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2022/01/22

真打の粗製乱造

ある寄席で、真打の噺家のひどい高座に出会った。高座名だけでは分からなかったが、帰って調べてみて納得がいった。前座、二ツ目の時も下手だと思っていたが、真打になって名前が変わっていたので分からなかったのだ。
三遊亭圓生の「寄席育ち」を読むと、かつては万年前座というのがいた。いつまで経っても二ツ目になれない噺家だ。なかには、二ツ目昇進を打診しても、「私は未だ実力が備わっていません」と本人から断るケースもあったという。
現在の真打制度は、落語協会、落語芸術協会を問わず基本的には香盤順(大まかに入門時の序列順)となっていて、たまに抜擢で昇進するケースを除けば自動昇格だ。
これは、かつて真打昇進をめぐって協会の分裂が起きていたこと、抜擢を受けた人が周囲の羨望で嫌な思いをしていた場合があったこと、といった事情を考慮したものと思われる。
反面、観客の評価や評判を全く無視したもので、専ら内部事情が優先された結果である。
親や祖父が噺家だったからと、まるで噺家を家業に様に勘違いしてる人も見かける。客にとってはいい迷惑だ。
歌舞伎の世界では、かつて名優として名高い人の息子が、あまりに演技が上達せず廃業した例もあるのに。
なかには、もともと噺家に向いてないと思われる人もいるが、それでも一定年数が経てば真打だ。
これでは昇進を目指して努力したり、お互いに切磋琢磨したりする状況が生まれない。
真打になってもなかなか寄席に顔付けされない人や、寄席でトリを取ったのは真打昇進が最初で最後という人もいる。
「名ばかり真打」を量産しては意味がない。いっそ階級制度を廃止したらどうだろうか。
上方落語には階級制度がないが、それで何か不都合なことがあるとは聞いていない。
若手だろうとベテランだろうと、上手い人は上手いし、下手な人は下手だ。肩書などなくても、客はよく知っている。

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コメント

この問題には根深いものがありますね。
協会の分裂にも繋がったんですから。

小さんによれば、昔の真打昇進は、席亭や贔屓筋が聴いていて
「これなら」と言って太鼓判を押す、というパターンが多かったそうです。
(高橋義孝との対談より)

福さん
今の様に自動昇格なら、真打制度に意味があるにか疑問です。

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