ロシアの「動員令」は日本も他人事ではない
ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻を巡って部分的動員令を出したが、これに反発する抗議活動がロシア国内で広がっている。抗議活動に関連して38都市で1400人以上が拘束されたとされる。動員の対象は予備役の一部となるが、その範囲が明確ではないため、市民の間には警戒感が拡がっている。
今まではウクライナ戦争といっても兵士たちが戦っていたが、これからは一般市民も動員の対象になる可能性が出てきた。
話し変わって、日本の防衛費倍増計画だが、事業を拡大又は新規事業を立ち上げる場合、ヒト・カネ・モノをどうするのかが最も大事だ。
カネについて言えば、安倍元首相は国債(つまり借金)で賄うと言っていたが、政治家として極めて無責任な発想だ。防衛費は恒久的な財源が必要で、増加分は①増税するか②社会保障費を削るかで、埋めるしかなかろう。
いま世論は防衛費の増額について賛成の声が強いようだが、①か②を突き付けられた時に、どう反応するかだ。
中国の軍拡が問題になっているが、軍事費の伸びは経済成長率にほぼ比例している。見方を変えれば、身の丈に合った増額と言える。そこは日本と異なる。
もう一つの大きな問題は、ヒト即ち自衛隊員の増員だ。
以前の記事にも書いたが、自衛隊は定員割れが続いている。町の掲示板には常に「自衛隊員募集」のポスターが貼られている。
自衛隊の定員は247154名に対し、人員は227442名で、充足率は92.0%だ。陸上,海上、航空、統合幕僚監部ともに定員割れで、隊員の一番下の階級である「士」に至っては、充足率は77%とかなり低い(データはいずれも、2020年3月現在)。特に前線で活動する「兵隊さん」が足りないのだ。
いくら装備に金をかけても、それを動かす人がいなければ宝の持ち腐れだ。
もし、防衛費と自衛隊員の数が比例するとしたら、今後およそ25万名の増員が必要になってくる。
片や、少子化で若手の労働力は減る一方だ。
どうやって、自衛隊員の増員を充足させるつもりだろうか。
最後は、強制的な手段を講じるしかないかも知れない。
ロシアの「動員令」が他人事(ひとごと)ではないことが、杞憂に終われば良いのだが。
« 自民党代議士が書いた本 | トップページ | 空港保安検査あれこれ »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 左翼の退潮とポピュリズムの台頭(2023.04.15)
- ウクライナ戦争と「反撃能力」(2023.04.06)
- 今のロシアはかつての日本と重なる(2023.02.25)
- 台湾というリスク(2023.02.04)
- 「首相長男の公用車観光」は日本の構造上の問題(2023.01.31)
人員に関しては、定年退職後の高齢者、女性の積極採用、自衛隊の男女比を一対一までもっていけば、強制的な手段は必要ないのではないでしょうか。自衛隊はじじばばばかりになりますが、若手の労働力は減りません。
投稿: 熊吉 | 2022/09/25 18:07
熊吉さん
現在の自衛隊員は志願制になっています。ジジババが積極的に志願してくれるでしょうか。老人部隊の実現は難しそうです。
投稿: home-9 | 2022/09/25 18:17
私も60台半ば、定年後非正規雇用の身であります。ジジババが軍服姿で手を取り合い、私たちの手でかわいい孫をまもりましょう、とのポスターを日本中に貼りましょう。
投稿: 熊吉 | 2022/09/25 18:30
熊吉さん
さて、自衛隊の厳しい訓練に耐えられるかどうか、私には自信がありません。
投稿: home-9 | 2022/09/26 00:46
自分は歳で戦場に行かない(とおもっている)年寄が戦争を始め、若者を死なせます。すいません、ほめくさんにからんでも仕方がないですよね。ごめんなさい。でも、戦争に進む道を少しでも狭くするためには、戦争を始めた人間から戦争に行くシステムが必要です。まず前線には国会議員が立つ。真っ先に自分が最前線に行かなければまらないなら、プーチンも戦争など始めなかったでしょう。激しい訓練などしなくとも老人にも扱える兵器の開発は可能でしょう。自分は自衛隊の激しい訓練に耐える自信がない。だから体力のある若者が戦争に行け。そんなつもりでコメントを書かれたたわけではないと重々わかっているつもりです。。我ながらいやなこと書いてるなあ、ご不快だと思いますので、このコメントは公開せず無視してください。
投稿: 熊吉 | 2022/09/26 23:38
熊吉さん
すみません、手違いで公開してしまいました。仰る意味は分かります。乃木希典が軍神と崇められたのも、二人の息子が戦死したからでしょう。
投稿: home-9 | 2022/09/27 01:45