盗人(ロシア)にも三分の理
「盗人にも三分の理」
意味は、盗人にも、盗みをするにはそれ相応の理由がある。非難すべき行為におよぶ者にも言い分はある。また、どんなことにも理屈をつけようと思えばつけられること。(「コトバンク」より)
世の中、ウクライナ支援とロシア非難の一色だが、私の家族や知人たちは、異なる主張をもっている。いまだと、袋叩きにあうので世間に公表するのは控えているようだが。
先の諺にあてはめれば、ロシアにもウクライナに侵攻する三分の理があったのではという意見だ。その理由にあげているのが、NATO(北大西洋条約機構)の存在だ。
第二次世界大戦後のいわゆる「ヤルタ体制」により、欧州の東西分割が行われた。やがて「冷戦」の時代になり、米国を盟主とする西側はソ連の共産主義勢力の拡大をおさえるためにNATOを結成した。これに対抗するために、ソ連を盟主とする東側はワルシャワ条約機構を結成した。双方ともに軍事同盟だ。戦後の世界情勢は、この二つの陣営の対立を軸に動いていた。
1991年にソ連共産主義体制が崩壊し、同時にワルシャワ条約機構も解体した。
ところがNATOは当初の目的がなくなったにも拘わらず存続し、さらに旧ソ連同盟国にまで勢力を拡大させた。
それだけならNATOが脅威となるとは言えないが、1999年に起きた旧ユーゴスラビアの内戦にNATOが介入し、NATO軍によるセルビア(親ロシア政権)への空爆が行われた。これは明らかにNATO地域外での軍事行動であり、ロシアとしては警戒心を抱かざるをえなかったろう。
NATOの勢力拡大が、旧ソ連を形成した国にも及びつつあり、これをロシアが安全保障上の脅威としても、そう不思議ではない。
NATOは軍事同盟であり、現状ではNATOはウクライナの加盟を認めない。「火中の栗を拾う」気はないからだ。
ウクライナのゼレンスキー大統領が、なぜ実現不可能なNATO加盟を主張し出したのかは、謎である。
以上が、「ロシアの三分の理」と思われる。
« 時代の変化についてゆけない爺さんたち | トップページ | 戦争とルッキズム »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 左翼の退潮とポピュリズムの台頭(2023.04.15)
- ウクライナ戦争と「反撃能力」(2023.04.06)
- 今のロシアはかつての日本と重なる(2023.02.25)
- 台湾というリスク(2023.02.04)
- 「首相長男の公用車観光」は日本の構造上の問題(2023.01.31)
初めまして!よろしくお願いします。
現在、市役所や図書館などの公共施設にウクライナ支援(?)の募金箱が置かれています。対してロシアへの支援の動きは、ほとんど見られない思います。コレの原因は色々あるでしょうが、ひとつには日本人の意識の中にロシアへの根強い“不審感”のような感覚があるかと思います。昨今の日露平和条約、特に北方領土問題に関するものや、70数年前の(日ソ)不可侵条約を一方的に破棄した上、不意打ち的に攻め込んだ歴史的事実があると感じました。一部の方は知りませんが、大半の日本人は内心でロシアを信じられない国家だと感じている。そのことが“判官贔屓的に”ウクライナの側に肩入れする現象となっているかと思いました。 失礼します。
投稿: 与太 | 2022/04/02 18:12
与太さん
ようこそ! 今回のウクライナへの侵略でロシアが非難されているのは当然のことです。ただ、旧ソ連による対日参戦は「ヤルタ会談」で米英から要求したものであり、そのためソ連欠席の平和条約でも日本はソ連の言い分をそのまま認めてしまいました。そういう背景も知っておく必要があるかと思われます。
投稿: home-9 | 2022/04/02 18:59