「アベの威を借るキツネ」の高転び
一時期は初の女性総理候補の声まであがっていた高市早苗の評価が急落している。
先の国会で総務省の行政文書を「捏造だ」「違っていたら議員辞職しても結構だ」「私を信用できないなら質問しないで」と派手なタンカを切っていた。あまりに常軌を逸した言動は、与党内からも孤立を深めている。
仮に文書が捏造だとしたら、当時の総務大臣だった高市の責任は免れず、自己撞着に陥っている。
先日行われた奈良知事選で、高市はかつての部下を知事候補として強引に押し付けようとして自民党県連の反発を受け、保守分裂選挙になってしまった結果、維新の会に漁夫の利を得さしてしまった。これから県連会長として責任を問われることになろう。
高市は安倍元首相の寵愛を受けて2021年の自民党総裁選挙で2位となたが、あの時が絶頂だった。
菅政権では政調会長という要職に就いたが、強引な手法や主張が党幹部との軋轢を生み、岸田政権になってからは閣僚として起用されたが閑職にとどまっている。
大物気取りで大胆な行動に出たものの、しょせんは安倍の後ろ盾があってのこと。そこが外れれば実力のなさが露呈されてきた。
高市の罪の重さは別のところにある。
第二次安倍政権から、安倍はメディア対策、とりわけTV放送への圧力を強めていた。その先兵の役割果たしたのが高市総務相(当時)だった。
従来の解釈を変えてまでして単一番組の偏向を理由に、TV局への電波の割り当てを停止すると発言した。この脅しにTV局は震え上がり、自主規制により政府の言いなりになっていった。
報道番組の司会やコメンテーターに政府が気に入らない人物とされてきた者が次々と降板させられたり、番組そのものが廃止となるケースが出てきた。
それは現在もなお続いている。
日本はいちおう自由で民主主義国家とされているが、実際には報道の自由は様々な制約を受けている。
高市の罪は深い。
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