美しい日本の歌
かつては教科書に載っていたが、今ではあまり耳にしない美しい歌を集めてみた。
日本の原風景が文語体で描かれていて、これからも残しておきたい曲ばかりだ。
ある程度の年配の方なら、メロディも浮かんでくるだろう。
『ほととぎす』
1
おぐらき夜半を 独りゆけば
雲よりしばし 月はもれて
ひと声いずこ 鳴くほととぎす
見かえる瞬間(ひま)に 姿消えぬ
夢かとばかり なおもゆけば
またも行手に 暗はおりぬ
2
別れし友よ 今はいずこ
今宵の月に 君を想えば
心は虚ろ 思い出消えず
悩める胸に 返るは彼の日
星影たより ともに語りし
昔の言葉 今ぞ偲ぶ
『星の界』
1
月なきみ空に きらめく光
嗚呼その星影 希望のすがた
人智は果てなし 無窮の遠(おち)に
いざその星影 きわめも行かん
2
雲なきみ空に 横とう光
嗚呼洋々たる 銀河の流れ
仰ぎて眺むる 万里のあなた
いざ棹させよや 窮理の船に
『旅愁』
1
ふけゆく秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとり悩む
恋しやふるさと なつかし父母
夢路にたどるは さとの家路
ふけゆく秋の夜 旅の空の
わびしき思いに ひとり悩む
2
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
はるけきかなたに 心まよう
恋しやふるさと なつかし父母
思いに浮かぶは 杜のこずえ
窓うつ嵐に 夢もやぶれ
はるけきかなたに 心まよう
『冬景色』
1
さ霧消ゆる 湊江の
舟に白し 朝の霜
ただ水鳥の 声はして
いまだ覚めず 岸の家
2
烏啼きて 木に高く
人は畑に 麦を踏む
げに小春日の のどけしや
かへり咲の 花も見ゆ
3
嵐吹きて 雲は落ち
時雨降りて 日は暮れぬ
若(も)し灯火の 漏れ来ずば
それと分かじ 野辺の里
『浜辺の歌』
1
あした浜辺を さまよえば
昔のことぞ しのばるる
風の音よ 雲のさまよ
寄する波も 貝の色も
2
ゆうべ浜辺を もとおれば
昔の人ぞ しのばるる
寄する波よ かえす波よ
月の色も 星のかげも
3
はやちたちまち 波を吹き
赤裳のすそぞ ぬれひじし
病みし我は すべていえて
浜の真砂 まなごいまは
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