難民受け入れの覚悟
欧州各国に歩調を合わせ、政府はウクライナの難民(区別するために避難民としているが)を積極的に受け入れている。従来の日本は、「難民鎖国」政策をとってきたことから大幅な転換だ。正義と人道にもとづき、難民についても先進国の役割を果たす姿勢は評価できる。
但し、戦争や内乱などで、過去にも、そして現在も世界各国で多くの難民がうまれている。今後は、そうした事態に対応した難民受け入れができなければ、アジアや中東、アフリカの人々に対する差別と言われも仕方ない。
果たして、政府はこの姿勢を貫く覚悟があるだろうか。
政府ばかりではない、国民もまた覚悟がいる。
欧州各国が難民受け入れをめぐって国論が二分され、これを背景に極右勢力が伸張しているのはご存知の通りだ。
先年、中東のレバノンを訪れたが、かの国には国民の数の2割近い難民(パレスチナ及びシリア)が暮らしている。滞在期間も数年から十年単位と長期におよんでいる。
難民の人々も生活のために働かなくてならない。その結果、レバノン人の仕事が奪われたり、賃金低下を招いたりする。
また、援助だけで暮らす難民もいるが、これはこれで国民の不満の的になる。
難民は早く自国に戻ってほしいという声が高まっているが、その自国は未だ混乱が続き、容易には帰れない。
その結果が、国民との軋轢を生み、時に大きな政治問題にまで発展する。
難民問題は、長期にわたる継続的な課題なのだ。
だから、最初は歓迎するが、時間がたつと邪魔者あつかいすることのないよう、私たちの心構えが求められる。
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