盛り土に利用するケースがある。これだと、産廃を引き取る時に費用を貰い、盛り土用の土砂を売って費用を貰う、ダブルで儲かるので笑いが止まらない。こんな悪徳業者はザラにいて、各地で問題を起こしている。
現役時代の下請け企業が、工場建設を行った際に、ボーリングして地盤の盛り土に大量の廃棄物が混ざっていることを発見した。直ぐに工事を担当した不動産会社に連絡し、廃棄物を除去するよう指示したがラチがあかず、結局その企業の方で土を掘り返して処理を行った。その処理費用について不動産会社との交渉が長引き、工場の建設が半年以上遅れてしまった。
これとは逆に、ある知り合いの企業の工場で大量の破棄物が発生したが、その破棄物を土中に埋めて盛り土して、新しい工場を建ててしまった。それが退職した従業員から某右翼団体の耳に入り、経営者が脅迫された。街宣車を流すと脅かされ、経営者が右翼に金を払って解決した。
恐らく、こうした例は全国各地で起こっているだろう。
処が、現在は盛り土を規制する法整備が進んでいない。国による法律はなく、条例を制定した自治体もあるが、地方自治法に基づいて、罰則は懲役2年以下、罰金100万円以下にすぎず、業者にとって「やったもん勝ち」なのだ。
熱海市の大規模土石流の原因究明と同時に、盛り土に対する法規制を急ぐ必要がある。

2021/07/08

国立演芸場7月上席(2021/7/7)

「国立演芸場7月上席」7日目
前座・柳家ふくびき『やかん』
<  番組  >
柳家蝠よし『ろくろ首』
瀧川鯉橋『青菜』
ぴろき『ウクレレ漫談』
柳家蝠丸『妻の舞妓』
~仲入り~
古今亭今輔『群馬伝説』
宮田陽・昇『漫才』
古今亭寿輔『ラーメン屋』

国立演芸場7月上席は芸協の興行で、顔付けは渋めながら好きな噺家を揃えているので出向く。先日の鈴本よりは入りは多めだが、それでも30名弱。寿輔がいま一番安心で安全な場所は国立演芸場だと言っていた。確かにここならコロナ感染の心配はない。

蝠よし『ろくろ首』
スミマセン、心地よく眠ってしまった。

鯉橋『青菜』
いつもキッチリと古典を演じる。この日は季節感溢れるネタだった。酒の「柳蔭」を奥方が運んでくるのと、植木屋がコップでなくガラスの猪口で飲む所が通常と異なる。上手くまとめていたが、前半の屋敷での場面はもう少しゆったりと演じて欲しかった。マクラを含めて15分程度で演じるには無理があったようだ。

ぴろき『ウクレレ漫談』
いいですね、客席のダレた雰囲気にピッタリだ。

蝠丸『妻の舞妓』
今日は芸協噺で、昭和の香りのする珍しいネタをと。柳家金語楼こと有崎勉作品らしい。近ごろ亭主が女房に関心を持たず、外で飲み歩いていると相談を受けた仲人が、女房に舞妓の格好をしてもてなすことを勧める。他愛ないストーリーだが、蝠丸の話のリズムによく合っていて、面白く聴かせていた。

今輔『群馬伝説』
毎度お馴染みのネタ。「上毛カルタ」を小道具に、群馬を自虐的に紹介するというもの。年配者が多かったせいか、反応は今ひとつ。

陽・昇『漫才』
現役の漫才で、このコンビが一番面白い。東京漫才のスタイルを守りながら、どこか知的な感じがするのだ。
師匠は、先日亡くなった江戸の売り声を披露する漫談家の宮田章司(元は漫才師)で、その師匠は宮田洋容。宮田洋容・布地由起江は昭和20-30年代に活躍した漫才コンビで、ミュージカル風な演出を採り入れるなど独特の芸風だった。

寿輔『ラーメン屋』
小さな声、これは今日の28人分の声で、聞こえなかったらあと50人連れて来てと。そうすればもっと大きな声を出すと。3列目の客をいじりながら、相変わらず惚けたマクラを振って本題へ。
高座に掛けるのは2年ぶりと言っていたが、私は2度目。5代目古今亭今輔の作で、あの臭さが苦手でこのネタは好きになれなかった。寿輔の高座はその臭さがかなり薄められていて、好ましかった。

後半の3席は、いずれも芸協ならではの演目で、色物を含め芸協色の濃いプログラムだった。

2021/07/05

そんな百合子に騙されて

7月4日に行われた東京都議選、定数127の各政党・会派の当選者は次の通り。

    当選  選挙前  
都民  31   45
自民  33   25
公明  23   23
共産  19   18
立民  15    8
維新   1     1
生ネ   1     1
無所   4     5

