中国の泣き所は「急激な高齢化」
今年1月に、中国の高齢者(65歳以上)の割合が14.2%に達した。高齢者比率が7%から14%になるまでの期間が20年と、日本の24年を上回っている。
急速な高齢化は、年金財政の悪化をもたらす。
中国の都市部の会社員や公務員は「都市職工年金」に加入しているが、保険料は雇用者側が16%、被雇用者側が8%を支払う仕組みだ。
2020年の都市職工年金財政は、約12兆円の財政補填を受けても単年度収入は赤字となった。
社会科学院が、年金の負担と給付がこのまま推移すれば、都市職工年金の積立金は2035年に枯渇すると警告していたが、そのペースが早まりそうだ。そうなると、給付の削減が現実的な問題となる。
既に、こうした年金危機について庶民は広く認識していて、貯蓄志向が強まり、その結果が消費マインドの冷え込みを招いている。
例えば、今年4月の自動車販売台数が、前年同月比で48%のマイナスになってしまった。ロックダウンや半導体不足の影響もあったが、それにしても10年前の水準にまで落ち込んでしまったわけだ。
消費マインドの冷え込み→企業倒産→失業率の増加を招いている。これにロックダウンによる物流停滞が加わり、体力のない部品製造や加工を支えてきた中小零細企業が経営破綻してきている。
かつては人手不足が深刻だった広東省珠海市で新たに仕事を見つけた人は、100人中3人の割合だという。
政府の公式発表の失業率では、今年4月は6.1%と6ヶ月連続して上昇している。しかし、失業率の実態は30%を超えているとの見方もある。
あまり知られていないが、人民元も対ドル安になっている。人民元の下落は輸入価格の上昇、インフレの高進を招く。習政権は目下、人民元の下落阻止に懸命になっている。
世界経済を牽引してきた中国の市場だが、今後はマイナスの影響を与えることになるかも知れない。
(以上、月刊誌「選択」6月号の記事を参考にした)
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