五輪が映した韓国の感情
東京オリンピックが閉会した8月13日付「東京新聞」に、ソウル支局の中村彰宏が五輪と日韓関係について書いていた。
その記事によると、韓国でも東京五輪への関心が高く、TVで連日中継されていた。目についたのは、日本を敵視したような表現で、個人競技でさえ日本と韓国の選手が対戦すると、「韓日戦」とあおる。韓国では歴史問題を背景とした反日感情が根強く、スポーツの世界でも日本は特別な相手としてとらえている。韓国紙のスポーツ記者は「選手たちは幼い頃から、日本にだけは負けるな」と教わるという。
もちろん、競技の世界だから、時に互いにライバル視して競い合うことは大事だが、上記の記事の通りだとしたら、それは根底に「憎悪」が置かれているとしか思えない。
東京五輪で韓国は、初っ端から「竹島」の領有権問題を絡めて、与党幹部らによる五輪ボイコットの主張がなされた。開催の趣旨に賛同できなければボイコットをするのは自由だ。しかし、選手村に掲げた韓国選手団の横断幕での、「臣には、まだ5千万国民の応援と支持が残っています」のスローガンはどうなんだろう。これは韓国の抗日の英雄である李将軍が国王に捧げた、「臣には、まだ十二隻の船が残っています」の言葉から引いたもので、IOCが五輪憲章に反すると判断したのは当然だ。選手村の食事について、食材に福島などの放射能汚染のものが使われているとのことで、韓国から取り寄せた食材で調理したものを選手に提供した行為も行き過ぎだろう。大会中、繰り返された旭日旗への批判についても、妥当とは思えない。放射線状のデザインや施設の形状にまで旭日旗批判に結び付けられるのは、いささか度を越していると言わざるを得ない。
1930~1940年代にかけての「アジア太平洋戦争」において、日本はおよそ10年にわたる中国への侵略戦争や、植民地として韓国や台湾を始め、東南アジア諸国に多大な被害を与えた。そのことは決して忘れたはならないし、今後同じ過ちを繰り返してならない。
今の日本政府の、こうした歴史を否定するかのような方針や、南京事件や関東大震災における朝鮮人殺害(私の両親は大震災を経験していたので話は聞かされていた)を否定するような歴史修正主義は誤りだ。ネットの一部のサイトや、右翼紙誌が「嫌韓」を煽っているのは唾棄すべき事柄だ。
同時に、韓国の行き過ぎた反日行為も、あるべき日韓関係にとって障害となる。
スポーツの世界においても、日韓が互いに隣国として、競い合い讃え合う関係になるべきだろう。
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