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2022/10/30

私たちは少数派だという自覚が必要

中国の習近平独裁体制がますます強化され、台湾への軍事侵攻が現実味を帯びつつある。
ロシアのプーチンはウクライナ戦争の劣勢を盛り返すためとして、核兵器を使用するのではという憂慮がなされている。
しかし、国際的にこれらを止める動きは鈍い。
私たち西側(日本も西側)にとって歯がゆい思いであり、国連が機能していないせいだという声もある。
しかしながら世界を冷静に見てみれば、民主主義国の退潮は明らかだ。
スウェーデンの調査機関V-DeMによれば、2021年時点で民主主義国は89で、権威主義国は90。世界人口の7割にあたる約54億人が権威主義国で暮らしていて、10年前の49%から急増している。
私たちは民主主義が正しいと信じているが、世界の趨勢はその逆に動いている。残念ながら、私たちは世界では少数派なのだ。
その点を自覚して出発するしかない。

2022/10/29

独り言

タレントとしては優れていたが、
落語家としては「並」だった。
あの程度の芸で
「圓生襲名」を口にするなんざぁ
おこがましい。

2022/10/27

混浴バンザイ!

海外にも温泉があり、旅行者にはそれを楽しみにしている人もいるが、私は利用したことがない。理由は水着着用が義務づけられているからだ。海パンをはいたまま入浴なんて冗談じゃない。
温泉、とりわけ露天風呂は開放感や爽快感が味わえるのが魅力だ。そのためには裸が絶対条件だ。
50代のころ、九州の大分に長期出張していた時期があり、たまの休みには近隣の温泉を訪れた。
なにせ大分から福岡や熊本方面に向かう列車では、停車駅ごとに温泉がある。別府や湯布院といった全国に知られた温泉以外に、小規模の温泉が各地にある。洞窟温泉や、川底から温泉が湧き出している変わった温泉もある。露天風呂も多い。
小規模な温泉では湯船が一つしかない所が多く、時間帯を区切って男女別々に利用するケースもあったが、混浴も少なくなかった。
最初は多少の抵抗感があったが、馴れてくると気にならなくなる。
さすがに着替えの場所だけは男女別々が多かったが、湯船に入ると一緒になる。
混浴は女性にとって恥ずかしいかも知れないが、それは男も一緒だ。私のように人サマにお見せするようなリッパな体を持っていない人間にとっては、異性に裸体を晒すにはやはり恥ずかしいのだ。
そのうち湯船の中で女性とも会話も交わすようになり、双方とも意識しなくなる。
女性客は中年以上の年配の方が多かったが、たまに若い人もいた。20代と思しき女性客とも2度ほど出会ったことがある。こういう僥倖に巡り会えたのも、日ごろの行いが良いせいかな。それとも、こちらが爺さんだからどうでも良いと思われたのかも知れないが。
江戸時代の銭湯は混浴だったという。日本に来た外国人には随分と奇異に見えたようだ。法律で男女を分けるようにしたのは明治になってからだ。
混浴を伝統文化と考えれば、未だ地方の鄙びた温泉にはその伝統が残されているということかな。

2022/10/25

ひろゆきの沖縄ツイートは無知か悪意か

2ちゃんねる開設者で、その発言がネットの世界では注目を集めている「ひろゆき」が、2022年10月3日、沖縄県辺野古の新基地建設反対の座り込み現場を訪れ、「座り込み抗議 不屈 3011日」と書かれた看板の写真とともに「誰もいない」とツイートをして議論をよんでいる。
通常、座り込みは24時間続けてなんてあり得ないのだ。住民は生活をしながら行動しているのだから、仕事や学校の合間をぬって座り込みをする。それを一日も欠かさず続けていれば「座り込み連続000日」ということになり、これは政治行動でも環境保護行動でも同様だ。
それとも、ひろゆきはプロの座り込み師でもいて、昼夜を問わずずっと座り続けているとでも思っていたのだろうか。
本人は鬼の首でも取った気になっているかも知れないが、単なる「無知」に過ぎない。
もし実態を知っていながらあのようなツイートをしたなら、それは「悪意」があると思われても仕方ない。
当該ツイートをしてからフォロワーが増えたと言っているようだが、これも分かりやすい。ネットの世界では「反沖縄」の言論がはびこっている。沖縄県民を土人呼ばわりしたり、土人に選挙権を与えるなという主張までされている。特にそういう人たちは、沖縄の反基地運動に異常な敵愾心を持っている。ひろゆきのツイートをみて、我が意を得たと思った人もいただろう。
日本国内で唯一の地上戦となった凄惨な沖縄戦、それに拘わらずサンフランシスコ講和条約で日本が独立したが沖縄だけは引き続き米国の施政下に置かれという理不尽な扱いを受け、その結果多くの米軍基地が沖縄に集約された。
そうした沖縄の歴史を振り返れば、安易な揶揄はできない筈だ。

