ロシアの泣き所は「人口問題」
「かれ【彼】 を 知(し)り己(おのれ)を知(し)れば百戦(ひゃくせん)殆(あやう)からず」は、「孫氏」の中の有名な一節だ。
いま、維新や自民がロシアや中国の軍事的脅威を煽って防衛費の倍増を主張しているが、こういう時こそ彼の国の実情を知る必要がある。
ロシアの実情、特に泣き所は大幅な人口減少だ。
2021年の統計によれば、死者数が出生数を104万人上回った。ソ連崩壊時の混乱で、当時の出生率は1.2を切っていたが、この時の世代が結婚適齢期を迎えることになり、出生数はさらに落ち込むことが予想される。
加えて、ロシアから脱出する人が増えていて、ウクライナ侵攻前でも毎年40-50万人が海外に移住していたが、今後は更に拍車がかかるのは必至だ。
移住者の多くは若者が中心で、しかも高学歴の人が多い。つまり頭脳流出が心配されている。
若者のおよそ半数が海外移住を望んでいるとの調査結果もあり、これもまた頭の痛い問題だ。
さらにプーチンが掲げる大ロシア政策にとって痛いのは、人口の減少がスラブ系民族であり、逆にイスラム教の人口は増えていることだ。このまま行けば、近い将来にスラブ系の比率が5割を割り込むことさえ起きかねない。
プーチンとしては、何とかスラブ系の人口を増やしたい。
そのための手っ取り早い方法は、ウクライナ人をロシアに強制移住させる事だった。現在までに130万人のウクライナ人がロシアに強制移住させられているようだ。
ウクライナ東部のロシアが実効支配した地域では、住民にロシアのパスポートを配り、これをロシアの人口増加にカウントしている。
こうして見ていくと、今回のウクライナ侵攻の目的は、ロシアの人口政策にあったと言える。
しかし、こうした手段は一時的なものであり、長期的な解決策にはなりえなりえない。
それよりロシアへの経済制裁による打撃が、ボディブローの様に効いてきて、ソ連崩壊時の様な経済の混乱が起きる可能性がある。
(以上は、月刊誌「選択」6月号の記事を参考にした)
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