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2021/07/13

「アカ」とは何だったのか?山本おさむ『赤狩り』⑩最終巻

山本おさむ『赤狩り』10(最終巻)
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1940年代からアメリカを席巻してきた「赤狩り」がようやく終息をむかえ、本書の主人公である脚本家のダルトン・トランボの名誉回復が行われた。
政治の世界ではジョン・ケネディ暗殺に続き、キング牧師、ロバート・ケネディが暗殺される。ジョンソン大統領がベトナムに多数の米兵を送り込むが戦況はさらに悪化、ついにニクソン大統領によりベトナム戦争が終結される。「赤狩り」が朝鮮戦争に始まり、ベトナム戦争の終結とともに終わるのが象徴的である。
本書ではケネディ暗殺こそが最大の赤狩りだったと結論づけている。それはキューバへの侵攻を止めてソ連との平和共存を図り、ベトナム戦争を終わらせようとしたケネディに対する軍需産業の軍産複合体、それに加担したCIAやFBIによるからの攻撃であったというのが作者の解釈だ。
「赤狩り」というと一般的のは反共産主義を指すが、「アカ」とは「社会に害をもたらす行動・態度・思想・意図」であり、「それらを総じて共産主義と見做し、社会から追放する」ことが「赤狩り」だと作者はいう。
今日、ロシアでの政敵の投獄、中国での香港や新疆ウイグルへの弾圧、ミャンマー軍による市民の虐殺、そして60年前に起きアメリカの「赤狩り」(本書では触れていないが日本でも「赤狩り」はあった)と、社会体制に関係なく「社会に害をもたらす行動・態度・思想・意図を社会から追放する」行動が行われている。
そうして見ていけば、「赤狩り」は今日的な問題である。
本書では、トランボが原作者である『ジョニーは戦場に行った』を映画化するまでの苦心や反戦色が濃いことを理由に米国での上映が妨害されたこと、トランボが脚本を書いた『ダラスの熱い日』が米国内のメジャーでの上映が断れたことが書かれている。いずれも当時のベトナム戦争やケネディ暗殺への異論の封殺が背景にある。
アカデミー協会は『黒い牡牛』に続き『ローマの休日』がトランボの作品であることを正式に認め、オスカーを贈った。アカデミー協会はこれをもって謝意を示す形にしたが、他の映画関係の協会からは正式な謝意を行われなかった。それは映画の資金を出しているのがウォール街のグローバリスト達であり、彼らが「赤狩り」を反省するわけがないからだ。

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