「ウクライナ戦争」私たちは正しい情報を得ているか?
以前にも書いたが、私はロシアによるウクライナ侵攻についてウクライナを支援する立場だが、ウクライナ政府を全面的に支持しているわけではない。
先年ツアーでウクライナを訪れた時に、現地ガイドに「クリミアがロシアに編入されてしまったが、どう思う?」と訊いたところ返ってきた答えは「クリミアの人たちが羨ましい」。現地ガイドというのは政府寄りの人が多いので、この答えは意外だった。
後で調べて分かったが、ウクライナという国は貧しさではヨーロッパの下から2番目で、賄賂や汚職がはびこっていた。ソ連崩壊とともにウクライナは独立を果たすが、今までに人口の15%の人が国外に出てしまった。それも知識人や高学歴の人が多かった。
一口でいえば、破綻国家だったということ。
エマニュエル・トッド『第三次世界大戦はもう始まっている』(文春新書 2022/6/10初版)
ウクライナ戦争に関して、私たちが得ている情報の大半は西側からのものだ。
戦争はまた情報戦争でもあり、ウクライナ、ロシア双方とも自国に有利で相手国に不利な情報を発信している。そこからどれが正しい情報かを判断することは難しい。
本書の著者の見立てはこうである。
今回の戦争が始まる前に、米英両国がウクライナへの軍備増強を進めていた。つまりウクライナを実質NATO加盟国として扱っていた。それは功を奏して、当初ロシアの圧勝と見られてた戦争で苦戦を強いられていることで分かる。
ロシアとしては目と鼻の先に米軍基地が作られたら、安全保障上重大な脅威になると考え、手遅れになる前にウクライナの軍事施設を破壊しようとした。
つまり、この戦争はウクライナを挟んでアメリカとロシアが軍事対決している、いわば第三次世界大戦の様相を呈している。
ドイツやフランスがウクライナ支援に腰が引けてる印象なのは、この戦争の帰趨がどうなろうと、ロシアという国は存在し続けるし、アメリカと違ってロシアとは陸続きだ。「戦後」を考えれば慎重にならざるを得ない。
この点は日本としても考慮する必要があろう。
ウクライナ戦争に対する一つの見方として参考になる。
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