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2022/05/03

戦争プロパガンダ10の法則

イギリスの政治家アーサー・ポンソンビーは平和主義者で、その立場から第一次世界大戦へのイギリスの参戦に反対してきた。大戦中に行われた英国をはじめとしてドイツ、アメリカ、フランス、イタリア各国での「嘘」を研究して、「戦争の嘘」という著作を出版した。その中でポンソンビーは、戦争のプロパガンダには共通する10の法則があることを明らかにしている。
これに基づき、ベルギーのアンヌ・モレリが第二次大戦やそれ以降に行われた各種戦争のプロパガンダを分析して、「戦争プロパガンダ10の法則」(草思社文庫、2015年2月9日初版)に著した。

「戦争プロパガンダ10の法則」
1.「われわれは戦争をしたくない」
2.「しかし敵が一方的に戦争を望んだ」
3.「敵の指導者は悪魔のような人間だ」
4.「われわれは領土や覇権のためではなく偉大な使命のために戦う」
5.「われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」
6.「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている」
7.「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大」
8.「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」
9.「われわれの大義は神聖なものである」
10.「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」

これを読んで最初に思ったのは、ウクライナのゼレンスキー大統領が主張しているのものは、そのものズバリだと言う事だ。10項目が全てあてはまる。
恐らくは、ロシアではプーチンが同じ主張をしていて、多くのロシア国民はそれを信じているのだと思う。
過去の戦争では、ヒットラーもルーズベルトもチャーチルもスターリンも、そして日本の戦争指導者も、揃ってこの10の法則に従ってプロパガンダを行ってきた。
敵の残虐行為が宣伝される。ドイツ兵がベルギーの少女の腕を切り落としたとか、イラク兵が赤ん坊の喉を切り裂いたといった情報が流され、敵対心が煽られた。しかし、その後の調査ではいずれも虚偽であることが分かった。
ユーゴスラビア内戦では、セルビア側の残虐行為が糾弾され、それを理由としてNATOが空爆を行うのだが、実際には反対側の勢力もセルビア人に対する残虐行為が行われていた。
戦争の大義は、かつては「神の名」だったが、今では「自由、民主、人権」がそれに置き換わっている。
そして、いったん戦争プロパガンダが始まると、それに反対したり疑問を投げかける者は、全て裏切り者として排除される。
全ての戦争は「防衛のために」行われてきたという事実である。それは今後も変わらないだろう。いま、日本の安全保障について論議されているが、この事実を忘れてはいけない。

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