コロナ患者の自宅療養と「ハッピー・ハイポキシア」
6月、愛知県で追突事故後に男性が死亡。運ばれた病院で新型コロナウイルスに感染していたことが分かりました。治療にあたった医師は、この男性が「自覚のない低酸素状態」で運転していた可能性があると指摘しています。
交通事故の後に死亡した男性。実は新型コロナの重症者だったことが分かりました。
愛知県東海市の県道。6月30日午前7時ごろ、信号待ちの乗用車に軽自動車がゆっくりと接近。すると、そのままコツンと追突します。
追突された車の男性が軽自動車を見ると、運転席で男性が突っ伏していました。
男性は50代。救急隊が駆け付けると、すでに心肺停止の状態。
搬送された病院で死亡が確認されました。死因を調べるためにCT検査をすると、治療にあたった医師も驚く症状が…。
治療にあたった医師:「正常な肺の部分は一切残っていない、ひどい肺炎があって、コロナ肺炎による低酸素血症が死因」
男性は亡くなった後の検査で新型コロナの陽性と判明。
肺炎が重症化し、低酸素の状態にもかかわらず、自ら運転していたことになります。
治療にあたった医師:「もう本当に死ぬ直前の酸素が足りない状況でも車が運転できてしまう。まさにハッピー・ハイポキシアという状態」
「ハッピー・ハイポキシア」とは「自覚症状が乏しい低酸素症」のことだといいます。
(中略)
埼玉医科大学総合医療センター・岡秀昭教授:「自覚症状としての息苦しさを一切、訴えない人をよく目にする。あまり重症そうではないという見た目で惑わされてはいけない」
埼玉医科大学総合医療センターのコロナ病棟では「自覚のない低酸素症」と思われる重症患者が救急搬送されてくることも多いといいます。
(中略)
今回、愛知県で治療にあたった医師は、「コロナによる在宅孤独死がたまたま運転する車の中で起こったと。こんな悲しい現実があることを世間の人たちにも知ってほしい」と語っています。
(以上、「テレ朝news」2021/9/6 より)
上記の記事のドライバーは、仕事に出るため自分で軽自動車を運転して家を出て、その運転中に「容態急変」し、信号待ちしている間に心肺停止。この様に症状が激変するのが、新型コロナ感染者の特徴だ。
いま、新型コロナ感染者のうち、重症化リスクの無い人には「自宅療養」が基本とされているが、これは「伝染病には隔離」という原則に反するものだ。感染経路の多くが「家庭内感染」という調査結果が出ているが、当たり前なのだ。
自宅療養だと、外出を完全に禁止することは困難だ。外に出た患者からの感染リスクもある。
加えて、コロナ患者特有の「ハッピー・ハイポキシア」により、本人が自覚せぬまま急速に容態が悪化し、自宅で必要な手当てを受けられぬまま亡くなるケースも増えている。7月だけで31人の人が自宅で亡くなっている。
前回の記事で、政府の「自宅療養」を基本という方針に意を唱えたのは、自民党内で塩崎泰久議員だけだったと紹介した。
して見ると、いま総裁選に立候補している人たちは、みな政府方針を受け容れていたことになる。
政府にとって最も重要な責務は、国民の生命と安全を守ることだ。総裁選では各候補が安全保障について敵基地先制攻撃など威勢のいい政策を語っているが、コロナ患者の自宅療養のような「いま、そこにある危機」をどうやって回避するかについて、あまり議論されていない様だ。これでは国民の負託に応えられない。
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