2022/10/22

人道と極右

アフリカや中東から、戦乱や貧困から逃れるために多くの人々がヨーロッパ各国を目指した。移民や難民と言われる人々だ。各国は人道の立場から、そうした人々を受け入れ援助してきた。
人々は生きるために職を求めて行動し、多数の人たちは低賃金労働者となってゆく。その結果、職を失ったり賃金がさらに下げられたりする状況が生まれ、国民の間に不満が溜まってゆく。
一部はドロップアウトしてギャングなど暴力集団を結成し、治安の悪化を招く。
そうした国民の不満を吸収し、自国民以外の人たちを排除する排外主義が強まり、その結果、ヨーロッパ諸国で極右政党が台頭してきた。
例えば、かつては高福祉高負担の福祉国家モデルとして称賛されたスウェーデンでは、銃の乱射事件が多発するなど治安が悪化してしまった。「非北欧系」が多数を占めるゲットーが増えているとして「非北欧系」の人口を最大50%に抑える案まで浮上している。
欧州連合(EU)加盟国の議会でも強硬右派や極右のポピュリスト政党が議席を伸ばすのは珍しくなくなっている。独統計会社statistaのまとめなどによると、各国議会における議席占有率は次の通りだ。
ハンガリー「フィデス・ハンガリー市民連盟」59%
ポーランド「法と正義」51%
イタリア「同盟」21%
フィンランド「真のフィンランド人」20%
オーストリア「オーストリア自由党」17%
フランス「国民連合」15%
スペイン「Vox」 15%
ベルギー「フラームス・ベランフ」12%
オランダ「自由党」11%
ドイツ「ドイツのための選択肢」11%
デンマーク「デンマーク国民党」9%
ポルトガル「Chega」 5%
ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」は完全に市民権を獲得し、今年4月のフランス大統領選では「国民連合」のマリーヌ・ルペンがエマニュエル・マクロン仏大統領に詰め寄った。
9月のイタリア総選挙でトップを走ったのは、新興の極右ポピュリスト政党「イタリアの同胞」だ。ジョルジャ・メローニ党首が同国初の女性首相になる可能性が強い。「イタリアの同胞」はネオ・ファシスト政党の政治的後継者だ。
アメリカのトランプへの根強い支持も、同様の傾向と見ていいだろう。
極右やポピュリスト政党をいくら批判してみたところで、問題は何一つ解決しない。
エネルギー高騰やインフレで市民の生活が困窮する中で、残念ながら人道主義は益々影が薄くなってゆくようだ。

