「軍拡賛成、増税反対」はムシが良すぎる
世論調査によれば、防衛費の増加には半数以上が賛成している。
処が、増税には多数が反対のようだ。
昨日の自民党の会合では、反対意見の大合唱だったようだ。防衛費増大を牽引してきた自民党が増税に反対するのは平仄にあわぬ。
国債で賄えという声もあったようだが、これ以上国の借金を増やしてどうするのか。
どうやら、増税は選挙に不利とみての反対ポーズだ。
防衛費は恒久的な支出なので、財源も恒久的なものになる。
歳出削減という声もあるが、まとまった金額を削減しようとすれば医療や年金などの社会福祉費に手をつけるしかあるまい。
既に政府は、高齢者の医療費負担を1割から2割に倍増し、2024年度から医療保険料を5400円引き上げる方針だ(いずれも低所得者は除く)。
さらに介護保険料の値上げを計画している。
早くいえば「枯れ木に水をやらぬ」作戦だ。
この様に、歳出削減は先取りするように着々と進められているのが現状だ。政府は財源の一部を法人税の増税で賄おうとしている。
昨日、西村経産相は法人税での増税に慎重な立場を明らかにし、「投資の意欲を示し、また賃上げについても多くの企業が、かなりの意欲的な取り組みの方向性も示している。このタイミングで増税については慎重になるべき」と述べた。政府の方針に閣僚が反対意見を述べるのは異例だ。
政府は所得税の増税は行わないという方針を表明しているので、最終的には消費税に手をつける事になるかと予想している。
今回の防衛費増額の概算には、人件費の増加が含まれていないようだが、自衛隊員の増員は不可避だ。今でさえ定員割れの自衛官をこれから大幅に増やすためには、かなりの費用がかかる筈だ。それとも徴兵制にするつもりだろうか。
いずれにしろ「軍拡賛成、増税反対」は理屈にあわぬ。
どこか押せば、どこかが引っ込むのだ。
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