ウクライナは直ぐにはNATOに加盟できないだろう
ウクライナのゼレンスキーは9月30日、ロシアのプーチンの「併合宣言」に対抗し、NATOに加盟申請する方針を表明した。
これに対してバルト3国とポーランド、チェコ、スロバキア、ルーマニア、北マケドニア、モンテネグロの9ヶ国が支持を表明している。
しかし、ストルテンベルグNATO事務総長は「ウクライナの自衛支援こそ、NATO加盟国が集中すべきこと」と述べ、ウクライナの加盟は優先課題ではないとの立場を示した。
また肝心の盟主である米国だが、ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は会見で、「現在、ウクライナを支援する最善の方法は、実用的な支援を提供することであり、(NATO加盟を巡る)手続きは別の機会に検討すべきことだ」と慎重な姿勢を示した。
ドイツやフランスは元々、ロシアを刺激する加盟国拡大には後ろ向きで、親露国のトルコなどが同意する可能性は低い。NATO加盟には、民主主義や個人の自由のほか、法の支配の確立が条件になっており、米欧には、汚職などが横行してきたウクライナは「条件を満たしていない」(EU関係者)との声も多い。
1991年にソ連から独立したウクライナは、大掛かりな腐敗に長年苦しんできた。国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)の21年の汚職腐敗度指数(CPI)で、ウクライナはエスワティニ(旧スワジランド)と並び世界122位にランクされている。
ウクライナの腐敗ぶりは、最大の支援国である米国も頭を悩ませている。支援の武器がウクライナ戦争にちゃんと使われているかという危惧が一部に出されている。他国に転売されているのではないかと言う疑いだ。ウクライナにはこうした事を監視する機関も無ければ、司法制度も確立されていない。
米欧は今までは支援国でいたが、ウクライナがNATOに加盟すれば紛争当事国になる。ロシアとの全面対決は避けたいというのが本音だろう。
どの国も、敢えて「火中の栗を拾う」気はないだろう。
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