その通りとなった「呪われた五輪」
たびたび失言をくり返し批判を浴びている麻生太郎だが、時には鋭いことも言う。昨年3月の参院財政金融委員会で発言した「呪われたオリンピック」もその一つ。
麻生によれば、五輪は「40年ごとに問題が起きた」という。1940年冬の札幌五輪と同年夏の東京五輪が日中戦争のために返上。1980年のモスクワ五輪では西側諸国が旧ソ連のアフガニスタン侵攻に抗議しボイコットし、変則的な大会になった。その40年後の2020年の東京大会はコロナ禍で1年延期というわけだ。
2020東京大会は、最初からケチがついていた。
・2015年ー新国立競技場のデザインが予算オーバーで白紙撤回
・2015年ー五輪のエンブレムが盗用疑惑で白紙撤回
・2019年ー竹田JOC会長の五輪招致の際の買収疑惑
・2021年ー組織委員会の森会長が女性蔑視発言で辞任
・2021年ー開会式と閉会式の演出を統括する佐々木宏が女性タレントを侮辱する発言で辞任
・2021年ー開会式の音楽担当の小山田圭吾が過去のイジメを理由に
辞任
・2021年ー開閉式のショーディレクターの小林賢太郎がホロコーストを題材にしたコントを理由に解任
7月23日に開会式が行われたが、この先どんな問題が発生するかは未だ分からない。
菅首相や安倍前首相は何かというと、前回の1964年東京大会での感動を持ち出す。「あの熱狂を再び」というわけだ。確かにマラソンのアベベ、女子体操のチャスラフスカ、そして女子バレーボールの日本チームの優勝は印象に残っている。職場のオッサンたちが晩酌を片手に、TVに映るチャスラフスカの艶技に鼻の下をのばしながら見入っていて奥方に叱られた、そんな話題が賑わっていたっけ。
今と違うのは、当時はオリンピックを無邪気に楽しんでいたこと。高度成長期にあって、日本が東洋で最初の開催国になったという誇らしさもあった気がする。
しかし、現在はオリンピックの様々な負の側面や裏側が明らかになり、以前のように国民あげて歓迎する空気は一新された。それは何もコロナ禍の大会に限ったことではない。巨額の金が動き、公金がIOC幹部やその周辺に流れている仕組みを多くの人が気付き始めている。
高圧的なIOC、安心と安全をただただ念仏の様に繰り返す政府、内部統制の取れない組織委員会、存在感の薄いJOCや東京都。
不祥事の噴出はその結果に過ぎない。
「呪われたオリンピック」はその通りとなった。
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ご無沙汰しております。新国立競技場は新たに建設しなくてもという意見も出ていて相当物議をかもしていたことを思い出しました。あと音楽担当とショーディレクターの件は組織委員会が危機管理をできていなかったからと推察しています。(該当人物の身辺調査がされてなかったということてはないかと)でもなんといっても許せないというかあり得ないのは女性蔑視発言の人間を名誉職にしようとする了見です。あんなことをすると日本は世界中から笑いものにされるだけだと思うのは、私だけでしょうか。
投稿: ぱたぱた | 2021/07/24 18:04
ぱたぱたさん
はしなくも今回の五輪で、日本の人権感覚が露呈されてしまいました。恥ずべきことです。
投稿: home-9 | 2021/07/24 21:18