2022/10/19

小林貴虎三重県議への辞職勧告は疑問だ

三重県議会の最大会派「新政みえ」などの5人が17日、ツイッターの投稿を巡る問題で県議会の信頼を失墜させたとして、小林貴虎県議に対する辞職勧告決議案を提出した。
辞職勧告決議案は、小林氏が投稿の情報源を高市早苗経済安保担当相としたことを「責任転嫁」と表現。高市氏が発言を否定したことを踏まえて「虚偽の行為によって県内外に大きな混乱を招いた」と批判した。
10月2日、三重県議で自民党に所属している小林貴虎議員が、自身のTwitterに「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸からだったという分析が(政府の調査で)出ているという」と投稿し、その根拠は高市早苗経済安全保障担当大臣の発言だと述べたことが問題視されている。
小林貴虎議員のツイートによれば、「国葬反対8割大陸」の根拠は「政府の調査結果」であり、高市早苗・経済安全保障担当大臣の「講演で伺った話」だという。
高市大臣は、小林議員のTwitter投稿があった10月2日に、名古屋市内で行われた日本会議の会合「日本会議東海地方議員連盟設立総会」で講演していたことが分かっている。
もし、小林議員が虚偽の内容を投稿したなら非難されても仕方ない。
しかし、『NEWSWEEK日本版』の10月17日付け記事によると、2日の講演を聴いた別の参加者が、小林議員が聞いたものと同様の内容を高市大臣がしていたという報告をTwitterで行っていたことが分かっている。「『国葬儀反対』のツイートの8割が支那発だった、と聞いた。なるへそ!!」というものだ。
この二人の同じ内容の投稿が偶然とは思えない。
また『AERA』の取材によれば、会合に出席した他の地方議員たちは、その多くがはっきりした否定の言葉を述べていないという。「記憶にない」「席を外していた」など曖昧な返答が並ぶ。しかし一人だけある市議が、高市大臣の「個人的な感想」として「国葬反対のSNS発信の8割が隣の大陸の人かなと思っている」といった発言があったと証言している。
こうして見ていくと、高市大臣が講演で「国葬反対のSNS発信の8割が中国からの発信」といった趣旨の発言をしていたと考えるのが妥当だろう。
ならば小林県議のTwitter投稿は、聞いたことをそのまま書いたもので、「虚偽の行為によって県内外に大きな混乱を招いた」という辞職勧告決議の指摘は当たらないことになる。
また、決議案では「高市氏が発言を否定した」と断定しているが、そうとばかりは言いきれない。
高市大臣は、そもそも「大陸」という言葉を自分は使わないと述べているが、講演の内容についてはクローズドな会合であったとして明らかにはしていない。
こうした状況を勘案すれば、高市大臣が日本会議という身内の会合で「国葬反対の8割は外国勢力(中国)によるもの」という趣旨の発言を行い、小林県議が真偽を確かめることなく、我が意を得たりとばかりTwitterに投稿したと考えるのが自然だろう。
もしそうなら、小林県議の投稿は軽率の誹りは免れぬとしても、政治責任を問うほどの事ではなかろう。
むしろ問題なのは、大元の発言者である現職大臣の政治責任だ。

2022/10/17

「日清戦争」から始まった公文書改ざん

渡辺延志『日清・日露戦史の真実』(筑摩書房 2022/7/15初版)
今さら日清戦争と言ってもピンとこない人が多いと思う。戦争の全体像は陸軍が編纂した「日清戦史」にまとめられていて、政府の公文書としてメディアを通じて広く国民の間に流布され、教科書などにも引用されている。
しかし、近年になって新たな資料が発見された。それは「日清戦史決定草稿」という資料で、本来はこの資料に基づき正式な戦史が書かれる筈だった。
ただ「決定草稿」が、どういう経過かは分からないが個人が所有していて、1968年に遺族が図書館に寄贈したため始めて公になった。
草稿と戦史の間に大きな食い違いがあり、戦史では朝鮮から清国を追い払って欲しいという依頼を受けて、日本が戦争に乗り出したことになってる。
しかし草稿では、日本軍が朝鮮の王宮を攻撃し国王を捕らえ、政権を転覆させてから依頼させたものとしている。これでは開戦の大義名分が成り立たない。
この様に、草稿に書かれている陸軍にとって不都合は内容は、戦史では全て書き換えられてしまった。
中央に従わない現地部隊の独断的行動や、指揮官の思惑や野望による無謀な作戦、人命を軽視し兵站を考慮しない部隊運用など、昭和に入ってからの戦争での陸軍の多くの重大な欠陥や問題点が日清戦争の時に明らかになっていた。
戦史の改ざんにより、こうした教訓が日露戦争やアジア太平洋戦争への教訓とならなかった。
それどころか、無謀な作戦や独断的な行動が英雄視され賞賛の対象になってしまった。

