ウクライナ侵略と真珠湾
昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領の国会演説が行われた。率直な感想を言わせて貰えば、あまり心に響くものがなかった。内容はニュースなどで既に報じられているもので、これだとわざわざ日本の国会で演説する必要性があったのかどうか。それと、もうちょっとマトモな日本語が話せる通訳がいなかったのかな。
核攻撃や原発の危険性を述べるなら、広島と長崎の原爆投下や福島の原発事故は外せないのでは。前者はアメリカへの配慮があったのかも知れないけど。日本への予備知識や関心が高くなかったのかな。
もっとも日本でさえ、今回の戦争が起こる前は、ウクライナという国がどこにあるのかさえ知らない人が多かったのでは。
ウクライナへの侵略ではすっかり悪者になってしまったベラルーシだが、首都ミンンスクにある有名な聖シモン聖エレーナ教会では、敷地内にヒロシマ、ナガサキ、フクシマの土がカプセルの中に入って埋められている。教会の脇の入り口には、長崎から贈られた鐘が設置されていて、ツアーに参加した私たちは、一人一人が鐘をついてきた。
ウクライナ同様、チェルノブイリ原発事故により大きな被害が出たベラルーシでは、それだけ日本への関心が高まったのだ。
先にゼレンスキー大統領が米国議会で演説した際に、ロシアの侵略を真珠湾攻撃に例えたことが、ネットの一部から非難を浴びている。基地を攻撃したのであって、民間施設ではなかったと言う事らしい。戦闘開始は、軍事施設への攻撃が常套手段であって、この点はウクライナ攻撃も真珠湾攻撃も違いはない。
真珠湾攻撃は追い詰められた日本がやむにやまれず行ったという主張もあるが、この理屈が通るなら今回のロシア侵略を非難できない。
NATOはもともとソ連(ロシア)を封じ込めるための軍事同盟であり、隣国のウクライナがNATOに加盟したなら、ロシアの安全保障にとって脅威となると考えたとしたら、追い詰められたからやむにやまれずという理屈も成り立つ。
どちらの場合も、客観的にどうかということより、先制攻撃の理由づけにしている点が共通である。
つまりは屁理屈。
近ごろ、「第二次世界大戦の真実」といったタイトルの本が眼につくが、いくつか内容紹介を見ると、戦争の原因がユダヤと共産主義者としているようだ。そう、ヒットラーと同じ主張で、ナチス思想は消滅していない。
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