近ごろの日本ちょっと変だぜ
札幌で開催予定だった文学展「疫病とロシア文学」が延期となった。理由は参加者に危害が加わる恐れがあるから。東京のロシア食材店の看板が破壊されたことから、主催者が自粛したとのこと。
この文学展は、19世紀のロシアで科学的な考えが浸透するなかで、文学者が疫病をどう表現してきたかを紹介する内容だった。コロナ感染下の日本にとっても時宜を得たテーマだったと思う。
現在のロシアへの非難と、ロシア文学や文化に関心を持つこととは全く別の問題だ。
こういう事が理解できない人間は、戦時中に「鬼畜米英」さけび、英語を話すことや、英米の音楽を聴くことを禁じた精神構造と同じだ。そういう連中に限って、戦争に負けるやいなや「アメリカ万歳」に変身してしまった。
月刊誌「選択」3月号の巻頭で、ロシア人作家のボリス・アクーニンがこう語っている。
プーチンの強権的な政治支配は、やがてロシアがソ連崩壊に続く、第二の崩壊に導くと。
反面、プーチン時代のプラス面として、ロシア人の日本への関心が激増した。誰もが日本食や日本アニメを愛し、日本文学を読むようになり、俳句を作る。日本人とロシア人は気質やメンタリティーが近いと思うと述べている。
こういう時だからこそ日本とロシア双方が、お互いの国の実情や国民性を理解し合うことが大切ではあるまいか。
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