この様な改ざんは次の「日露戦史」にも引き継がれてゆく。
「日露戦史編纂綱領」には、書いてはいけない15項目があげられている。
①戦闘準備に必要な日数
②各部隊の対立
③部隊又は個人の臆病や失策
④兵站の守備及び輸送力
⑤特殊部隊の編制
⑥軍の戦闘力の消耗や弾薬の欠乏
⑦弾薬の追送と戦闘への影響
⑧休養の欠乏
⑨人馬弾薬及び材料の補充
⑩特殊の戦闘法
⑪国際法違反又は外交に影響の恐れがある記事。例えば俘虜の虐待や中立侵害
⑫高等司令部幕僚の真相
⑬将来の作戦に関するもの
⑭地図は必要な部分だけ記載 
⑮海軍に関しては必ず海軍当局の承諾を得ること
こうして出来た戦史は陸軍学校の教科書となり、国民の間の思想形成にも大きな影響を与えてゆく。
公文書の改ざんが怖いのは、改ざんされたものが「事実」として伝わっていくことで、それは今の政治にもつながっている。

2022/10/15

負けるべきして負けた今年の阪神タイガース

阪神タイガースはCS第2ステージでヤクルトに三連敗して、日本シーズ進出の夢は断たれた。
第3戦は3対0でリードしていながら、7回に二死からタイムリーエラーが続き、ヤクルトは1安打で5点とり逆転した。CSでのエラー6個は新記録で、シーズン中のエラーは今年もワーストだった。だから昨日の敗戦は象徴的だったと言えよう。
阪神は投手力で勝つチームだ。先発のコマは揃っていたし、リリーフ陣も充実していて、投手力はセ・リーグNo.1と言って良い。一方、打撃力は完封負けが25回にみられるように見劣りがしていた。
要は守りのチームだったということ。
守りで大事なのは言うまでもなく野手の守備力だ。エラーを減らすことを毎年の最大の課題としていたが、一向に改善されなかった。
この点では指摘されているように、選手の守備位置をコロコロ変える矢野監督の采配に原因があると思う。個々の守備力はもちろん、野手の連携プレーに支障をきたすことは避けられまい。
来季は岡田監督が指揮をとるが、チームの投手力や機動力といった優れた点を活かしながら、守備力をどこまで向上させることができるか、大いにその手腕に期待したい。
打撃面では佐藤輝の長打力が伸ばせるか、優秀な外国人選手を獲得できるかに注目だ。

2022/10/13

師匠の暴力暴言を弟子が告発

当ブログで以前に書いた記事「落語家の廃業」に、昨日からアクセスが急増している。原因を調べたら、「FRIDAY」WEB版に「落語界の名跡『三遊亭圓歌』の”壮絶暴言&暴力”を弟子が実名告発」というタイトルの記事が掲載されていた。
内容は、師匠である三遊亭圓歌が弟子の天歌に対して長期にわたり暴力や暴言を繰り返してきて、耐え切れなくなった天歌が師匠に「破門」を懇願しても受け容れて貰えないというものだ。
天歌によれば、何かあれば、暴言、暴力の後、「破門だ」と言われ、「坊主にすれば許す」ということが何度も繰り返されたという。
それも理不尽なことが多く、弟子からすれば何でそんなに怒られるかが分からない。
事例としては、以下の通り。
①公衆の面前の街頭でいきなり殴り倒され、通行人が警察に通報する騒ぎになった。天歌は、これは世間では犯罪になるんだと始めて知った。
②暴言も、「今後俺の視界に入るな」「同じ市に住むな。引っ越ししろ」と強要。
③暴力で支配して、弟子が辞めそうになったら『破門』を盾に弟子を黙らせる。そういうことをずっと繰り返してきた。
落語協会に訴えても、師匠と弟子の関係について口を挟むのは難しいという見解だ。
現在は、天歌は訴訟に踏み切っている。
三遊亭天歌の経歴は次の通り。
2009(平成21)年12月 三遊亭歌之介(現・圓歌)に入門
2010(平成22)年7月 前座となる 前座名 三遊亭ございます
2014(平成26)年11月1日 二ッ目昇進 「三遊亭天歌」と改名
なお、兄弟弟子に「三遊亭ありがとう」がいたが、前座の時に廃業している。
落語家の師弟関係については、漏れ聞くところによれば問題がある場合もあるようだが、ここまで拗れたのは珍しいと思う。
かつて相撲の世界では、兄弟子という字は「無理偏にげんこつ」と書くと言われていたが、落語界にも似た様な状況が残っているということか。

