NHKの字幕捏造について
NHKは2月10日、東京・渋谷の同局で、BS1スペシャル「河瀬直美が見つめた東京五輪」における字幕問題について会見を行い、調査結果を報告した。これまで確認が取れず「不確か」としてきた字幕の内容を、「誤りだったと判断した」と説明した。
同局は12月放送の同番組において、ある男性が五輪反対デモに金をもらい動員されたと裏付けのないまま字幕を付けて放送していた。
問題化した1月以降に行った男性への聞き取りではデモに参加した事実確認がとれず、これまで字幕を「不確かな内容」としてきた。
調査チーム責任者の松坂千尋専務理事は、2月上旬に改めて男性にヒアリングをした結果、男性の記憶があいまいだったとし「調査チームとしては五輪反対デモに参加したと確証は得られなかったので、字幕の表現は誤りだったと結論づけた」と述べた。
同時に、番組を担当した大阪放送局のディレクター、チーフ・プロデューサー、専任部や上司ら6人の懲戒処分も発表した。
(以上は「日刊スポーツ」の記事を引用)
番組を制作した大阪放送局によると、男性の発言は、実際には「過去に(五輪以外の)デモに参加したことがあり、金銭を受け取ったことがある」との内容だった。
もともと、NHKは、五輪礼賛の空気が局全体を覆っていて、反対運動には冷ややかだったといわれる。このため、反対運動の理不尽さを訴え、五輪支持を広げる世論操作に走ったと推測する向きもあるようだ。
影山貴彦同志社女子大教授は、1月14日付毎日新聞に「NHKの側に何か意図的なものがあったと疑わざるを得ない。視聴者が、五輪反対デモはお金をもらえるからやっている、いかがわしいものだと感じる恐れがある」
中立であるべきメディアが、世論を二分したオリンピック開催の賛否について、視聴者を賛成の方向に誘導しようと受け止められても仕方がない」とコメントを寄せている。
(以上は「PRESIDENT Online」の記事より引用)
ここまでくると、これは「誤り」ではなく「捏造」だ。NHKの、五輪反対デモなんていうのは、金を貰ったヤツがやっているという、勝手な思い込みが招いたものだろう。
過去にも「金を貰ってデモ」という虚偽の放送を行い、被害を受けた原告が裁判に訴え勝訴した事件があった。「DHCテレビジョン」が制作した沖縄基地問題を特集した番組だ。「反対運動の参加者に、のりこえねっとが日当を支払っている」「反対派が救急車を止めた」など、事実に基づかない内容が複数あり、反対派を「テロリスト」「犯罪」と表現し、「黒幕」として辛淑玉さんを名指しし、「在日韓国・朝鮮人の差別に関して戦ってきた中ではカリスマ。お金がガンガンガンガン集まってくる」などの発言もあった。
昨年9月の一審判決で、DHCテレビジョンに対し、損害賠償など約550万円と謝罪文の掲載を命じた。
今回の捏造は、公共放送であるNHKが行ったもので、社会的責任はより重大である。
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