NATO加盟、それぞれの選択
北欧のフィンランドとスウェーデンが、北大西洋条約機構(NATO)に加盟することを決定した。両国ともロシアのウクライナ侵略を受けて、国民の間でNATO加盟を支持する声が強まったためだ。
とりわけスウェーデンは、およそ200年にわたる中立・軍事同盟非加盟の外交政策を大転換することになる。加盟問題をめぐっての議会審議で多数の支持を得られたことから、アンデション首相が「国家と国民にとり加最善」「自国のみならずNATO全体の安全保障に貢献できる」として決断した。
審議では、左翼党と緑の党が加盟に反対した。「NATO加盟は緊急性がない」「意思決定のプロセスが非民主的」といった指摘があり、国民投票を行うよう主張している。市民の間では、中立政策を捨てることへの懸念もあり、抗議デモも行われた。
ただ、トルコが両国のクルド人への扱いに不満を示し、加盟に反対していることから、全同盟国の承認が得られるかは不明だ。
日本でも加盟を支持する意見が強いようだが、これにより欧州がNATOと、ロシアなど旧ソ連6カ国でつくる軍事同盟「集団安全機構」(CSTO)の、二つの軍事同盟にキレイに色分けされることになり、緩衝材となるべき中立国が減ることにより軍事的緊張が高まるのではと懸念される。
一方、オーストリアのシャレンベルク外相は、記者からの質問に「加盟する計画はない」と明確に否定した。地理的状況や歴史が両国とは異なるので、オーストリアのモデルにはならないというもの。議会でも与野党を問わず反対意見が強く、世論調査では加盟反対が75%と、賛成14%を大きく上回っている。
NATO加盟国の一つに対する攻撃は、NATO全体の攻撃とみなすという原則が、かえってオーストリアの安全を危うくするとの危惧がある。また、第二次世界大戦の際に、米英仏とソ連により分割・占領されたという苦い経験から、中立と自由がオーストリアのアイデンティティとなっていることも影響しているとのこと。
北欧両国とオーストリアのどちらが正解なのかは歴史が証明することになるだろうが、安全保障にどう向き合っていくか、我々も真剣に考えねばなるまい。
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