2022/10/12

「満州国」皇帝一族の運命

戦前、中国東北部に「満州国」という国家があったということは、歴史の一コマとして知ってる程度の人が多いだろう、私もその一人だ。年配の方なら「愛新覚羅」と聞くと、あの天城山心中の人かということになろう。
1932年に関東軍によって建国した満洲国は、その後に日本の国際連盟脱退の引き金になり、対米開戦の原因の一つとなった現代史上重要な位置を占める。
皇帝として、清朝のラストエンペラーだった愛新覚羅溥儀(あいしんかくらふぎ)を据えた。皇帝とは名ばかりだったが、関東軍の横暴に苦しみ対立するようになる。
すると関東軍は溥儀の弟である愛新覚羅溥傑に目をつけ、日本の士官学校に入学させ、嵯峨公爵家の娘の嵯峨浩(ひろ)と結婚させる。
二人は暫くは幸せな生活を送るが、「盧溝橋事件」が起きて日本と中国との対立が始まると一変する。
日本の陸軍大尉として満洲にわたった溥傑一家は初めて皇帝溥儀に面会する。皇帝は、溥傑に男児が生まれたら自分は殺されるのではと警戒するが、男児は生まれなかった。
満洲の現実を見て溥傑は自伝でこう書いている。
「全ては『日本第一主義』でした。これではほかの民族の人達はついてくるはずはありません」
1945年8月の日本の敗戦とともに満州国は崩壊する。ソ連軍が首都新京を爆撃すると、皇帝一族は列車で脱出する。溥儀と溥傑は飛行機で朝鮮
を経由して日本に亡命することになった。処が何故か彼らの乗った飛行機は朝鮮ではなく奉天に着陸、その場でソ連軍に捕縛されてしまう。
一方、皇后と浩らは陸路で日本を目指すが途中で中国の八路軍に捕まり、捕虜として各地を連れまわされることになる。阿片が切れて狂乱状態になった皇后は、最後は道端に打ち捨てられ死亡。
浩らは満州開拓団員に紛れて引き揚げ船で日本に帰り、先に戻っていた長女の慧生(えいせい)と再会するが、夫たちの消息は不明だ。
慧生は優秀な子で学習院に通いながら、「日中の架け橋になりたい」という願いから中国語を学んでいた。
その慧生が天城山中で同級生の男と並んで、頭をピストルで撃ち抜かれて死んでいるのが発見される。マスコミは「天城山心中」と書き立てたが、浩は終生あれは無理心中だったと言い続けた。
ソ連の強制収容所から中国に引き渡された溥儀はそのまま収監されていたが、1960年になってようやく釈放され、再会した溥傑と共に以後は北京で暮らした。
皇帝一族の末路はあまりに悲惨で、「五族協和」と「王道楽土」の美名の下に、関東軍から言い様に利用された挙句、棄てられてしまった。
今年は満州国建国から90年にあたる。
(以上は月刊誌『選択』9月号の記事を参考にした)

