「自宅療養」ではなく「自宅放置」だろう
政府は新型コロナ感染者のうち、重症化リスクの少ない中等症患者は自宅療養にするという方針を決定した。これまで中等症以上の患者は原則入院だったから、大きな政策転換だ。該当するのは「中等症1」の患者で、臨床状態が呼吸困難で肺炎の所見があるという人が対象になる見通しだ。
私が昨年、肺炎で入院したが、やはり呼吸困難で相当に苦しい思いをした。あの状態を自宅で続けると考えたらゾッとする。患者の心理としては、重症化に怯え、死の恐怖と向きあうことになる。
それでも通院や往診などで治療を受けられるなら未だいいが、そうした体制も取られない。実態は「自宅療養」ならぬ「自宅放置」だ。
政府が、ワクチン接種が進んだので感染や重症化が減るという勝手な妄想が招いた結果だ。
もう一つ、各自治体が発表している新型コロナ患者「確保病床数」が、不正確ではないだろうか。例えば東京都の場合、「確保病床使用率」は50%台であり、数値からすれば未だ余裕がありそうに見える。しかし各医療機関から寄せられている意見としては、「ベッドは空きがあるが、医師や看護師が足りなくて、新たな入院は受け容れられない」という声が多い。大事なのは「ベッド数」ではなく、医療体制を含めた「入院患者の受け入れ可能数」だ。
政府も厚労省も、恐らく数字だけ見て判断しているだろう。そうすると実態から乖離したものになり、楽観的な見方に結び付いた可能性がある。
各自治体は早急に「確保病床数」を「入院受け入れ可能数」に改めるべきだ。
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