「盛り土」の不正への法的規制
静岡県熱海市の大規模土石流をめぐり、原因が記録的な大雨による自然災害でだけでなく、人災の側面も浮かび上がった。山の上部で崩落した盛り土が、被害を大きくしたのでは、という疑いが濃くなっている。
県によると、県外の不動産管理会社が2007年に残土処分のため盛り土の届けを市に出し、工事が始まった。3年後に木くずや産業廃棄物が混ざっていたことが発覚、撤去の指導を受けていた。更に届け出では、盛り土の高さを15メートルとしていたが、崩落直前には約50メートルに達していた。
しかし、県の指導が行き渡っていたのか、業者がそれを受け容れ対処していたのかがはっきりしない。
産廃業者の中には、産業廃棄物を法律に沿って処理せずに、山林などの不法に投棄する者もいる。そうした産廃を周囲の土とともに掘り出し、盛り土に利用するケースがある。これだと、産廃を引き取る時に費用を貰い、盛り土用の土砂を売って費用を貰う、ダブルで儲かるので笑いが止まらない。こんな悪徳業者はザラにいて、各地で問題を起こしている。
現役時代の下請け企業が、工場建設を行った際に、ボーリングして地盤の盛り土に大量の廃棄物が混ざっていることを発見した。直ぐに工事を担当した不動産会社に連絡し、廃棄物を除去するよう指示したがラチがあかず、結局その企業の方で土を掘り返して処理を行った。その処理費用について不動産会社との交渉が長引き、工場の建設が半年以上遅れてしまった。
これとは逆に、ある知り合いの企業の工場で大量の破棄物が発生したが、その破棄物を土中に埋めて盛り土して、新しい工場を建ててしまった。それが退職した従業員から某右翼団体の耳に入り、経営者が脅迫された。街宣車を流すと脅かされ、経営者が右翼に金を払って解決した。
恐らく、こうした例は全国各地で起こっているだろう。
処が、現在は盛り土を規制する法整備が進んでいない。国による法律はなく、条例を制定した自治体もあるが、地方自治法に基づいて、罰則は懲役2年以下、罰金100万円以下にすぎず、業者にとって「やったもん勝ち」なのだ。
熱海市の大規模土石流の原因究明と同時に、盛り土に対する法規制を急ぐ必要がある。
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