死語事典
戦後に日常的に使われていたが、現在では死語となっている言葉を集めてみた。
【パンパンとオンリー】
パンパンとは、不特定多数の米兵相手の娼婦をさす。派手なワンピースとハイヒール姿で街を闊歩していたので直ぐに分かった。
戦災で親や親族を失った女性が、生きてゆくために身を落としたケースもあった。
オンリーとは、特定の米兵を相手にしていた娼婦で、実際は妾(めかけ)や二号、あるいは愛人と言った方が実態に近い。
某有名女優が、戦後しばらくは米軍将校のオンリーだったのは世に知られている。
【モク拾い】
モクとは煙草のことで、モク拾いとは、道端に捨てられていた煙草の吸殻を拾う行為、又は拾う人をさす。
集めた吸殻はほぐして紙煙草として再生する。紙の上に吸殻を並べて紙煙草に成形する簡単な道具があった。
再生した煙草は自分で使うか、他人に売るかしていた。
【にこよん】
政府や地方自治体が失業対策として、失業者に軽作業を行わせ賃金を払っていた。
賃金が日給で240円と決まっていたので、にこよんと呼ばれていた。
にこよんをテーマにした鶴田六郎「天下の為さん」がヒットし、紅白歌合戦にも出場した。
【犬殺し】
狂犬病を予防するため野犬を狩った。狩られた犬は保健所で薬殺されていたのでこの名がついた。
公共事業で行っていたのに、担当者はこんな侮辱的な言葉で呼ばれて気の毒だった。
【傷痍軍人】
広くは戦争で負傷した元軍人をさすが、生活の為に街頭で募金活動をしていた人を傷痍軍人と呼んでいた。
腕や足を失った人や失明した人たちが、だいたい二人一組で白衣を着て軍隊帽をかぶり、片方がアコーディオンで軍歌を弾いている姿が多かった。
なかには偽物もいたようだが。
【DDT】
DDTとはdichlorodiphenyltrichloroethane(ジクロロジフェニルトリクロロエタン)の略。
戦後、衛生状態が悪く伝染病やハエ、蚤、虱などが蔓延していたのでDDTが盛んにまかれた。
空中散布や児童の頭にまかれる事があったが、人体に有害であることが分かり現在は使用が禁止されている。
【銀シャリ】
戦後、都市部では食べ物が無く米は憧れだった。
銀シャリとは米だけの飯をさすが、当時は大変な贅沢品だった。
【浮浪児】
戦災によって親を失った子どもをさす。
上野駅の地下道に住んでいる子が多く、子どもたちのホームレスだった。
戦後しばらくして収容施設ができ始め、そちらで生活を送る子が増えた。
NHKラジオドラマの「鐘のなる丘」は、そうした施設を舞台にしていた。
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