「反ワクチン」で一儲け
新型コロナ向けワクチンの接種に反対する「反ワクチン」運動が問題となっている。ワクチンの危険性や陰謀論をふりまき国民を不安に陥らせている。
陰謀論では、例えば「コロナワクチンにはマイクロチップが入っていて、5G電波で操られ、打てば5年で死ぬ」といった荒唐無稽なものもあるが、これを信じる人がいるから恐ろしい。
2020年9月、ロンドン大学の研究チームが世界149ヶ国から約30万人を対象に、ワクチンの信頼度を調査した結果、日本は「世界で最もワクチンが信頼されていない国」と評価された。
欧州の研究チームによると、ワクチン接種に後ろ向きの人たちの特性は、女性、若年者、低学歴、低所得をあげていて、日本人を対象にした結果もほぼ同様。
イギリスの「ランセット・デジタルヘルス」では、反ワクチン運動の関係者を、活動家、起業家(政治家を含む)、陰謀論者、SNSのコミュニテイーの4群に分類している。
アメリカの活動家デル・ビッグツリーは、「ワクチンを接種してない女性が、ワクチンを打った男性と接触すると流産し、母乳を介して乳児に毒が移行し、認知機能が損なわれる可能性がある。」と繰り返し主張している。有名なナチュラリストのビッグツリーの主張は影響力が強く、日本人の中にも信奉者がいて本気で信じる者もいる。
SNSでは、ワクチンが低温で保管されるにを狙い、低温保管器の「#プラグを抜こう」という運動まで起こし、実際に被害も出ている。もはや「愉快犯」だ。
起業家の中には、「反ワクチン」で金儲けする人もいる。米国では反ワクチンをテーマにしたSNSのアカウントが約3千8百万存在し、彼らを対象とした広告収益が約10億ドル(約1100億円)に達するという。
出版物としては、内科医が書いた「医師が教える新型コロナワクチンの正体」がベストセラーを記録している。一方、内科医が運営するサイトでは、ブラジル・アマゾンに暮らすインディオが長年にわたって受け継いできた知恵と森の恵みが凝縮された「コパイバ マリマリ聖木樹液」と称する商品を販売している。そっちかよ、と言いたくなる。
今後、若い層の人たちにワクチン接種を拡大する上で、科学的根拠のない「反ワクチン」宣伝を打ち破っていかねばならない。
それにはワクチンによる死亡例について、専門家による実証研究が必要だ。
持病などの理由でワクチン接種ができない人もいるし、接種するか否かは個人の判断に委ねられる。
デマや陰謀論に惑わされることなく、正確な情報をもとに判断するよう願いたい。
ワクチンへの信頼度は国民の政府への信頼度と相関関係があると言われている。「安心・安全」を念仏の様にくり返して東京五輪を強行したり、自治体にワクチン接種を急がせた挙句、フタを開けたらワクチンが足りないといった事態を繰り返していたら、政府への信頼度は落ちるばかりだ。
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