ウクライナ危機の根本にあるもの
先ず、ウクライナの地図を見てください。東側はロシアで、ちょうどロシアの喉元にあたる位置にあります。特に黒海に面するクリミア半島は、ロシアが欧州に出てゆく重要な出口となっていて、ここが使えなくなればロシア海軍が欧州に出動する際には、バルチック艦隊を北からグルリと回すしかないので、緊急の対応が難しくなります。
さらに、ウクライナはEUとNATOへの加盟を目指していて、もし加盟が実現すればウクライナに米国のミサイルが配置されるようになり、これがロシアの安全保障にとって大いなる脅威になります。
だから、ロシアとしてはウクライナのNATO加盟だけは絶対に阻止したい。先ずは、クリミア半島を含むウクライナ東部のロシアが実効支配している地域を守りたい。そのために、ウクライナに軍事圧力をかけているのが現状でしょう。
ソ連が崩壊した時に、ソ連の属していた各国は財政立て直しのために国有資産を叩き売りしたのですが、その期に乗じて大儲けした人もいました。ウクライナも例外ではなく、オリガルとよばれる資産家が生まれました。彼らは政商で、一方でロシアのプーチンと結びつく一方、ウクライナの政界を牛耳ってきました。そのため、ウクライナの歴代政権はロシアとの関係が強かったのです。国内にこうした親露派を抱えていることも、ウクライナの状況を複雑にしています。
私がウクライナを訪問したのは2017年で、既に東部はロシアの支配下に入っていました。
ウクライナの最高の観光地オデッサで、20代の現地ガイドに質問しました。
「ソ連についてどう思う?」、
答えは「ソ連時代の方が良かった。今もソ連に憧れている」
「なぜ?」、
答えは「みんなが平等だったから」
「クリミアがロシアに編入されてしまったが、どう思う?」、
答えは「クリミアの人たちが羨ましい」
国民の中にはこうした声もあるのが現実で、ウクライナ危機がどう収まっていくのか、目が離せません。
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