2022/10/10

「孟母三遷の教え」は本当です

「孟母三遷の教え(もうぼさんせんのおしえ)」の意味は、孟子の母が子どもの教育に適した環境を選んで住所を三度移し変えたという故事から来たもので、転じて教育には環境が大切であるという教えも意味する。
私は生まれてから20年間ほど東京都中野区に住んでいたが、父親の仕事の関係で途中約1年半は新宿区四谷にある社宅に住まいしていた。
家は中央線の信濃町駅の近くで、駅前に慶応病院があり、その後ろの四谷第六小学校に通っていた。小学2-3年生の時期だ。
中野の木造校舎と違って、四谷第六小はコンクリート造りで蔦が絡まっている風格のある校舎だった。
音楽の時間では、中野の学校はクラスの担任が教室の隅にあるオルガンを弾いて授業をしていたが、四谷では音楽教室があり音楽担当の教師がグランドピアノの弾いての授業だ。体育館があったので雨でも体育の授業ができた。
我が家は信濃町駅から学校とは反対方向で、今は創価学会の本部のある方へ5分ほど歩いた場所にあった。
途中に高碕達之助通産大臣の邸宅と、犬養健(いぬかいたける)法務大臣の邸宅があり、近くには池田勇人大蔵大臣の家(普通の一軒家だった)もあった。因みに高碕家の孫二人とは遊び友達で、時には達之助さんが庭の手入れをしている姿を見ることがあった。金鶏鳥を飼っていたのが印象的だった。
近くに大臣が3人もいたので、内閣改造の時期ともなると黒塗りの車がズラリと列をなしていた。
そんな環境なので、クラスでも政治が話題になることがあり、どの政党が日本の再軍備に反対しているかを話しあった記憶がある。
一番驚いたのは、当時アメリカの大統領選挙が行われていたが、民主党と共和党のどちらの候補が勝つかが話題になっていたことだ。当方はチンプンカンプンだったが、民主党の勝利を期待していた級友もいた。結果は共和党のアイゼンハワーが勝利したのだが。
大相撲の歴代の横綱の名前を憶えているヤツや、走ってくるアメ車の名称を片端から言えるヤツとか、中野の学校ではお目にかかれないのがいた。
夏休みになると近くの神宮外苑へ筵を持って行き、アイスキャンディを食べながら日長一日木陰に寝転がって過ごした。今から見れば夢の様な暮らしだった。
中野と信濃町の間は大した距離ではないが、環境は天と地の差があった。
「孟母三遷の教え」は本当だ。

2022/10/06

「ENEOSの例」から、社外取締役って必要なんだろうか?

2015年に施行されたコーポレートガバナンスコードにより、上場企業は社外取締役2名以上の設置が必須となり、2021年3月1日に改正会社法が施行され、上場企業における社外取締役の設置が義務となった。欠員となった場合の対策として、常に複数人の社外取締役を選任しておく必要が生じている。
社外取締役にとって、最も大事な役割はコーポレートガバナンスを強化するがあげられる。社外取締役が第三者の視点で監視することにより、不正行為を未然に防ぐ、または問題発生時に速やかに対処することが可能になると期待されていた。
だが、社外取締役の存在によって企業の不正が暴かれたり防止できたりしたた例がどの位あっただろうか。
社外取締役といえども所詮は経営者が選ぶわけだから、完全な独立した存在ではあり得ないだろう。
実際には官僚の天下り先となったり、一人の人物がいくつもの企業の社外取締役を掛け持ちしたり、有名人を起用して企業のイメージアップに使われる例も散見される。
本来の制度の目的を達しているとは思えない。

卑近な例でいえば、ENEOSの杉森前会長が、犯罪まがいの性加害で突然辞任した。しかしENEOSは週刊新潮ですっぱぬかれるまで隠蔽し続けた。この間、社内では箝口令を敷いて真相を隠し続けたのだ。
同社では、大田弘子、三屋裕子、岡俊子の3名が社外取締役を務めてるが、女性への性暴力という件にもかかわらず、何も行動せずダンマリを決め込んでいる。所詮は「お飾り」に過ぎなかった。
こんな社外取締役なら不要で、彼女らの報酬を従業員の給与に分配した方がましだ。