選挙前の議席と数字だけで比べれば、都民ファーストの減ー14を、自民の増+8と立憲民主の増+7が埋めた結果となっている。
しかし選挙前は自民党の大勝、都民ファーストの惨敗が予測されていたが、それとは大きな隔たりが起きた。
その原因は、今回もまた「小池百合子」の劇場型選挙が功を奏した格好となった。即ち、国政での与党である自公両党に配慮しながら、都民ファーストを支援するという戦略である。
世論調査でも小池の支持率が高かったが、個別政策では都民の多数が小池の都知事としての手腕を評価したとは思えない。コロナ対策では国の政策に追従するだけで、他は専ら都民への行動自粛を呼びかけるだけだった。東京オリパラに至っては、小池は開催都市の首長であるにも拘わらず明確な意志を示さなかった。これも自公への配慮と、開催に批判的な都民の声を両方にらみながらの行動と見れば納得がいく。
そこにあるのは、どう立ち回れば自分にとって有利となるかの計算であり、都民への見せ方だけだ。その「演技力」には感心するが、その「臭さ」には辟易とさせられる。結果から見れば、都民は小池の「演技力」「臭さ」にしてやられた恰好となったのは、お見事としか言いようがない。
これを機に国政に進出するという観測もあるが、さもありなん。
自民党が大きく伸び悩んだのは、コロナへの対応に加え東京オリパラの開催強行に対する批判と見られる。安倍長期政権の影響から議員も官僚たちもすっかり緩んでしまい、不祥事が続発したことも要因だろう。
立憲民主と共産党の選挙協力は、立憲民主の議席増加には寄与したが、共産党は現状維持にとどまった。共産党にとってはあまりメリットがなかったようだ。
今秋に予定されている衆院選への影響だが、自民党が大きく議席を減らすようなら首相の交代もあり得るだろう。その場合、準与党である維新の会を引き込んで自公維の3党連立になるかも知れない。
野党連立政権への道は遠い。

2021/07/03

「反ワクチン」で一儲け

新型コロナ向けワクチンの接種に反対する「反ワクチン」運動が問題となっている。ワクチンの危険性や陰謀論をふりまき国民を不安に陥らせている。
陰謀論では、例えば「コロナワクチンにはマイクロチップが入っていて、5G電波で操られ、打てば5年で死ぬ」といった荒唐無稽なものもあるが、これを信じる人がいるから恐ろしい。
2020年9月、ロンドン大学の研究チームが世界149ヶ国から約30万人を対象に、ワクチンの信頼度を調査した結果、日本は「世界で最もワクチンが信頼されていない国」と評価された。
欧州の研究チームによると、ワクチン接種に後ろ向きの人たちの特性は、女性、若年者、低学歴、低所得をあげていて、日本人を対象にした結果もほぼ同様。
イギリスの「ランセット・デジタルヘルス」では、反ワクチン運動の関係者を、活動家、起業家(政治家を含む)、陰謀論者、SNSのコミュニテイーの4群に分類している。
アメリカの活動家デル・ビッグツリーは、「ワクチンを接種してない女性が、ワクチンを打った男性と接触すると流産し、母乳を介して乳児に毒が移行し、認知機能が損なわれる可能性がある。」と繰り返し主張している。有名なナチュラリストのビッグツリーの主張は影響力が強く、日本人の中にも信奉者がいて本気で信じる者もいる。
SNSでは、ワクチンが低温で保管されるにを狙い、低温保管器の「#プラグを抜こう」という運動まで起こし、実際に被害も出ている。もはや「愉快犯」だ。
起業家の中には、「反ワクチン」で金儲けする人もいる。米国では反ワクチンをテーマにしたSNSのアカウントが約3千8百万存在し、彼らを対象とした広告収益が約10億ドル(約1100億円)に達するという。
出版物としては、内科医が書いた「医師が教える新型コロナワクチンの正体」がベストセラーを記録している。一方、内科医が運営するサイトでは、ブラジル・アマゾンに暮らすインディオが長年にわたって受け継いできた知恵と森の恵みが凝縮された「コパイバ マリマリ聖木樹液」と称する商品を販売している。そっちかよ、と言いたくなる。
今後、若い層の人たちにワクチン接種を拡大する上で、科学的根拠のない「反ワクチン」宣伝を打ち破っていかねばならない。
それにはワクチンによる死亡例について、専門家による実証研究が必要だ。
持病などの理由でワクチン接種ができない人もいるし、接種するか否かは個人の判断に委ねられる。
デマや陰謀論に惑わされることなく、正確な情報をもとに判断するよう願いたい。
ワクチンへの信頼度は国民の政府への信頼度と相関関係があると言われている。「安心・安全」を念仏の様にくり返して東京五輪を強行したり、自治体にワクチン接種を急がせた挙句、フタを開けたらワクチンが足りないといった事態を繰り返していたら、政府への信頼度は落ちるばかりだ。

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