原発や化石燃料の従事者
福島の原発事故があった後、原発のの全面停止を主張する記事を書いたところ、当ブログにたびたびコメントを寄せていた方から、「もう二度と記事は読まない」と宣告されてしまった。その方は女性で、どうやら夫が原発関係の仕事をされているようで、当方の主張が反感をかった模様だ。ある産業を無くそうとそれば、設備は廃棄すれば済むかも知れないが、そこに従事している人間は、そうはいかぬ。これで当方の主張を曲げるわけではないが、そうした事に思い至らなかった点は認めざるをえない。
いま、地球温暖化を進めるうえで、石炭や石油などの化石燃料を無くしていこうという方向に政策が進んでいる。
その一方で、石炭や石油の産業には多くの従事者がおり、「お前の仕事はこれから必要なくなる」と言われたら、どういう気持ちになるだろうか。将来を考えて暗澹たる気分になるだろう。
他の産業に転換させればと言っても、そう容易でないことは、1960年代の日本の経験からしても断言できる。当時の日本はエネルギー政策の転換により、燃料を石炭から石油に切り替えが急速に行われた。その結果、多くの炭鉱が閉山に追い込まれ、多数の炭鉱労働者が失業することになった。これをめぐって全国で労働争議が起きて、特に三井三池炭鉱では、総労働対総資本の決戦と言われた、一大争議になった。炭鉱労働者の場合、親子代々といった人も多く、明日から別の仕事をとは簡単にいかなかったのだ。
これから世界的な規模でこうした動きが発生する可能性があり、対応を迫られることになる。
時代の変化とともに、産業構造が変わってゆくことは避けられないが、切り捨てられる産業の従事者をどう手当てしてゆくかも、政治の課題だ。
私たちも、そうした事に思い致すことを忘れてはなるまい。
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