2022/10/05

ウクライナは直ぐにはNATOに加盟できないだろう

ウクライナのゼレンスキーは9月30日、ロシアのプーチンの「併合宣言」に対抗し、NATOに加盟申請する方針を表明した。
これに対してバルト3国とポーランド、チェコ、スロバキア、ルーマニア、北マケドニア、モンテネグロの9ヶ国が支持を表明している。
しかし、ストルテンベルグNATO事務総長は「ウクライナの自衛支援こそ、NATO加盟国が集中すべきこと」と述べ、ウクライナの加盟は優先課題ではないとの立場を示した。
また肝心の盟主である米国だが、ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は会見で、「現在、ウクライナを支援する最善の方法は、実用的な支援を提供することであり、(NATO加盟を巡る)手続きは別の機会に検討すべきことだ」と慎重な姿勢を示した。
ドイツやフランスは元々、ロシアを刺激する加盟国拡大には後ろ向きで、親露国のトルコなどが同意する可能性は低い。NATO加盟には、民主主義や個人の自由のほか、法の支配の確立が条件になっており、米欧には、汚職などが横行してきたウクライナは「条件を満たしていない」(EU関係者)との声も多い。
1991年にソ連から独立したウクライナは、大掛かりな腐敗に長年苦しんできた。国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の21年の汚職腐敗度指数(CPI)で、ウクライナはエスワティニ(旧スワジランド)と並び世界122位にランクされている。
ウクライナの腐敗ぶりは、最大の支援国である米国も頭を悩ませている。支援の武器がウクライナ戦争にちゃんと使われているかという危惧が一部に出されている。他国に転売されているのではないかと言う疑いだ。ウクライナにはこうした事を監視する機関も無ければ、司法制度も確立されていない。
米欧は今までは支援国でいたが、ウクライナがNATOに加盟すれば紛争当事国になる。ロシアとの全面対決は避けたいというのが本音だろう。
どの国も、敢えて「火中の栗を拾う」気はないだろう。

2022/10/02

阪神のCS進出は嬉しいが

セ・リーグで3位を争っていた4位巨人が10月1日、DeNAに敗れ、阪神タイガースが今季レギュラーシーズン最終戦となる2日ヤクルト戦(甲子園)に敗れても、3位が確定となった。
阪神は4年連続となるクライマックスシリーズ(CS)進出を決めた。
嬉しい反面、ファンの一人としては複雑な気持ちだ。矢野監督が今季限りでの退任をキャンプ前日に表明したり、その影響からか開幕9連敗を喫するなど、苦しいシーズンだった。結果は優勝争いに絡むことも出来なかった。
最後の優勝が2005年だから、阪神はもう17年間もペナントから離れている。
ここまで来た以上は、何とかCSで勝ち抜いて日本一を目指してほしい。

2022/10/01

「動員令」というプーチンの大博打

戦前に流行った代表的な兵隊節に『可愛いスーチャン』があるが、1番の歌詞は次の通り。
 お国の為とは言いながら
 人の嫌がる軍隊に
 召されて行く身の哀れさよ
 可愛いスーちゃんと泣き別れ
今のロシアではこうした思いを抱きながら動員されてゆく若者が多いだろう。しかもロシアの場合は「人の嫌がる戦争に」なので、よけいに深刻だ。
ウクライナの一部戦線で追い詰められたロシアのプーチン大統領が9月21日、ついに動員令を発動した。
国民総動員ではない「部分的動員」だが、ロシアのショイグ国防相は動員数を「30万人」と述べている。しかし、ロシア語メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」はロシア大統領府の筋の話として、非公開の動員令第7項目に書かれた動員数は「100万人」だと伝えている。
召集令状が高齢者にも渡されていて、60代の年金生活者たちがバスで徴兵手続きに連行されたとも報じられている。
20代の女性看護師に「衛生兵」として召集令状が渡されていた。軍務経験が無いのに、いきなり前線に投入されるのだ。
抗議の声は全国に拡がり、初日だけで38都市で1400人が逮捕された。
権力側は対抗し、「反動員」を訴えたモスクワの若者に召集令状を送付した。召集令状を使って言論弾圧を図っている。
動員逃れのため海外へ逃げたロシア人は数万人にのぼる。
あるロシア語メディアは、「テレビで見ていただけの戦争が『画面から自分の家庭に飛び込んでくる』と突然ロシア人は気づいた」と報じている。
ここが重要で、今まではウクライナ戦争は軍人の戦争だったが、動員令を境に「自分たちの戦争」になったのだ。
ウクライナ東部4州を強引に併合したプーチンだが、これからの戦局次第では失脚する可能性がある。
ソ連時代からロシアの首脳が突然失脚した例は多い。但しロシアは依然としてロシアであり続けた。
政策の根本的な転換は期待できないかも知れない。

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