第74回上方落語会~文化庁芸術祭大賞、東西揃い踏み~(2022/8/11)
第74回上方落語会~文化庁芸術祭大賞、東西揃い踏み~
日時:2022年8月11日14時
会場:横浜にぎわい座芸能ホール
< 番組 >
月亭遊真『お公家女房』
笑福亭喬介『時うどん』
(令和2年・新人賞)
隅田川馬石『明烏』
(令和3年・関東の部・大賞)
《仲入り》
桂吉の丞『胴切り』
(令和3年・優秀賞)
笑福亭松喬『三十石』
(令和3年・関西の部・大賞)
久々の落語会、この間自粛やら体調不良やらで、いくつもの会を断念しチケットは娘に譲ってきた。
今は感染第7波の真っ最中だが、家に閉じこもっているのも限界で、横浜にぎわい座に出向く。
今月の上方落語会は趣向が変わっていて、タイトル通り「文化庁芸術祭大賞受賞者」が出演、東京からは馬石が参加している。
顔ぶれや内容からすると、客の入りが寂しい感があるが、今どきはこんなものなのかな。
遊真『お公家女房』
東京だと前座に相当するかもしれないが、なかなかの高座だった。ネタは東京だと『たらちね』となるが、上方の方が断然面白い。女房と葱売りが公家言葉で会話するところなんざあ、狂言を思わす。
喬介『時うどん』
名前は知っていたが初見、愛嬌の塊りの様な佇まい。東京だと『時そば』となるが、上方の方はネットリとした演じ方になる。この人の他のネタを聴いてみたい。
馬石『明烏』
落語ファンなら馬石の実力は誰しも認めるところだろう。人情噺と滑稽噺、両方ともイケテル。そういう意味では師匠の芸に最も近いと言える。この日も一分の隙もない充実した高座だった。個々の人物の描き方が巧みで、花魁の浦里の手練手管で一晩でフヤケテしまう時次郎の姿もよく描いていた。
改めて感じたのは、この人は目の使い方が効果的だ。
吉の丞『胴切り』
初見。ネタとしては軽い部類に入るのだろうが、なかなかの熱演だった。東京に比べ上方の落語家は、何とか客を笑わせよう楽しませようとすることに貪欲だ。以前に娘婿にチケットを譲ったところ、彼にとって初めての上方落語だったが、上方の方が面白いと好評だった。
松喬『三十石』
トリネタの代表格。船宿で番頭が名簿を書こうとするが客たちにからかわれて退散する場面と、乗船した男の客が後から来る「お女中」に勝手な妄想をする場面を中心として演じた。勝手に妄想を膨らませていたので、現実との落差が大きい。風格を感じさせる高座だったが、惜しむらくは船頭の舟歌が今一つだった。普段聴いているのが米朝、枝雀、圓生なので、比較するのは酷かも知れないが。
5席とも結構でした。
« 「抗議」は良いが「妨害」してはいけない | トップページ | 戦時歌謡と伊藤久男 »
「寄席・落語」カテゴリの記事
- 談春の「これからの芝浜」(2023.03.26)
- 「極め付き」の落語と演者(2023.03.05)
- 落語家とバラエティー番組(2023.02.06)
- 噺家の死、そして失われる出囃子(2023.01.29)
- この演者にはこの噺(2023.01.26)
コメント