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2021/08/27

海外駐在員のコロナ死

いま、アフガニスタンに残されている日本人救出のため、自衛隊が現地に派遣されているが、この夏、企業からアジア駐在を命じられた多数の日本人が、現地でコロナに感染し死亡している。
例えば、インドネシアではおよそ20人がコロナで死亡した。過去に邦人が海外で犠牲になった事件としては、2013年のアルジェリア人質事件で10人、バングラデシュでの襲撃事件で7人がそれぞれ亡くなっているが、今回のケースはそれを遥かに上回る、日本の産業史上の海外展開としては最悪の事態だった。その割には報道の扱いも少なく、世間の関心も低い。
感染事態の全貌が把握されていないが、首都ジャカルタ近郊には多くの日本企業が進出しており、現地駐在員の多くは郊外にある日本人向けコンドミニアムから通勤している。施設内にはプールやジム、スーパー、レストランなどが完備されていて、地区によっては日本人学校まで開校している。とても便利である反面、コンドミニアムは閉鎖空間であり、日本人とインドネシア人スタッフだけの「密」状態にあった。その一つのコンドミニアムでコロナ感染が始まり、7月までに100人以上が陽性になっていた。近くに外国人向けの専門病院はあるが、その時点で既に満床。やむを得ず自室で待機していて、そのまま亡くなるケースが相次いだ。
もしコロナ感染が拡大し始めた時点で、本社が帰国命令を出していれば、助かった人が大半だったろう。しかし、各企業は横並びの対応しかせず、日本大使館なども十分な情報発信を怠っていた。
ベトナムでもコロナ感染が拡大しており、帰国を希望する駐在員もいるが、日系航空会社が日本ーベトナム間の運行を止めていて、諦めるケースが大半だ。
その他、老後を送る日本人がアジア各地に数千人いるとみられる。「俺を生かしてくれ」という言葉を残してコロナ感染で亡くなったのは、バンコクに滞在していた70代の人だ。そうした長期滞在者のおよそ半数が、過去にアジアに駐在経験のある元ビジネスマンだと推定されている。
結局、政府も企業も、こうした海外に駐在あるいは滞在している人たちに助けの手を差し伸べることなく、「棄民」しているのが現状だ。
(月刊誌「選択」8月号の記事を参考にした)

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