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2022/09/26

第74回「大手町落語会」(2022/9/25)

第74回「大手町落語会」
日時:2022年9月25日(日)13時
会場:日経ホール
<  番組  >
前座・林家八楽『平林』
柳家やなぎ『さよならたっくん』
三遊亭萬橘『新聞記事』
桃月庵白酒『今戸の狐』
~仲入り~
春風亭柳枝『堪忍袋』
柳家さん喬『妾馬』

三遊亭萬橘が、高座のナマ配信はNGにしていると言う。噺家の姿勢として正解だと思う。落語という芸能は演者と客が同じ空間と時間を共有して始めて成り立つものだ。だから一期一会で、同じ演者が同じネタを演じても同じ出来にはならない。客が時間と費用をかけて寄席や落語会に足を運ぶのはそのためだ。コロナの影響で興行が打てず、芸人も生活に困窮しているという事からナマ配信が頻繁に行われるようになった事情は分かるが、それは本来の姿とは言えまい。
この日も萬橘の高座だけはナマ配信を外したようだ。

八楽『平林』、師匠が紙切りの二楽というから変わり種。

やなぎ『さよならたっくん』
先ずマクラから、キャンセル待ちの人が多いので航空券を譲って欲しいなんて空港内放送を聞いたことがない。あるのはオーバーブッキングのケースで、航空会社としてはチケットの譲渡に破格の条件を出す場合がある。
ネタは新作で、地方から上京しようとする娘を、付き合っていた男が代行に頼んでやめさせようとするという筋だった。
設定が古くさいし、ただただツマラネエ。

萬橘『新聞記事』
存在自体が面白い萬橘のようなフラのある人は得だ。自虐的なマクラだけで会場を引き込んでゆく。
お馴染みのネタだが、この人が演じると何となく可笑しいのだ。

白酒『今戸の狐』
古今亭のお家芸ともいうべきネタで、少し込み入っていて分かり辛い筋を明快に語っていた。落語家を脅すヤクザの人物像が良く出来てた。
ただ、最近の白酒は以前に比べややパワーが落ちている気がするのは私だけだろうか。

柳枝『堪忍袋』
古典と思われているが益田太郎冠者の新作、と言ってもかなり昔のことでもう古典になっていると言って良い。
8代目柳枝も得意としていたが、当代の柳枝は上方の演じ方だった。
主な違いは次の通り。
①東京版では夫婦喧嘩の原因は不明だが、上方版では原因は弁当の梅干し。
②東京版では大家が中国の故事から堪忍袋の効用を説くが、上方版では大家は薦めるだけ。
③東京版では酔っ払いが無理矢理袋をひったくったので緒が切れて、中の喧嘩がいっせいに飛び出す。上方版では嫁が「クソババア、死ね!!」と絶叫した時点で袋が満杯になり、病身の姑の前で袋がはじけて中に入っていた嫁の「クソババア、死ね!!」を聞いた姑が元気を取り戻す。
柳枝は笑いの多い上方版を東京に移しかえ、楽しく演じていた。

さん喬『妾馬』
通常の演じ方と異なるのは次の通り。
①八五郎が殿様の隣にいた妹のお鶴の傍まで行って、お鶴が抱いていた赤ん坊をあやす場面を加えた。
②八五郎が殿様の前で都々逸を唄うが、続いて手拍子で「ギッチョンチョン」を唄う。
①について、これだと殿様の側に侍っていたお鶴がずっと赤ん坊を抱いていたことになるが、状況としてあり得ないのでは。
②について、「ギッチョンチョン」は明治になってから座敷唄として流行ったもので、時代がずれているのではなかろうか。
①も②も、敢えて付け加える必要は無かったと思うので、この改変には疑問が残る。

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コメント

圓楽党に疎く、萬橘もぜひ聞いてみたい噺家です。
「新聞記事」は短い期間に正蔵と甚語楼を寄席で聴いて、
かくまで味わいが異なるのかと感嘆した次第。
根岸は軽みを基調としていましたが、(またこの噺はそれでよいのでしょう)
甚語楼は地の語りに華を持たせていました。
萬橘もさぞかし、と思われます。


福さん
萬橘は二ツ目時代から注目していましたが、今や兼好とともに圓楽一門の看板になりつつあります。

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