「ウクライナ戦争」フタを開ければ米国の一人勝ち
中国の公式メディアが「ウクライナ戦争の最大の勝者は、米国の軍産複合体だ」と評したが、当たらずも遠からずだ。
ウクライナには米国製の兵器が次々と投入されている。携帯型の対戦車ミサイルや、同じく携帯型の防空ミサイルが、ロシアの兵器を破壊し絶大な効果を発揮している。「カミカゼ・ドローン」と呼ばれる「自爆型ドローン」も投入され、ロシアの戦車殺しと言われている。
兵器のパフォーマンスは、実戦で使用しないと証明できない。米国は自国民の血を一滴も流すことなく、性能が証明できるのだ。戦場は兵器のショールームなのだ。
武器輸出は米国とロシアが拮抗していたが、ウクライナ戦争の結果から、これからはロシアを大きく引き離すことになる。
今後は、米国製兵器に注文が殺到すると見られ、この戦争が「バイデンの戦争」という皮肉な見方をする人もいる。
ロシアへの経済制裁により、米国のエネルギー産業と食料輸出は活況をていしている。
2015年頃には、米国のシェール・ガス・オイルの輸出が急増していたが、その後の原油価格の下落で、シェール企業が次々と破綻した。
それがウクライナ戦争の開始ともに息を吹き返し、米国のシェール・ガス・オイル企業が欧州各国と供給契約を結んできている。
LNGを製造する液化プラントも増設が続いており、LNG輸出でも米国が世界トップに立つことが見込まれる。
米国から中国への穀物輸出も好調で、大豆は前年比で1・8倍に達する見込みで、穀物全体でも過去最高を記録すると予測されている。
ウクライナの穀物輸出が復帰するまでには2.3年かかると見られ、ロシアは制裁のため国際市場から閉め出されている。この間隙を米国産が埋めることになる。
兵器も穀物も、米国に特需をもたらした。
かくして、ウクライナ戦争は米国の一人勝ちになる。
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