第72回「大手町落語会」(2022/4/23)
第72回「大手町落語会」
日時:2022年4月23日(土)13時
会場:日経ホール
< 番組 >
前座・柳亭さん坊『寿限無』
三遊亭わん丈『星野屋』
柳亭こみち『妻の酒』
柳家権太楼『天狗裁き』
~仲入り~
三遊亭兼好『粗忽の使者』
柳家さん喬『百年目』
コロナ禍に自身や家族の健康問題もかさなり、寄席や落語会への足が遠のいてきたので、久々の外出となった。
2列目の通路側という理想的な席だったので、演者の仕草がよく見られた。
さん坊『寿限無』、このネタでミスするようじゃ。
わん丈『星野屋』
師匠だった円丈の死去にともない、三遊亭天どん門下に移ったと報告。この人と小辰は抜擢で真打にあげても良いと思うのだが。最近は、圓朝作品のネタ下ろしに挑むなど、意欲的な試みを続けている。
この演目は、妾の母親を除く全員が騙し騙されるので、恐らくは水商売を生き抜いてきたであろう母親のしたたかが印象的。
わん丈の高座は、各人物の演じ分けが明瞭で良い出来だった。登場人物がいささか現代的に見えるのは致し方ないかな。
こみち『妻の酒』
久々だ。ネタは有崎勉(柳家金語楼のペンネーム)が作った昭和の新作落語で、酒飲みの夫が妻から嫌な顔をされるというと、友人からそれなら妻に酒を飲ませたらどうかと助言。妻は飲むにつけ酔うにつけ次第に乱れてきて、夫が注意すると「昨日の貴方の真似をしただけ」でサゲ。途中ちょっとダレ気味だった。美声をいかして「心残り」を披露したのはご愛敬。
権太楼『天狗裁き』
マクラで、1月末にコロナに感染したことと、会う人ごとに後遺症について訊かれるが、この年になるとどこまで後遺症か区別がつかなくなると、言っていた。症状が軽かったのは何より。
お馴染みのネタだが、夢を見た男が女性の名を呼ぶが、これが全てお囃子の人の名。最後に出てきた「エリちゃん」は、もしかすると「恩田えり」かな? 権太楼の自由自在の世界。
兼好『粗忽の使者』
マクラで、幼稚園児の娘が「今日、パパは12時過ぎになるの」と言ったら、別の園児が「オペなの?」で爆笑。高級住地にお住まいなんですね。
侍の粗忽ブリと、兼好の目力の組み合わせが、可笑しい。
さん喬『百年目』
トリらしい大ネタだった。花見で番頭が酔って遊ぶ所で、忠臣蔵の「七段目」の「由良さん、こちら」を使ったのは工夫。こういう手があるのかと感心した。
反面、いくつかの疑問。
①花見の場面で、周囲の女性が「番頭さん」「旦那さん」と呼んでいたが、あそこは「旦那さん」に統一すべきだろう。
②翌朝の大旦那が番頭に説諭する場面で、番頭が子どもの頃にお灸をすえると「熱い熱い」と泣いたという話を3度繰り返したが、くどい。
③上記を含め、言動が大旦那としての風格に欠ける。米朝や圓生の高座と比べるのは酷かも知れないが。
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こみちの「妻の酒」は女性落語家の面目が立ちそうな演目ですね。
サゲ、強烈です。
将来、ぴっかり、いやもとい、桃花にも演ってもらいたい。
余談
ビール好きなので、はじめ「麦の酒」と読みました。
白鳥の「ジョッキと枝豆」(ジャックと豆の木)になってしまいました。
投稿: 福 | 2022/04/25 06:25
福さん
私のような酒飲みには耳の痛い噺です。
投稿: home-9 | 2022/04/25 08:33