「首相長男の公用車観光」は日本の構造上の問題
1月に岸田文雄首相の欧米歴訪に同行した長男翔太郎政務秘書官が公用車で観光したと報じられている。報道によると、翔太郎氏は自ら希望し、日本大使館の公用車でロンドンのバッキンガム宮殿や老舗百貨店「ハロッズ」などを訪問し、土産も購入したという。
首相側は、対外発信に使用する目的で街の風景を撮影したり、首相の代理で土産を購入したりするために公用車を使用しただけで、「公務以外の不適切な行動はなかった」と説明している。
この問題を考えるにあたり、2点を整理する必要がある。
①この時期に岸田首相が欧米を歴訪する必然性があったのだろうか。国内には課題が集積していて、首相として最前線に立たなばならなかった筈だ。軍事費を2倍にするという重要政策についても、先ずは日本国民に納得してもらうことが大事で、米国大統領への説明はその後ですべきだったろう。
記者会見や国会審議での不機嫌そうな表情に対して、欧米歴訪時の表情は写真で見る限りゴキゲンな顔に見える。
ひょっとして首相の目的は息抜きだったのではと勘繰りたくなる。
まあ、海外に行って羽根を伸ばし、チヤホヤされるのはさぞ気分がいいのだろう。
②同行した首相の長男が、専ら観光や土産物の買い出しに精を出したのも、元々が大した目的がなかったからだ。首相がちょこっと首脳会談を行っている時に、長男は秘書官としてせっせと買い物をしたり観光をして時間を潰していたに違いない。
現地の大使館は館員をガイド代わりにして公用車を出して応対した。なぜなら、それが彼らの仕事だからだ。
日本から国会議員、特に大臣が来るとなると、宿泊、食事、観光、買い物の手伝いに大忙しになる。満足してもらえないと出世に係るから一大事だ。
これは民間企業でも同様で、本社からオエライさんが来るとなると現地駐在員などが添乗員代わりになって奮闘する。ひと昔前なら、女性の世話までしたという。
首相長男の公用車利用は、日本が抱えている構造上の問題を浮き彫りにしている。
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