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2022/09/04

「SDGsの大嘘」読後感

池田清彦「SDGsの大嘘」(宝島新書 2022/6/20初版)
少々大げさなタイトルだが、生物学者が今流行りのSDGsについて批判的に書いている。専門の生物学の観点から科学的に検証し、矛盾を指摘し、これからの進め方について提案をしたものだ。
主な点をいくつかピックアップしてみた。
1.地球温暖化の原因がCO₂の増加によるという定説について疑問を投げかけている。地球の歴史を振り返れば、温暖化と寒冷化の繰りかえしだ。最も大きな要因は太陽の活動であり、17世紀から18世紀にかけて起きた寒冷化はマウンダー極小期と呼ばれる太陽の活動低下が原因とされている。
また、火山の大噴火も大きな要因で、近い例でいえば1991年のフィリピン・ビナトゥボ火山の噴火により、翌年の世界の気温が0.5℃下がった。日本もこの影響を受けて冷夏になり、農作物が不作となった。気温はこうした様々な要因の影響を受けるので、一義的にCO₂濃度で決まるわけではないというのが著者の主張。
温暖化とCO₂の関係は、環境問題の根幹を成す問題であり、科学的な検証が必要だろう。
2.我々が必要としているエネルギーは、詰るところ太陽エネルギーに依存している。つまり地球全体のエネルギーは有限だということだ。食糧もまた太陽のエネルギーに依存している。このエネルギーを分け合って人類全体が幸せに暮らすためには人口の抑制が必要だ。いま進めているSDGsには、人口問題が抜けている。
3.船を使って漁をして得られる世界の漁獲量は、毎年900万トンとほぼ一定だ。しかし漁業の技術は格段に進歩していることを考えるなら、水産資源が枯渇していることを示している。残りは養殖で補っているが、効率を上げるために大量の抗生物質が投与されている。こうした魚を長期にわたって食べていたら、人体に何かしらの影響があると考えるべきだろう。SDGsに「海の豊かさを守る」というスローガンがあるが、この状況でどうやって水産資源を守るつもりだろうか。水産資源も有限であり、ここにも根本に人口問題がある。
4.再生エネルギーとして太陽光発電が推進されているが、一度、農地の上にソーラーパネルを設置すると、その土地は二度と農地として使えなくなる。土壌が死んでしまうからだ。通常の発電設備にはメンテナンスなどの規制があるが、ソーラーパネルには何もない。ソーラーパネルには寿命があるが、その交換や撤去について何も規制がない。このままだと、いずれ使えなくなったソーラーパネルが放置され、その撤去に自治体が頭を悩ますことになる。
日本の食糧自給率を上げるためにもソーラーパネルなどやめて、農地を有効活用すべきだ。
再生エネルギーについては、日本の地形をいかした小規模な水力発電を沢山設置したり、地熱発電技術の開発を進めるべきだ。
この他、多岐にわたって著者からいくつもの指摘や提案が示されている。自然との共生という視点を重視しており、参考になる点があった。

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