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2021/10/10

第69回「大手町落語会」(2021/10/9)

第69回「大手町落語会」
日時:2021年10月9日(土)13時
会場:日経ホール
<  番組  >
前座・古今亭菊一『雑排』
入船亭小辰『初天神』
柳亭小痴楽『湯屋番』
柳家さん喬『ちりとてちん』
~仲入り~
隅田川馬石『火焔太鼓』
柳家権太楼『心眼』

9月に3回落語会に行く予定だったが、いずれも家族の通院の付き添いなどの事情で断念。直前だったのでチケットを譲ることも出来ず、勿体ないことをした。都内の寄席も、鈴本演芸場が10月下席から通常の営業に戻るようで、ようやく日常に近づきつつある。
大手町落語会は権太楼とさん喬がレギュラーで、これに2-3名の出演者が加わると言う構成になっている。今回は楽しみな顔付けだった。

菊一『雑排』
東大大学院卒だそうで、一昔前なら、親は嘆くだろうなと思われただろうが、今は事情が変わってきたのか。

小辰『初天神』
小辰の様な「上り坂」の噺家を見るのは楽しい。どんな姿を見せてくれるのかと言う、ワクワク感がある。土下座までして父親にねだる金坊の弾け方を演じて、受けていた。
余談だが、柳家の大名跡で長期にわたり空席になっている談洲楼燕枝を、三三か小辰に襲名させたらどうだろうか。ぴっかり☆が来春、蝶花楼を名乗ることだし。

小痴楽『湯屋番』
起き抜けで、人を笑わせる気分ではないと言いながら、熱演していた。小痴楽は明るさと勢いで見せるタイプなので、技術的な点は無視。こういう人も噺家には必要だ。

さん喬『ちりとてちん』
小辰や小痴楽を見て、自分も若い頃は勢いがあったと語っていたが、さん喬の若い頃の録音を聴くと、今とは随分印象が違う。年齢を重ねながら、自分の芸風をどう変えてゆくかは、それぞれの大きなテーマなんだろう。人情噺に定評のあるさん喬だが、私はこの日のような軽い滑稽噺の方を好む。

馬石『火焔太鼓』
肩の力を抜いた「脱力系」の人、長い手を不思議な形で動かすのが特徴、体が柔らかいんだね。1分で仕入れた太鼓が300両で売れて、有頂天になる主の描き方が上手い。人情噺も得意としているのは、師匠譲りだ。

権太楼『心眼』
マクラで、写真家の大森克己が、柳家権太楼の口演「心眼」の一部始終を写し取った写真集「柳家権太楼 心眼」について紹介があり、今渋谷駅の公園通りで写真のパネル展示がされているそうだ。
このネタの色男の盲人と不器量の女房の組み合わせだが、中学時代に隣にあったアパートの大家が正にその通りだったので、私にはリアリティがある。
主人公の按摩の梅喜は、周囲から蔑まれていたが、客に小春という芸者がいてお互い憎からず思っていた。梅喜は賢妻のお竹の献身には感謝する一方、心の奥で小春と深い仲になりたいという欲望を抱いていたのだろう。それが夢の中で現れてしまい、梅喜自身が慄然となったに違いない。罪の深さを感じた梅喜の、「信心はもうやめた。メクラってぇものは妙なもんだね。寝ているうちだけよーく見える」という幕切れのセリフになったと思う。
と、これは私の解釈だ。
権太楼は全く別の解釈で演じたかも知れない。
演者によって、聴き手によって、様々な解釈がされる、そういうネタである。

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