防衛費倍増の先は、いずれ「徴兵制」か
自民党は、安全保障政策としていわゆる「敵基地攻撃」と「先制攻撃」能力、防衛費を対GDPの2%とする倍増計画を立案しようとしている。その他「核保有」も今後の検討課題としている。
これらは従来の専守防衛の基本方針から大きく逸脱するものであり、「非核三原則」の見直しや、さらには憲法9条の改正にまで踏み込むことになる。
連立のパートナーである公明党からは慎重な意見が出ているようだが、維新の会という強力な援軍が存在するので、このまま一気に突き進む可能性もある。
敵基地攻撃というと、いかにも効果がありそうだが、1990年代に起きたNATOによるセルビア空爆、これはNATOが一方的にセルビアを攻撃したものだが、目標への命中率は40%に終わっている。目標が移動性のものであったことと、セルビアの対空防衛が意外に巧妙だったためだ。そのため民間人への犠牲が大きく、NATOの目論見は大きく外れてしまった。
防衛費倍増の件に移るが、2021年度は総額でおよそ5兆3千億円だった。これを倍増するとなると、財源は税金だ(国債発行も最終的には税金)。この分はそっくり増税で賄うしかなく、恐らくは消費税増税に進むだろう。
軍拡というのは常に相手のあることで、こちらが軍事費を増やせば、相手国もよりいっそう軍拡を進めることになる。
防衛費倍増についての大きな問題点として、いくら兵器を増やしてもそれを扱える人間がいなくては意味がない。それに対応した自衛隊員の増員がどうしても必要になる。
ところが、現在の自衛隊では慢性的な定員割れが続いている。
自衛隊の定員は247154名に対し、人員は227442名で、充足率は92.0%だ。陸上,海上、航空、統合幕僚監部ともに定員割れで、隊員の一番下の階級である「士」に至っては、充足率は77%とかなり低い(データはいずれも、2020年3月現在)。
もし防衛費を2倍にした場合に自衛官も2倍になるとしたら、新たにおよそ25万名の人員の確保が求められることになる。
その一方で、我が国の働く世代の人数は年々減少している。
防衛費倍増は5年後を目標にしている様だが、短期間にこれだけ大幅な増員としようと思ったら、
①自衛官の待遇の改善、具体的には給料の値上げ
②志願に頼らず、徴兵制を導入する
といった手段が考えられる。
しかし、自衛官だけ給料を上げるというのは、他の公務員とのバランスの問題もあり、かなり難しいだろう。
残るのは、「徴兵制」か。
これが杞憂に終われば良いのだが、対象となる若者世代は、この問題をどう考えているのだろうか。
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是非とも徴兵制を施行して頂きたいと考えています。ほめくさんは若者は、と書いておられますが、老人が始める戦争に若者を行かせるのは理にかないません。高齢者から徴兵、徴兵制に賛成した政治家から徴兵。高齢者に優しい、寝たきり老人にも使えるの開発が待たれます。
投稿: 熊吉 | 2022/04/29 17:08
熊吉さん
そうですね、軍拡を推進した人物が先ず先頭に立って前線に行ってもらいましょう。
投稿: home-9 | 2022/04/29 18:28
すいません、最後の所、寝たきり老人にも使える兵器の開発、でした。
投稿: 熊吉 | 2022/04/29 18:49